こんにちは。
株式会社Aria(アリア)でございます。
前回、支払督促申立書の発付通知と送達完了通知についてお話ししました。
送達されない理由が単なる「不在」の場合は、「宛先の住所に受取人は居住しているが、配達した時間にいなかった」ことが考えられます(場合によっては「居留守」の可能性も考えられますが…)。
この場合は、相手方がその住所に住んでいることがほぼ確実なため、「再送達上申書」により、日曜日や祝日などの休日に再度送達、就業先が判明している場合はそちらに送ることも可能です。
しかし、相手方の住所が「宛所訪ね当たらず」或いは「転居先不明」等の場合、別途対応が必要となります。
本日は、その場合の対応方法についてお話ししたいと思います。
■「宛所訪ね当たらず」「転居先不明」とは
郵便局のHPによると、いずれも「あて先の住所に受取人が居住していない」状態を指すようですが、調べてみると微妙に意味合いが異なるようです。
「宛所に尋ねあたらず」は、「今は住んでおらず、以前住んでいたかどうかも把握していない状態」を指すようです。
一方「転居先不明」は、「以前そこに住んでいたことは把握しているが、今は転居してしまって行方が分からない状態」だそうです。
この場合、裁判所は再送達上申書のみでは対応してくれず、何らかの方法によって今現在申立時の住所に住んでいないこと、或いは新たな住所に住んでいることを証明しなければなりません。
では、その証明はどのようにして行うのでしょうか。
■証明する方法①現地確認
一番手っ取り早いのは、現地に直接赴き、居住実態を確認することでしょう。
具体的に何をどう調べればいいのかというと、相手方が住んでいる該当住所の建物の有無、建物の種類(マンション、一戸建てetc)、表札や郵便受けの有無、電気ガス水道メーターの稼働有無、更には近隣住居や管理会社への聞き込みを行う必要があります。
現地調査をして調べた内容を報告書としてまとめ、再送達上申書とともに簡易裁判所に提出します。
報告書の書式については、東京簡易裁判所のHP内に上記内容に沿った書式がありましたので、参考までに紹介します。
https://www.courts.go.jp/tokyo-s/vc-files/tokyo-s/file/tokusoku-t8.pdf
■実地調査を行う際の注意点
まずは現地に赴くまでにかかる時間と費用(主に交通費と人件費。場合によっては宿泊費)を考慮しなければなりません。
相手方の住所が同一の都道府県内もしくは隣県であれば費用的にも時間的にも安く早く済みますが、これが遠く離れた他県だったり、さらに言えば離島ともなると、場所によっては移動に半日以上かかってしまう場合があります。
「住んでいるかどうかは現地に行ってみないと分からない」「何としても回収したい」という人もいるかもしれませんが、費用対効果を見て割に合わなければ、取下げも検討すべきでしょう。
例えばの話ですが、相手方に請求する金額が100万円を超える場合などは、回収の見込みがあればそれなりの時間と費用をかけてかけて取り組むべきものと考えます。
しかしこれが少額(10万円未満)であれば、内容次第ですが取下げを検討すべきです。
例えば5万円の請求に対し、往復の交通費で3万かかるとすると、仮に全額回収できたとしても、諸々差し引いて手元に残るお金は、僅かばかりか良くてトントンです。
そしてあくまでも「回収できれば」の話であり、回収できなければ結果として費用倒れになってしまいます。
そう考えると、これ以上固執せずキッパリ諦めるというのも一考ですが、それでもあきらめきれない場合は、外部に依頼する方法を検討しましょう。
中にはこうした調査業務を引き受けてくれる調査会社があり、私の知る限りですが、調査会社に依頼した場合の費用は3,000円~となっておりました。
この費用感であれば、下手に自らやろうとせず、外部に依頼するのも方法でしょう。
■証明する方法①相手方の住民票取得
現地調査以外の方法としては、「相手方の住民票取得」による方法があります。
住民票は本来、本人かその委任を受けた代理人でなければ取得できませんが、特段の事情が認められる場合は、利害関係のある第三者による取得が可能です。
取得する際は、相手方の住所にある役所に一度問い合わせた上で、「こういう理由で相手方の住民票を取得したい」と事情を説明する必要があります。
そして内容に特段の事情があると認められた場合は、所定の手続きを経て住民票の取得をすることができます。
弊社は支払督促を行うにあたり、相手方の住所が「宛所訪ね当たらず」「転居先不明」の場合、この方法により住民票取得を試みています。
今のところ問題なく取得できていますので、もしこのブログを読んで、相手が雲隠れしてしまってどうすればいいか分からず行き詰ってしまっている方がいれば、ぜひ参考にしていただければと思います。
その後の手続きについては、また次回お話しさせていただきたいと思います。
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