『20代の生き方で人生は9割決まる!』を読んだ感想

 

金川顕教『20代の生き方で人生は9割決まる!』

かんき出版(2017)

を読んだ。

 

80の格言とともに、

「死ぬまでにお金に困らないために20代でしておくべきこと」

が記されている1冊。

 

簡潔で文字数も少ないため、

図書館で手に取って

そのまま1時間弱で読み切ることができた。

 

書籍名だけ見て、

20代における生き方のヒントなるものが書いてあるのか

と予想して手に取った。

 

そんな予想は外れた。

 

私がこの本の内容を端的に表すとすれば、

 

「時間の生み出し方」

「無駄の省き方」

「自己投資9、人付き合い1」

 

である。

 

詳細は後ほど述べるが、

著者の考え方は私にとって少々極端だ

と感じるものも多かった。

 

しかもそのすべての内容が

「若いうちに莫大なお金を稼ぐ」

という目的から派生したものである。

 

「楽しく生きる」とか

「心を豊かにする」といった類のことは、

記憶にある限りほぼ書かれていない。

 

いかに若いうちに効率的に稼ぐか

を極めた著者による、

お金に執着した1冊だと言える。

 

 

 

 

著者は「お金を稼ぐ」という点では成功者と言えるし、

その彼の実体験に基づいた内容であるから、

もちろん参考になることもあった。

 

たとえば、

・スマホ、テレビに時間を奪われない

・「自分はラッキー!」を口癖にする

・「~したい」ではなく「いつまでに~する」

 

著者は集中するために、スマホを機内モードにしておくのだそうだ。

メールや電話等の即時通知は来なくなるが、

それによって必要な連絡が漏れてしまうといったことが起きないよう、

区切りのついたタイミングで機内モードを解除し、

通知を確認したらすぐに取引先に返信をする。

予定外のメールや電話で自分の時間を取られないための工夫だ。

 

気が付けばつい、

インスタのリールやyoutubeのショート動画を流し見してしまう私にも

すぐに実行できる「時間の生み出し方」である。

 

 

 

「自分はラッキー」だと思い込むことは、身につけている最中である。

私は、涙もろく論理よりも感情に揺さぶられるタイプ、

つまり感受性が豊かである(と、思う)泣くうさぎ

 

だから割と小さな幸せにも気づけるし、

すぐに「なんかいいことあるかも」

と思える方だと思う。

 

昔から友人には恵まれているという自負もあり、

「こんな素敵な友人がいる自分も素敵に違いない」と、

基本的に自分はラッキーな人間だと思い込んでいる。

 

しかし常にそう思えているかと言えば否である。

論理 < 感情であるがゆえに、

物事に一喜一憂しやすいのだ。

 

失敗したりそれを指摘されると、

「最悪だ~、やっぱ自分だめだな」

と容易にネガティブ方向に行ってしまう。

 

最近は「まあまだ人生始まったばっかりだし、学びの段階だし」

と切り替えられるようになってきたが、

「失敗出来てラッキー、学べてラッキー」

と思る境地には至っていない。

 

 

 

 

「~したい」発言については

ギクッとするものがあった。

このブログで何度「~したい」と書いてきたことか真顔

しかもほとんど実現されていない。

 

「~したい」という空想から

「~する」という現実に持っていく実行力が私には必要である。

 

 

 

 

ここまで、金川顕教『20代の生き方で人生は9割決まる!』

を読了し参考になった点を挙げてきた。

 

ここからは私が共感できなかった部分について記述していく。

 

「極端だと感じるものも多かった」

と先述したが、

金川氏の考え方や生活のルールは

彼の実体験に基づいており、

結果的にお金を稼ぐことを成功させているものであるため

否定をするつもりはない。

 

むしろ、

すべて取り入れられるなら取り入れたい

と思うくらいだ。

極端だけれどできないことはない。

 

ただ、「ほんとうにお金だけを目的とするなら」である。

 

 

金川氏はお金を稼ぐためには

とにかく時間が必要だと述べる。

あらゆるものを短縮し、時間を生み出す。

 

食事や入浴時の自分一人の時間だけでなく

友人との時間も、そぎ落とす対象である。

 

「20代のうちは遊びも恋愛も酒も睡眠も最小限に、

生み出した時間はすべて勉強・自己投資に捧げる」

というのが著者の20代の生き方らしい。

 

恋愛や、素敵な友人と出会うのは

お金を稼げるようになってからで良いだろう、

ということだネガティブ

 

特に印象に残ったのが、

 

・自炊はせずに外食か市販の弁当

・ショートスリーパーが成功をつかむ

・湯舟✖、行水でOK

である。

 

「毎日外食ならお金はどんどん減っていくよね、矛盾してないか?」

と一瞬思ったのだが、

金川氏はお金を「貯める」のではなく

「稼ぐ」ことに焦点を置いているのだ。

 

稼ぐための時間を生み出すことを最優先に考えれば、

自炊も無駄な時間だと切り捨てられる。

 

また、彼は健康について一切言及していない。

というか、

なにもせずとも健康でいられるのだから

20代は無理してなんぼ

という考えをお持ちのようである。

 

これには正直驚いた。

体を壊したらお金を稼ぐもなにもなくなるのに。

 

 

 

 

金川氏は

「ずっとやっていられるほど好きなことをできる仕事を見つけろ」

とも言っている。

 

お金を稼ぐことがストレスでない人に限っては(ここ大事)

自分を癒すための食事も、

リラックスさせるお風呂も、

必要ないだろうという主張なのではないかと考えた。

 

彼は食事を10分以内、風呂も5分以内に済ませるという(!)

 

食事や風呂などの私生活の部分を

切り詰めに切り詰め、

作業のように行っている想像がつく。

 

もはや私生活部分はほとんどなく、

仕事と私生活の境界線が曖昧である。

曖昧であればあるほど、

お金を稼げるということは明白である。

 

しかし、好きなことで稼げるようになれば、

仕事と私生活の境界線も曖昧でよいかもしれないが、

問題は好きなことを仕事にできるまでの間だ。

 

ずっとやっていられるほど好きとは言えない仕事をしながら、

味わう時間もない食事、行水風呂、短時間睡眠など

私には到底無理である昇天

 

金川氏は、

好きなことだけで生きていけるようになるまでの間も、

このような仕事漬けの日々を送っていた。

それは本当に尊敬に値する。

ものすごい執念・おかねへの執着である。

 

 

 

 

 

金川氏は家事代行を月1万ほどで頼んで、

時間を生み出す一方で

犬の散歩は「好きだから」自分で時間を使って行うらしい。

 

 

私は仕事と私生活にはメリハリをつけて、

自分を癒しながら自分の機嫌を取りながら生きていくことを望む。

「好きだから」自炊もするし、

体がほぐれる感覚が「好きだから」ゆっくり湯舟にも入る。

 

私と著者とではお金をたくさん稼ぎたい

という気持ちは共通して持っているが、

生きていく上での優先事項が違う。

 

 

成功者の自己啓発本を鵜吞みにせずに、

自分の信念や価値観を鑑みながら読まなければならない。

そんな感想を持った一冊だった。