朝一の満席のローカルバスで身の危険を感じながらバス停に到着した。
人でごった返している。直ぐにアレッピーからコーチン行きのバスを探す。直ぐに見つかる。15分後には出るようだ。
「コーチンまで、どれくらいかかる?」と聞くと「一時間半くらいだ」との事。
乗り込むと直ぐにバスは発車した。
直ぐに待ち合わせをしている友達に電話する。
「一時間半でそっちに着くはずだ」これは確信ではなくて願望である。
案の定一時間半たっても町は見えてこなかった。
不安になり「自分達は駅に行きたい。駅に着いたら教えてくれ」そう運転手につげると「YES」との事。そのすぐ見た事のある景色が見えた。
もう少しだ。少しずつ景色が町に変わって来た。少し進むと運転手が「次だ」と言った。
言った通り次で降りるが、どう見てもバス停ではない。
降りて通りがかりの人に聞いてみる「ここは駅の近くかい?」直ぐに答えが帰ってくる。「YES」もう信じない。「NO」と言って友達に「ここは駅じゃないよ」
バスに乗り運転手ではなくて乗客に聞いてみる「駅は何処だ」乗客の小太りのおばさんは答える。「まだ先だ。二つ先の停留所だよ」そうだろうそうだろうと席に座ると運転手が「駅はここだ。降りろ」言ってくるがもうお前の事は信じないよと無視して座った。
二つ先の停留所は見覚えの在る駅の近くだった。
降りて駅に向かい歩いていると友達が言った。
「もう二度とバスには乗らないからな」
それはそうだろう。インド生活が長い自分でもなかなか乗らない移動をしたのだ。次の移動は優雅に行ければいいな頑張ろう。
12分くらい歩いて駅に着いた。
友達を探していると懐かしい顔が笑顔で歩いてくる。
うれしくなって直ぐに抱きついた。
ここでパーティーが二人ふえる。
そこで分かりやすくする為に名前を付けたいと思う。
一緒に木の棒で釣りをした友達は「夏休」合流した二人の友達の一人は「プリンス」もう一人を以後「調理師」と呼ぶ事にする。
ひとしきり再会を楽しんだ後、夏休に聞こえないようにプリンスと調理師の二人に耳打ちをする。
「電車の切符がない」
二人は大爆笑している。大爆笑している二人に「どうしようもない」とつげると追って大爆笑。
「ただ頑張ってみる」そう言って自分と夏休とプリンスに調理師は切符売り場に向かった。
「多分大丈夫」と言いながらジョージの事を恨む。
はっきり言って電車のチケットなんて二日前なら95%。一日前でも50%当日になるとほぼ0%でとれる。ジョージにチケットを頼んだのは三日前。
まあやるしかない。
切符売り場の列に並ぶ。順番が来た「ゴアまでのチケットを4枚」と言うと「無いよ」うーん。困った。
その事をつげるとプリンスと調理師は笑い夏休は無言で睨んだ。
プリンスは言った「どうするの?」夏休は言った「どうするんだ?」調理師は「ゆうくんにのりますよ」と言った。
そこで自分は作戦をつげる。
「切符が無いので、キセルで乗ろう」
「・・・・・・・・・」無言。
でもそうなるだろうなと思っていたので驚かない。
「とにかくここにいてもどうにもならない。進みましょう。きつかったら途中で降りればいい。とにかく進みましょう」
渋々ながら三人とも賛同した?
