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なんか… どう見てもこれって、僕が女の子じゃん。

まぁ、ててはこの学校で一番偉い人だし、国宝級の美男子だし、

どう考えても僕を慈しんでるのが伝わってきたから、僕が女の子みたいな側でもいいけどねぇ。

 

鼻も涙も止まって、やっとちょっと落ち着いて。

ソファーにもたれて溜息をつくと、美しい右手が近づいてきた。

ててって名前つけただけのことはあって、本当になんて綺麗な指なのかなぁ。

 

「ぐぅ」

「ん?」

「落ち着いた?」

 

うん、と頷くと、てては微笑んで僕の左頬を右手でさする。

 

「それなら良かった。急にびーびー泣くから驚いたよ。なんで俺見て泣いたの?」

「あ…」

 

それはね…。

 

わけを話すとてては、ちょっと一瞬、照れて俯いた。

 

「そういうことか~。それで俺が消えちゃうんじゃないかって思ったのな。…ぐぅは感受性豊かなんだな」

「そう?」

 

いきなりそんなこと言われてびっくりする。

今まで、感情表現や表情は外ではなるべく隠して生きてきてるから、あまり自覚もしたことない。

当然、言われたこともない。

 

「そうだよ。俺がちょっとそういう顔っていうか、目をしたからって、普通、泣くところまでいかないよ」

「…たしかに」

 

そこでふと思い当たる。

 

「それを言うなら、ててだって普通じゃないじゃん」

「?」

 

何が?って、眉を上げるのすらも可愛いって、どういう顔なのこの人は。

 

「友達が泣いたからって、鼻かませてあげたり、涙を唇で吸い取るとか、

 そのあとをな…舐めるとかさ…ありえないじゃん。ティッシュ差し出すぐらいじゃない?」

「あ~。涙を吸い取るのは普通にありえると思うんだけどなぁ…」

 

ててはそう言うと、顔を赤くしながら頭をかく。

 

つまり、「舐めるってのは普通じゃないかも」って自覚はしてんだね、きっと(笑)

 

「なんか…」

「なんか?」

「お前可愛いしさ」

「うん。じゃなくて」

「ぐぅが泣いてるの見たらどうしても…に耐えられなくて…」

 

と、てては急に顔を強張らせ、口をぎゅっと結ぶと立ち上がった。

 

「え?なに?何に耐えられなかったの?」

 

大事なところがよく聞こえなかったんだけど。

 

「まぁ、いいんだよ。っつーことで、もう6時近いから、何か飲んで朝ごはん食べよう」

 

そのままてては、キッチンへと行ってしまった。

 

そういえば、前も似たような顔したよね。

あのときもなんか大事なこと言おうとしてた時だったような…。

ってことは、あれはててのクセなのかな。

ああなったら大事なことを言おうとしてるか、言ったか、隠そうとしてるかっていう。

今度からあの顔したときは、前後の内容とか何を言おうとしてるかとか、よく気をつけよう。

 

僕が泣いたら何に耐えられなくて、ああしてくれたのかなぁ。

 

 

 

 

(つづく)