皆さんは、Born to run の主張を信じますか? | SOTOBORI STREET EYE!~赤坂外堀通りで働く広報コンサルタントの視点~

皆さんは、Born to run の主張を信じますか?

「人は走るために生まれたのではないか?」


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この言葉に引かれて、「BORN to RUN」(NHK出版、クリストファー・マクドゥーガル著)を購入したのが8月初旬。本を読むより実際のランニングの距離を伸ばすことに熱中していたせいでこの11月にやっと本を読み終えましたが、なかなか面白い本でした。


この本には人類の進化やランニングの常識を覆すような事実や主張が展開されていますが、これまでの常識が音をたてて崩れていくようで、読んでいて気持ちよかったです。ランナーとして自分の経験と重なる部分が多々ありましたし。



人間の持久力は哺乳類最高レベルのものであり、人間は走るために生まれてきたといっても過言ではない、というのが筆者の最大の主張です。


それを裏付けるように、本には人類が哺乳類の進化上で、長く走り続けられるように3つの進化を遂げたと書かれています。


1.呼吸方法

息をとめて全力疾走してどのくらい走れるか試してみればわかるように、速く走るためには大量の空気が必要だが、人類はスライドと呼吸を全く別に行うという、特殊な呼吸方法を持つ哺乳類として進化した。


2.体温調節


息切れした犬が舌を出してぜいぜい言っているように、一般の哺乳類は体温が上昇したら、走るのをやめなければならない。これは体温の放熱を呼吸を通して行っているためだが、人類は、体温の放熱を呼吸ではなく発汗によって行っている特殊な哺乳類で暑さに強い。


3.走るために進化した筋肉、常に満腹にしない食事


同じ二足歩行のゴリラやチンパンジーにアキレス腱や発達したお尻の筋肉はないという。これらは早く走るために必要な筋肉だから。


一方、人類の別の祖先であるネアンデルタールは肉食でお腹一杯食べていたが、ランニングマンであり人類の祖先であるホモサピエンスは、平時の食事を肉から植物に変えた。満腹になるのを控え常にのどを潤しておき、毎日、いつでも走りだせるような生活の中でくらしたという。

また、この本には「底が厚いシューズは必要ない。むしろシューズを履くようになった近代以降に、ひざをはじめとするランナーの足の故障が増加した」というようなシューズメーカーにとってはショッキングな主張もされています。実際にアメリカを中心に「ベアフィットラン」といって、裸足で走ったり、裸足に近い薄い地下足袋のようなシューズを履いて走る人が増えているそうです。


HITOTSUGI STREET EYE!~赤坂一ツ木通りで働く広報コンサルタントの視点~-ベアフィットシューズ

確かに気温が30度を超える炎天下、動物園の動物たちは皆ぐったりしていますが、人間だけは走ったり歩いたりと結構活動しています。またクッション性の高いシューズやそれを利用する走り方がかえって、人間の足の機能を退化させているようにも思えます。

本の中には

「人間と馬が並んで走ったビデオを見ると人間の脚の方が動きが遅い。つまり、馬には長い脚が4本あるにもかかわらず、人間の方がストライドが長いのです」

「一般的に馬が全力で走ったときの速度は毎秒7.7メートルだが、そのペースを維持できるのは約10分しかない。一方、一流のマラソン走者は毎秒6メートルの速さで何時間もジョグできる」

「NYシティマラソンのタイムを見ると、19歳を振り出しとして、ランナーたちは毎年速くなり、27歳でピークに達する。その後タイムは落ちはじめるが、19歳の時と同じスピードになるのは何と64歳」

といった衝撃の事実やデータが書かれています。


人類の祖先はいったん狩猟が始まれば、それが100キロで終わるのか200キロで終わるのか全くわからない超持久戦の狩猟をしていたのでしょうか?


人はなぜマラソンのような長い距離を走るのか?あの人はなぜ走るのが好きなのか?あの人はなぜ走るのが嫌いなのか?なぜランナーは膝や筋肉の故障に悩まされるのか?

あなたがこのような疑問を持ったことがあるなら、この本を読めばその答えがわかるかもしれませんよ。

江良嘉則