電車は一時発。
直ぐに電車を探し見付けて乗り込む。
ここでインドの電車の席について説明しよう。
インドの電車のシートは幾つかの等級に別れる。
最高クラスのファーストAC乗った事が無いので知らない、次がセカンドAC。エアコン付きでベットがふかふかで一区画四人用の寝台快適である。次がサードAC。一区画に6人乗りの寝台。ベットは少しふかふかもちろんエアコン付きこれも快適である。次がセカンドSL一区画に6人。ベットは堅くエアコンではなく扇風機。夏に乗ると汗疹が出来る。もちろん今は夏。これがバックパッカー達の乗るクラスになる。
その下がセカンドシート。ベットではなくて座りのみ。短い移動ならこれでも十分である。その下がサードシートの自由席になる。このクラスになるとよっぽどの事が無い限り乗らない。なぜなら汚いし席を取るのも命がけ。通路にすら人がひしめき。荷物置き場にも人が座っている。このクラスの乗れば世界でもトップクラスの混沌を体験できる。
もちろん自分達が飛び乗ったのはこの混沌クラス。
何とか席は確保したが詰めても5人が限界の所に6人が座っている状況。
調理師はきょろきょろしている。プリンスは呆然とし。夏休は瞳孔を開き自分を睨んでいる。
必死で「苦しくなったら降りましょう」となだめるが効果はない。
相変わらず夏休が睨んでいる。
自分は目をそらし窓から外を眺め心の中で呟いた。
「困った」そして電車はゆっくりとキセルの四人を乗せゴアに向け発進した。
夏休が「帰国を早めようと思っている」そう呟くのを聞いた。

 
船の乗組員は三人。船長一人。もう一人船長。もう一人がコックだ。
何で船長が二人いるのかは不明。理由を聞いても英語があまり通じない。
とにかく船は進み始めた。もう後戻りは出来ない。
30分くらいは知った所で船が一度止まる。
少しだけ英語の話せるコックが「ここでエビやカニ。魚が売っている。買え」
と言ってきた。
またおかしな事を言っている。ご飯込みでレンタルしたはずだ。
それに正直。自分と友達の二人は荒れ果てたコーチンの海を見て、こんな汚い海の生き物は食べるべきではないと魚介を食べないようにしていた。
まあ、せっかくなのでどんな物が売っているのか見る事にした。
友達は腹を立てているのか船から降りようともしない。
船を降りるとおじさんが話しかけてくる。
「エビとカニを買え」
すぐさま「NO」だってどう見ても新鮮には見えない。ハエがたかり白濁とした白い目が気持ち悪い。
仕様がないのでポテトチップを買う。
片方の船長が「何故買わない?」と聞いてきたので、英語が通じないのでまた「NO」とだけ伝えると伝わった。
自分の旅の中でも最高級の贅沢をしているはずなのだが、二人で景色を眺めポテチを食べている。
なにもする事が無いので友達が「釣りをしよう」と言いだした。
ふて腐れてポテチなんかくっている場合じゃない釣りをしにきたのだ。
コックに「釣りがしたい」とつげると「待ってろ」と笑顔で奥にきえた。
そして期待していた通り片手に木の棒を二本もって、もう片方の手で小麦粉の団子をもってやってきた。
自分等ふたりはこの木の棒を見たら、笑うしか無いようでお互いに笑い。
「これは罠だ。こんな棒で釣れる訳が無い。騙されてはいけない。コックに本当に釣れるのかやらしてみよう」
「本当にその棒で魚が釣れるのか?」
「YES」
「ならやってみろ」
どんな反応が返ってくるのか楽しみに待っていると喜んで釣りを始めた。
原理はいたって簡単。
棒の先に糸を巻き付け。その糸の先に針を付け。針の先に小麦の団子を付ける。
ハイ出来上がり。
コックがうれしそうに釣りを始める。
友達が「浮きも付いてないぞ」と大爆笑している。
とにかく地元民の釣りを観察していると友達がとうとう重い腰を上げた。
もう一本の棒をもち。釣りを始めた。
針の先に小麦粉の団子を付け。川に投げ込んだ。
団子が川に沈む瞬間友達が叫んだ。
「釣れるきがまったくしない」
