♪♪

 

「消える?なんで?」

 

てては最も至極な疑問を呈した。

当たり前だ。誰だってそう思うに決まってる。

 

「…」

「ぐぅ、どうしたの?急に変だよ?落ち着いて」

 

てても腕を回して、ぎゅってしてくれた。

 

「俺が消えるわけないじゃん。どうしたの。消えないでって…俺、消えそうだったの?」

 

耳元に流れる大好きな美声。

少しいつもよりゆっくり話して…僕を落ち着かせようとしてるらしい。

 

小さく1回だけ、てての後ろの首元で頷いた。

 

「…てぇてぇ…」

 

小さい小さい声で呼ぶと。

 

「ぐぅ…?ほら、大丈夫だよ」

 

って言いながら、そのまま左手で頭を撫でてくれながら、おでこ、こつんって。

その優しさと感触に、涙は滲むどころか今にもあふれそうになった。

 

「俺がどうしたの?」

 

ん?と覗き込まれ、今度は本当に心臓が止まりそうになって…。

思わず瞬きをしたもんだから、

 

「なんで泣いてんの」

 

あ~、ばれた(泣)

ばれたくなかったのになぁ…。

 

そう思ったら、ばれたのが情けないやら、さっきから今のたった数分で切なくなってるわ、てては心臓跳ね上がらせてくるし、色々混ざり合って…感情をどうしたらいいかわかんなくて。

それが全て湧き上がってきて、ぶわ~って涙が溢れ、泣いてしまった。

 

急に泣いた僕にびっくりしつつも、てては体をそらせてテーブルからティッシュをとり、

僕の鼻をかませてくれて、もちろん涙も拭いてくれる。

でも、あとからあとから… 涙が止まらない。

なんでだろう。自分でも不思議だ。

 

てては根気強く、何回でもしてくれた。

時々、優しく抱き締めてくれて…

 

暫くしてやっと涙と鼻が少しずつ落ち着いてきたと思ったら、

 

「?」

 

おでこに何かあたった。

それがてての唇だとわかるのに、自分が泣いてる最中ってのもあって、数秒かかった気がする。

顎にはてての手…たぶん右手…?が添えられていた。

 

そして目を開けようとしたとき、左目の瞼に何か柔らかいものが押し当てられた。

びっくりしてぎゅってそのままつぶると、今度は右目の瞼にきて…。

 

ぎゅってつぶったから、まだ残ってた涙が下まつ毛をつたい、頬に落ちたのがわかったけど。

 

「?」

 

それはてての唇にそっと吸い取られ、流れることはなかった。

それどころか、ててはそのまま両目の涙の流れたところを全て、そ~っとそ~っと、ゆっくりゆっくり。

唇と…舌で、拭って舐め取ってくれた。

 

さすがにそれは目を閉じたままでも、僕でも感触でわかる。

むしろ、目を閉じたままだからこそ、反対にどういう光景なのか想像できてしまって。

しかも嬉しさと恥ずかしさと、その…てての感触で色々感じてしまい、心臓が破裂しそうでしょうがない。

 

目を閉じたままなのと、声を出さずに堪え切れたのが本当にラッキーだったけど、

人生最高に全ての自制心と平常心を総動員した。

 

 

 

 

(つづく)