チームのために自分のスタイルを曲げる覚悟 | 悪態のプログラマ

悪態のプログラマ

とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

ある開発プロジェクトで、コーディングルールなどを決めていたときのこと。外注プログラマの中に自己主張の強い人がいた。コメントはこう書くべきだ、モジュールの構成はこうすべきだと、意見を出してくる。それ自体はいいのだが、その内容は我々の経験からすると「一般的でない」と思われるものだった。しかし、彼はチームが初めて採用する技術について詳しいという触れ込みだったし、あまり熱心に主張するので、結局、彼の意見を取り入れて開発を進めることになった。

しかしである。開発を進めるうちに、その選択が間違いだったことが明らかになっていった。彼のルールのおかげで、開発効率は悪く、コードの保守もしにくくなった。しかも、彼自身の技術力も決して高いわけではなく、ただ「妙なこだわり」を持っているというだけであることが分かった。

「妙なこだわり」をもつ人が偉そうに喋っていると、「できる人」のように見えてしまうことがあるのだ。騙されてはいけない。


プログラマというのは、多かれ少なかれ、自分のやり方にこだわりを持っているものだ。コードの括弧の書き方や変数名の付け方から、設計方針、開発言語や実装技術の選択のようなものまで。

こだわりを持つこと自体は悪いことではない。しかし、それに固執するのは間違いだろう。どんなやり方にも一長一短があるものである。チームに必要であると思われることを提案していくのはよいことだが、それを最終的に採用するかどうかは、チームが判断することだ。個人的なこだわりを必要以上に主張すべきではないだろう。


マーチン・ファウラー氏は、「プロのプログラマというのは、チームのために自分のスタイルを曲げる覚悟がある」と言う(※1)。「覚悟」というと、ちょっと気負って聞こえるが、「自分のスタイルを曲げる」ということにストレスを感じるようでは、プロとはいえない。

ルールを無批判に受け入れよと言うつもりもないが、ルールをルールとして受け入れるだけの度量の広さを持ちたいものである。


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※1 bliki_ja 「コードがドキュメントだ」より



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