29冊目「秋」

文・絵 かこさとし

講談社  初版2021年

 

膨大な作品数を出版されているかこさとしさんの1冊。

でも、図書館で見つけた時、

今まで見てきたかこさんの作品のイメージとちょっと違うな、

と感じて借りてきました。

 

冒頭、秋が好き、と

秋のいいところ、好きなところをたくさん挙げています。

 

が、そんな秋を、とてもきらいになったことがある、というのです。

それは昭和19年のこと、といいます。

戦時中のことです。

 

高校生だった加古少年の体験談が語られていきます。

この中にも戦時中の人々がどんな風に暮らしていたかや

大変だったことなど。

 

そんな中、盲腸炎になって手術し、入院していたエピソードが語られます。

世話係のおばさんとのやりとり、

手術してくれた先生に召集令状がきたこと

薬がないので、傷の治りが悪かったことなど。

 

そんな入院中の中、秋がきます。

ある日のこと。煙を吹いて落ちてくる日本の戦闘機から

飛び出した飛行士が飛び出します。

きっと落下傘で降りてくるだろう、

と見ていると開かぬ落下傘・・・

 

そのほかにも、語られる戦争の悲しいエピソードの数々。

こんな戦争なんか1日も早く終わったほうがいい。

青い空や澄んだ秋晴れは、戦争のためにあるんじゃない、と。

 

翌年、戦争は終わり、

いろいろな秋がやってきたけど、

「戦争のない秋の美しさが続きました。」

と締めくくられます。

 

終わりに、この絵本が出版されるまでの長い道のりが、

長女の方による後書きで語られます。

 

どうして紛争はなくならないんだろう。

世界のどこかで、

悲しいエピソードが、現在進行形で生まれていると思うとたまらないです。

 

せめて、加古さんのメッセージを受け止め

自分の周りが笑顔になるように、と

日々を過ごしていこうと思います。

 

 

書きかけてから、ここまでに

また数日かかってしまいました。要鍛錬笑い泣き