
一月末、有明支部員が名城大附属高校(愛知支部)の庄内川での生物調査を共同で行うためにお邪魔していました。
事の発端は、その前日に愛知支部長と共に三重県にある国立研究所を見学に行く最中の事でした。
「耕作放棄地を湿地帯にできないものか」
車窓から周りに広がる田園地帯を眺めていると、ふとそんなことを思いました。思い立ったが吉日、電車内で愛知支部長と具体的考察です!
現在、耕作放棄地は各地で増えています。
そのような場所を利用し、両生類や水生昆虫など浅い湿地帯を好む生き物たちの避難所を作れないか?
耕作放棄地を適度に手を加えつつ湿地帯にすることは、管理方法として有効か否か?
なにより、この実現には上記の2点を確かめる必要があります。湿地帯がどれほど生物多様性保全に有効か、そしてそれが地元住民にとっても良いことでなければなりません。現実的な提案は「耕作放棄地の新たな管理方法としての湿地帯化」です。
※生き物にとって住みやすいその場所に元々存在した“本来”の湿地を再現することが前提です。移植等による複製は行いません。
そこで、我々はその実験が可能な場所を探すことにしました。

2月7日、福岡市で開催された若手NPOリーダー会議に参加する機会がありました。
この会議には、NPO法人循環生活研究所、NPO法人グリーンシティ福岡、フクシマ環境未来基地、NPO法人山村塾など、各方面からNPO関連の方々が参加されていました。
そこで、福岡県八女市で無農薬水田等を作っている山村塾に今回の計画を相談してみました。
「場所ならいっぱいあるから、今度見に来るといいよ」
という訳で、実際に見に行ってみました。

「この40枚の棚田が新しく任された場所。ここはヤギ牧場予定地で上の2枚は畑にする」とのことでした。

山村塾は国内のみならず海外から広くボランティアを募集し、滞在しながら里山保全活動を行っています。

この日は、ヤギ牧場でヤギが逃げ出さないための柵作りでした。ヤギ飼育の目的は、ヤギを散歩させ道端などの草を食べさせることで、除草剤の使用を抑えることだそうです。
物理的にヤギが草を食べるだけでなく、ヤギを散歩させることでなるべく除草剤の使用を自発的に控えていただけるように働きかける効果もあるそうです。

そしてここは、湿地帯にも適した場所です。もともと水田だったこともあり、至る所から水が湧き出しています。既に湿地になりかけている場所まであります。
そのせいか、場所によっては耕作や牧草地として不適な場合もあるそうです。

ある程度掘り返せば、自然と水は染み出してくるようです。
さて、近々人手を集め掘り返しに行かねばなりません!
追伸

付近の無農薬水田の用水路です。

ニホンアカガエルのオタマジャクシです。他にも福岡県ではほとんど見ることが出来なくなったトノサマガエルも生息しているそうです。また、山村塾の方のお話ではもう少し山手で以前サンショウウオを見たこともあるとか。
農薬や除草剤の影響を受けない彼らの避難所にしていきたいものです。
(有明支部)