ンジンをかけて、縁を積んで」


エンジンの低い唸りが、朝靄の残る駐車場に響く。私が日本一周の旅の相棒であるカビバラとえみりんちゃん自動車に、最後の荷物を詰め込んでいた。


彼らは、この旅で出会った民家の宿の客だった。初めはただの宿泊客と宿主。それが、地元の居酒屋で杯を交わし、知られざる絶景と星空の下で将来の夢を語り合ううちに、いつの間にか「友」と呼べる間柄になっていた。


エンジンルームを覗き込む。彼は「道中、気をつけてね」と呟きながら、差し出した紙袋には、手作りの韓国料理が詰まっている。


「そろそろ出発するよ」

私がそう言うと、二人は少し寂しげな微笑みを浮かべた。


車のドアを閉める。エンジン音が、私たちの間に静かに響き渡る。シートベルトを締め、ギアをドライブに入れる。私は窓を全開にした。


「またな!」

「絶対、次は私たちが遊びに行くからな!」


彼は大きく拳を掲げ、彼女は両手を振った。その姿をバックミラーに映しながら、ゆっくりとアクセルを踏み込んだ。


バックミラーに映る二人の姿は、だんだんと小さくなっていく。それでも、最後まで手を振り続けるその姿が、朝日に照らされて輝いて見えた。