「見ている時も釣れるとは思わなかったけど、やってみるともっと釣れる気がしない」
「ちょっとやってみろ」というのでやってみた。
釣れるきがまったくしない。
友達は自分に釣り竿を渡すと静かに釣りをやめた。
自分も二度三度は挑戦してみたが、静かに竿を置いた。
ちなみにコックは釣りを楽しそうに続けている。
棒は二本しか無い。客は自分と友達の二人。
普通なら釣り方を教えて棒を渡しそうな物だが、その気はさらさら無いようです。
それに自分達に渡された棒が竹のような棒ならコックがもっている棒は先が少しだけ細くなっていてまだ竿に近い。
釣りに夢中で渡そうとしないがそんな事はもうどうでもよくなっている。
ずいぶん時間が経ってやっと、仕事ができたのか奥から呼ばれ棒を置いた。
なにもする事が無く暇をしていた二人は、どちらともなく「あっちの棒でやってみよう」と言う事になった。
まずは友達が試し言った。
「さっきよりはましだけど、釣れるきはまったくしない」とまた棒を置いた。
次は自分が試す。
全神経を釣りに集中する。
二度三度続けると何となくアタリを感じるようになり。
そのアタリにあわせて棒を引きあげると、糸の先に手の平サイズの小さな魚がかかっている。釣ってしまった。
「釣れたぞ」とコックに向かって叫ぶとうれしそうにコックがやってきた。
やったなと喜んでくれる。
「これを夜ご飯に調理してくれるか?」
と聞くと「YES」と言ってくれたのだが、夜ご飯に調理される事はなかった。
「なぜ?調理しなかったのか?」と聞くと「小さすぎる」と言った。
「さっきYESと言ったではないか?」と問いつめると笑ってごまかされた。
夜ご飯でも笑わせてくれた。
ハウスボートで食べるご飯。
期待をしていたら、出てきたのは家庭料理。
それも、コックが作るこの地方の家庭料理ではなく。ママが作る家庭料理が出てきて驚いた。
レストランや外食ではまず味わえない味だが、家庭では当たり前に食べられる味。旨いのは旨いが特別ではない。
特別ではない特別な料理のお礼に、ビールを買い込み。二人の船長とコック一人にごちそうする。
次の日の朝、電話が鳴る。
「コーチンまでのタクシーを手配するか?」
と聞かれ。
値段を聞いて腹が立った。また足下をみている。
腹が立ったので、断り自力でコーチンまで帰る事に決めた
バスか電車かタクシー。
悩んでいても仕様がない。
朝ご飯が出てきたのでそれを食べる。
朝ご飯も特別ではない特別な家庭料理が出てきた。
この日、コーチンで二人の友達が合流予定だった。
携帯が鳴る
「もしもし着きました。そっちはいまどの辺ですか?」
どうやらその友達がもう着いたようだ。
自分達はまだ船の上。
「ごめんまだ船の上。身動きがとれない」
アレッピーからコーチンまで車で2時間。ここから岸に着くまで不明。
船長に聞くとそんなに時間はかからないと言うので3時間位で合流できるから、レストランでも入って待っててもらう事に、直ぐにご飯をすませ。
ハウスボート発進。
30程で到着。
直ぐにバス停への行き方を聞く。
「バス停まではバスで行ける。そのバスは大通りで拾える」
なので大通りまで出てそこでバスを止める。
バスは満車。
友達は開きっぱなしの扉の所に立っている。
時々「危険を感じた」と嘆いている。
バスの入り口で箱乗り状態でカーブの旅に落ちそうになるのだろう。
バス停に着くと「少なくとも二回は身の危険を感じた」と言っていた。
バカンスがしたいとインドに遊びに来た友達に

2月27日
バラナシ出発。
(目的)  友達を迎えに行く。インドをあんないする。一緒に遊ぶ。
(目的地) ケララ(コーチン)ゴア デリー アーグラー ハリドワール デリー
(日程)  3月2日から3月16日までの2週間にデリーからコーチンの移動日数+3泊四日
(お題)   バカンスありゴアで騒ぎタージマハール観光して最後にクンブメーラ
(プログラム)
