「できるだけのこと」を 今度こそ① | おひさまを感じながら by半農半保健師

おひさまを感じながら by半農半保健師

化学物質過敏症、アレルギー、発達障害を併せ持つ子供を通して
知ったこと、考えたこと、感じたことを綴ります

私が精神病院に入院させられた日、途方に暮れて、巡回してきた看護師に2つ質問をした。
看護師の答えを聞いても、入院を取消す術は見当たらずに困り果てていると、その看護師は「困っている人がいたら保健師の貴女はどうする?」と問いかけてきた。
私は「できるだけのことをする」と答えた。
その時、看護師は何も言わずに私を見ていただけだったが、私は少しだけ道が開けたような気がした。


今私が働いている精神病棟にCSと同じ状態の患者Aさんがいる。
周囲に理解できない症状を訴えるCS患者の多くが、最終的に行きつく先は精神科。

Aさんは身体症状が多く、薬物に敏感に反応するため、薬を使うことに家族も本人も消極的。
でも、精神病薬は使われている。
医師の診断はレビー小体型認知症。
とにかく身体症状の訴えがたくさんあるが、それらにまともに対応している看護師は私ぐらいだろう。
そんな患者の訴えは、看護記録にすら残らず、私の記録は他より長く、目立つこと・・・

「どんどん元気がなくなる」と言うAさんに、返す言葉が見つからない。
入院当初は訴えが今より派手だったので、スタッフは「落ち着いてきた」とみている。


2年前、同じような患者さんがいて、その患者さんに「私の家に来ませんか?」と言ったら、「看護師さんの家に行っても苦しいかもしれない」とかえってきた。
医療保護入院の患者さんを退院に導き、しかも自宅にひきとることは容易でない。
私は担当医にCSだと思うと話したが、医師はCSを知らなかった。
その後、子供を引き取るため有利になるだろうという上司の配慮から私は夜勤のない外来に配置がえとなった。

今裁判が終わり、再び夜勤もある病棟に戻った。
気がかりな、その患者さんはいなかった。
亡くなっていた。

この2年の間に、病棟は新築された。
CSにとって新築がどんなに苦しいか私は知っている。
夜、大きな声をあげて泣いた。