「選挙」で分かる、秋元康さんの「力」 | SOTOBORI STREET EYE!~赤坂外堀通りで働く広報コンサルタントの視点~

「選挙」で分かる、秋元康さんの「力」

みなさん、こんにちは!


私、実は最近、大いに刺激を受けている人物がいます。

それは、坂本竜馬ぜお!・・・・
ではなく「秋元康」さんぜお。


秋元康さんといえば伝説のアイドル「おにゃんこクラブ」をプロデュースしたり、外国人演歌歌手の「ジェロ」をプロデュースしたりと奇抜なアイデアで、常に社会に話題を提供している方です。


最近では、会いにいけるアイドルユニット「AKB48」を手掛け、更に注目を集めています。


現在、巷では、その「AKB48」の選抜選挙で話題はもちきりになっているようです。

この選挙によって、次回発売のシングルCDに参加できるメンバーが決定されるのだとか。
熱狂的なファン達は、自分のお気に入りのアイドル(通称:推しメン)をCDに参加させるために躍起になっているようです。


皆さんは、ご存知でしたか?
実は、投票は誰でも出来るわけではないようなのです。

選挙権を持っているのは、5月26日に発売された「ポニーテールとシュシュ」というシングルCDに同封されている
投票券を持った人のみ=CDを買った人のみ。
つまり、前述したようなお気に入りのアイドルを擁する熱心なファンは、希望を叶えるために、必ずCDを購入しなければならない仕組みなっているのです。


その結果、同CDの初動売上は51.3万枚と、CDが売れない時代に驚異的な売り上げを記録しています。
(オリコンによると女性アーティストとしては宇多田ヒカルの「Can You Keep A Secret?」が78.4万枚を売り上げて以来、9年3ヶ月ぶりの50万枚を超える売上を達成した快挙とのこと)


私なりに何故、こんなムーブメントが引き起こされたのか、ちょっと興味本位でその仕組みを分析してみました。


① 狙うべき市場(=ターゲット)が明確になっている

AKBのファンは、大きく分けると2つの層がいるといわれています。
一つは、AKB発足当時からAKBシアターに通い続けるオタク層(通称:古参オタ)、もう一つは、高校生を中心とした女子ティーン層です。

今回のCD発売は、メインターゲットを前者の層においていると考えられます。
一般的にオタク層は、趣味のためにはお金を惜しまないとされています。

先週日曜日の情報番組を見ていると、お気に入りのアイドルを参加させるため、1人でCDを200枚購入したという男性が取材されていたのもこれを裏付けています。


② 明確なゴールが設定されている

「お気に入りのアイドルをCDに参加させる」
この明確なゴールが設定されていることも大きな要因と言えます。
また、選挙期間が決まっているため、より目的達成のための意欲を短期的に喚起させることができるのではないでしょうか。


③ 参加者意識をターゲットに与える

自分の投票したアイドルが活躍できる可能性がある。
この当事者意識が味わえること=参加する幸せを購入できること※が一役買っていると考えられます。


※ご興味のある方は下記をオススメします。
幸福の方程式 (山田 昌弘 著、電通チームハピネス著)


このように紐解いていくと、意図的にこのような商品が売れる仕組みを作り、社会にインパクトを与え続けている秋元さんのスゴさが分かります。


商品などのマーケティングにおいては、実はこのようなことは教科書に書いてあるセオリー的なものかもしれませんが、実践するとなると難しいものです。そこをきっちりやってのけて、なおかつ結果も出す!


彼の様に、消費者の本質的な欲求と社会の構造を見抜く“眼力”、そして結果を出す“腕力”、これらを強化していかなければと思う今日この頃でした。


山田