友達は魚釣りが大好きなのでコーチンの川上のアレッピーでハウスボート(船の家)で一日中釣りを楽しみ。電車でゴアへ。ゴアで騒いだ後に飛行機でデリー。アーグラでタージマハールを観光してデリーからハリドワール。

これで完璧だと下調べをすませて、切符を買いに行く。
まだ2月26日。待ち合わせの時間まで5日あるし直行便もあると聞いていたので安心。
何時もは気分で動くのでチケットも持たず電車に飛び乗る事が多いけど今回は余裕をもって友達にチケットを頼んだ。
すると「余裕でしょ。探しとくから夜に来なよ」と言うので夜にいくと「大変だ。コーチンまで4日かかる。とにかく話しを聞きに行こう」と友達の友達がやっているチケット屋さんへ行き説明を受ける。
「直行便があるにはあるが一週間に一本しかない。明日には出ないと間に合わないよ」本当に3泊4日かかる事が判明。
「すぐチケットをとってくれ」
「出来るか分からないけどやってみる」
やってくれた。何とかチケットをゲット。
直ぐに準備をすませバラナシを出発したのが2月27日、友達との待ち合わせ場所は南のコーチン。バラナシは北。到着は3月2日朝。
電車の遅刻やキャンセルにあうと待ち合わせ不可能。
急いで準備をすませて次の日の朝、電車に乗った。
閉鎖された空間に4日は思ったより大変だったが何とかコーチンに着いて駅の改札を抜けて外に出てびっくり。
殆どのお店がしまっている。不思議だが、不思議がっている時間はない。タクシーを探しているとトゥクトゥクの運転手が「今日はストライキなんだ。何処のお店も閉まっているよ。バスもないよ。タクシーもないよ。でもトゥクトゥクなら大丈夫。でもちょっと高いよ」と言ってきた。
ストライキなのは分かった。だが言ってきた値段は足下を見ている。
聞き込みをしながら歩いていると、ストライキでも、ご飯屋さんと薬屋さんは開いている事が判明。
ポートコーチンまで船が出ている事も判明。
「5分くらいで着く近い近い」と言うので信じて歩く。
5分と言ったのに、ゆうに30分はかかった。迷ったわけではない。言う通りに歩いて30分かかった。
ただ船着き場には着いた。
船に乗ってポートコーチンにやっと着く。
ホテル探し。
ホテル探しで大事な事「出発前に初日から落ち込みたくない」綺麗なホテルを探す。
探すが何処のホテルも一杯で部屋が見つからない。
やっと見付けた部屋が100ルピー(日本円で約200円)とても清潔とは言えない。駄目だ。
ほとほとまいって歩いていると、ホテル街の端っこの端。昔ここに辿り着いて住み着いたオランダ人の墓の横にホテルがあった。
入ってみるといきなり小さな当たり前だがインドのおじさんが話しかけてきた。
「部屋を探していますか?」
「はい」と答えると「部屋はあります」と案内してくれた。
一緒に歩き出すと「何処から来ましたか?」というので「日本からです」と答えると小さなインドのおじさん大はしゃぎしながら「わたしには日本人の友達が一杯います。だから日本人が大好きです」
部屋を見てみるとなかなか綺麗だ。
今日は初日。少し高いが他の部屋が空いていないので仕様がないとこの日の宿を決め。
お互いに自己紹介をした。
「わたしの名前はジョージです。ジョージさんと呼んでください」
この段階で気付けばよかった。
このジョージさんが今回の旅の落とし穴だと言う事に・・・
ジョージさんが釣り名人だという事に・・・
気付いていればよかったのだ。

部屋にチェックインしてとにかくシャワーを浴び。飛行機の到着時間まで時間があったので聞き込みをする事にして部屋を出るとジミーさんが大きな笑顔で近寄ってくる。顔が近寄ってくる。
小さなジョージさんはアゴをあげてギリギリまで顔を近づけて話すのだ。
「どうしました?」
「ハウスボートとゴアまでのチケットを予約したい。何処に行けば出来る?」
小さなジョージさんが答える。
「わたしがコーディネートできる。大丈夫問題ない」
疲れ切っていた自分には天の助け。
「ありがとう」
「あなたは少し休みなさい」と言われ「空港まで友達を迎えに行かないといけないからまだ休めない」と言うと「それも大丈夫。わたしが手配しましょう」
