お前がウイルスだろ! | 悪態のプログラマ

悪態のプログラマ

とある職業プログラマの悪態を綴る。
入門書が書かないプログラミングのための知識、会社の研修が教えないシステム開発業界の裏話は、新人プログラマや、これからプログラマを目指す人たちへのメッセージでもある。

ユーザーの意思に関わらず、他のプログラムをコンピュータから削除してしまうようなプログラムは、ウイルスだと言ってしまってもいいだろう。

あるウイルス対策ソフトを、インストールしたときの話である。

そのとき、私は常駐先の会社に、自前のノートパソコンを持ち込んで作業していた。その会社では、有名なA社製のウイルス対策ソフトのインストールを義務付けていた。私のノートパソコンには、既に個人的に購入したB社製のウイルス対策ソフトが入っていたが、その会社のネットワークを利用するには、そのA社製のソフトをインストールしなければならなかった。

A社製のそのソフトは、企業などで大量導入するための製品で、設定などをサーバーで一括して制御するようなタイプのものだ。当然のごとく、ネットワークからインストールできるようになっていた。

指示されたまま、そのソフトインストールすると、なんと、私が入れていたB社製のソフトが勝手にアンインストールされてしまった。


競合する他社の製品とはいえ、自動的に削除してしまうとは、あきれたものである。

もしかしたら、何らかの確認メッセージが表示されたのかもしれないが、少なくとも、私は気が付かなかった。あるいは、インストール・マニュアルに書いてあったのかもしれないが、企業での大量導入を前提とするソフトのインストール・マニュアルを、ユーザーの何割が読むだろうか?

確かに、ウイルス対策ソフトというものの特徴を考えれば、A社のソフトとB社のソフトを同時に動かすと機能的に不都合が出るようなこともあるのかもしれない。しかし、それは他社製品を自動的にアンインストールしてよい、という理由にはならない。

常識的な設計者であれば、インストール中に他社のソフトを検出したら、ユーザーに手動でアンインストールするようにメッセージを表示し、処理を中断させるところだ。


A社のこのソフトは、ウイルスを検出・削除することを目的とした、安心感を売るソフトのはずだ。その意味では、ウイルスよりも性質が悪い。

「Microsoft Word」をインストールしたら「一太郎」が削除された、などという状況を考えてほしい。それと同じことをやっているのだ。普通なら裁判沙汰である。

ただ、私も、逆にA社のソフトを入れた状態でB社のソフトをインストールしたことは無いので、もしかしたら、お互い様なのかもしれないが。。。

それとも、ユーザー(管理者)の設定により、手動削除を促すように変更できるのだろうか? 今から考えると、そう信じたいような気もするが、とにかく、その時の私は、「今後A社の製品は購入すまい」と心に決めたのである。





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