そう言ってくれるならありがたい。それもお代はガソリン代だけで言いとの事。
安心して時間までゆっくりして車が用意してあったので乗り空港に向かった。
空港に向かう途中。
運転手に「お勤めご苦労様です」をポーズとともに教え。
自分は隠れてお迎えを若いインド人のお兄ちゃんにいってもらい。隠し撮り。
結局、お兄ちゃんは緊張しすぎたのかどうか分からないが「お勤めご苦労様」を言わなかった。
ホテルに帰って、ビールを飲んでこの日は眠る。
次の日。朝ご飯を終え。
町にくり出す。
まったく町の事を知らないのでさまよう。
ご飯をたべて、ホテルに帰り。
シャワーからお湯が出ないと友達が怒っている。
「お湯が出ない」フロントに伝えると「少し待て」ろと言うので待っていたらボーイが来て蛇口からお水を出し手で温度を確かめ始めた。
そんな事をしても意味ないだろうと思いながらも見守る。
待っても待ってもずっとやっているので付き合うのをやめて待っていてもまだやっている。タバコを吸い終わり確かめに行くとまだやっている。
「どうだ?」と聞いたら「時々あたたかい」と訳の分からない事を言っているので諦めて頼んでおいた切符とハウスボートの事を聞きにいく。
朝の時点では
「チケットは取れた?ハウスボートはどう?」
「yes.問題ない」とジョージさん。
今は夜「チケットは取れた?」と聞くと「no.駄目だった」
時間が無い事を説明して、お願いしたのに何を言っているんだ?
あきれながら「とにかく取ってもらわないと困る」「時間が無い」事をつげると「yes.問題ない」
不安になり「ハウスボートの目的は釣りだからね。釣りが出来ないと駄目だよ」と念を押すと「それは大丈夫」と言うと小さなジョージさんは笑顔できえた。
その事を話すと、ただでさえお湯が出ないで腹を立てていた友達は夜ご飯も食べずに静かにふて寝をした。
その夜、結局ジョージさんは電車のチケットを取れなかった。
「当日。タッカーチケット(出発の2日前から売り出されるチケット)があるからそれを取れば大丈夫」
もう時間も時間。いまさら何も出来ない。
不安のまま、自分もふて寝した。
次ぎの朝。アレッピーに出発。
車は用意されていた。
車に乗り込むときにジョージに念を押す「チケットは頼んだよ」「YSE」
「釣りは本当にできるのか?釣り道具はあるのか?」「YES」
不安の中、自分と友達はアレッピーに出発した。
車で約1時間半アレッピーに着いた。
直ぐに友達と二人で船のチェック。
船はなかなか良い。
「釣り道具はあるか?」すかさず返答「直ぐに用意する」
直ぐに用意する?
何故事前に用意しておかないのだ。と思いつつも仕様がないので待つ。
1分くらいだろうか経って釣り道具を取りに行ったお兄ちゃんが笑顔で木の棒をもって船に乗ってきて竹のように見えて竹ではないただの棒を二人に見せて「これで大丈夫。さあ行こう」と言った。
今まで怒りまくっていた友達もさすがに笑っている。
二人は目で会話した。
「これはないでしょう」
「ないでしょう」
「これはさすがに冗談でしょう」
「もちろん冗談ですよ」
友達が聞く「まさか、それを釣り竿と言うのではないだろうな?」
兄ちゃんが答える「釣り竿以外の何に見える?」
「ちゃんとした釣り竿はないのか?」
「これがちゃんとした釣り竿だ」
「俺が言っているのは普通の釣り竿だ」
「これが普通の釣り竿だ」
堂々巡りの会話。
「日本で、それは釣り竿とは言わない。棒というんだ。リールもついてないじゃないか?」
「日本ではそうかもしれない。ただこの川の魚はインドの魚だ。日本の釣りでは釣れない。インドの釣り方でないと釣れないよ。ハッハッハッ」
どうやら暑すぎて頭が可笑しくなったのだろう。
笑っている。
二人ももう笑うしかなかった。
話していても始まらない。
棒に糸を巻いて先に針を付けただけのこの原始的な釣りに挑戦するしかなさそうだ。
ジョージにやられた。
「もう、船を出してくれ」
船を出してすぐにジョージに電話した。
「はなしがちがう。あれが釣り竿か?」
「あれが釣り竿だ」よくもまあどの口が言っているんだ。
「もう釣りの話はいい。チケットは取れたのか?」
「チケットはとれなかった」
「どうするんだ?」
「明日一緒にチケットを取りにいくから大丈夫」
自分がどれだけインドを電車でかけずり回っているか知っているのか?当日にチケットが取れる可能性なんて20%くらいだろう。そんな博打に乗れない。
「ぜったいにチケットを取ってくれ」
「もうやるだけやった。無理だ」
おうおう、電話だとなかなか歯切れが良いじゃないかい。
自分はここで諦めた。
だってもう船は進みだした川の上だどうしようもない。
だがこれだけは確かめておかないといけない。
明日はもう二人の友達と待ち合わせ。「帰りの車は大丈夫だろうな?インクルードと言ったよな」
ジョージは不気味に答えた。
「インクルードは船までだ。帰りは自分で帰ってこい」電話を切られた。
呆然としながら、船は熱帯雨林の奥地へ進んでいく。
ジョージコーディネートのアレッピー一泊二日の旅が始まった。
急ですが今からバラナシを出発します。
何時ものごとく出発前でばたばたしているので、また到着地についてから説明します。
とにかく三泊四日電車の旅に行ってきます。
ホーリーが完全に始まってしまった。
今日から3月1日まで何処から水が飛んでくるから分からない。
用心して歩かないといけない。
幸運な事に、まだ自分に被害はないが、町中に赤い顔したのやら青い顔したのやら黄色いのやら混ざったのやらのゾンビが町を彷徨い始めた。
自分を守るには部屋にこもって嵐を待つか、水鉄砲で武装するしかない。
自分はまだどっちにするか迷っている。
バラナシでホーリーという祭りが始まった。
本当は3月28日から始まって3月1日が本番なのだが昨日からすでに始まっている。
ホーリーでは春の訪れを祝ったり地方では悪魔払のために色のついた水をかけ合う。
子供から大人まで色粉や色水を掛け合う祭りだ。
昨日から町中がバイオハザード状態に陥った。
顔が赤青緑色に染まったゾンビどもが町中を彷徨い歩き始めた。
子供は色とりどりの粉や水鉄砲に色水をいれて追いかけて来る。
悪鬼を追い払うために色水や色粉をかけて回るのだが、ここが神の住む町だからって早々悪魔はいない。
おのずと標的が人になる。
もちろん自分も標的だ。
カメラなんて持ち歩けない。水をかけられてお終い。
三色の色の意味は赤が血。緑は畑。そして黄色は尿や糞。
祭りでトランス状態にはいった者どもは、牛の糞を投げてくる事もある。
まあ、牛の糞ならいいのだが・・・・・・・
とにかくとんでもない物まで飛んでくる。
一夜にしてバラナシが危険地帯に変わってしまった。
そして自分は3月1日のホーリー祭を屋上から撮影しようと持っていたのだが、3月2日までにコーチンに行く事になった。
残念だ。
昨日の写真をアップロードするのに6時間かかった。
今日もこりずにアップしている。
そのうえ、またまた神様召喚してしまった。
アップロードに時間がかかりすぎるので今日はここまで

http://picasaweb.google.co.jp/WHITEElyu/ThaTH03#



後は移動が決まりました

継の行き先はコーチンです
シヴァラートリーからここまでコンサートの梯子をしてシヴァラートリー名物の乱痴気騒ぎを楽しんで楽しみ過ぎたことを反省。
祭りの後の呆然とガンジス川を眺める少年を見てこれでいいのだと反省をやめ。
そのまま遊び続けていたら何時の間にか今日になっていた。
浦島太郎です。
四日前から心を入れ替え。部屋に閉じこもっていましたが昨日復活。
最近カメラをまわしていなかったので今から撮影に行ってきます。
今日の撮影の目的はガンジス川の壁に描かれた数々の神様のコンプリート。
調子が良ければ明日。ここにガンジス沿いの神様を大集合させます。
神様何人いるのか?乞うご期待。