義母からの圧力
契約まであと4日に迫った日曜日。
どうしてもあの区画に納得がいかず、僕の携帯に電話をくれた。
「何もあんな区画選ばなくても、もう少し探してもっと条件のいいものを探したら?」
「条件のいいものといっても、その分値段が上がりますし…」
「建ててから後悔しても遅いのよ」
「むしろ、この土地で、僕たちが考える間取りで作れなかったら、それこそ後悔すると思います」
「なんだったら値段が上がる分、こっちでもう少し援助の額ふやしてもいいのよ」
「いや…そうゆう問題ではなくてですねお義母さん、それはもちろん、土地だけを見れば
決して価値の上がるような物件ではないですけど、建物の造り方しだいでマイナス点をプラスに
できれば、僕はそれでいいと思うんです。それに、お金をだせば良い家が建つという考えは僕には合わないです。うちの実家からも、そちらからも随分助けてもらってますけど、それでも限られた予算の中で、納得しながら家づくりを進めることが大事だと思うんです。”足りないから足す”っていうのは僕はあんまり…」
「あのね、今ね○○○駅徒歩13分に物件があってね。建売で今作ってる最中なんだけど、
なかなか良さそうなのよ。これが○○○○万なんだけど」
「建売ですか」
「建売でも今は昔みたいに変なのは造らないから」
「たしかに、その値段で○○○駅徒歩13分なら手ごろな値段ですね。でも、その手ごろ価格のツケは
どこにかかっているんでしょう。僕が思うに、建物に負担がかかっているんだと思いますよ」
「それに、せっかくのお金を出して住むんですから、既成の間取りではなくて、自分たちで考えた間取りに
住みたくはないですか」
「その物件の良し悪しは別として、僕は建売に不安があるんです。信頼できる工務店を見つけて、そこで
自分たちだけの家をゼロから作りたいんです。」
「…。そこまで言うなら、私はもう何も言わないわ」
「わがまま言ってすいません」
「じゃあ、そうしなさい」
ガチャ。
やっちまった。どうなるんだろこれから。
そりゃあ、僕だって悩んださ。でも義母さんは、自分の意見が絶対正しいと思う人なんだよね。
でも言われた相手の気持ちも考えて欲しいです。援助してもらってる人の意見だから、無碍には断れないってことを。それを断ることがどれだけ辛いかってことを。
おそらくもし今後、後悔するとすれば、住み心地のことよりも義母さんの意見を汲んであげれなかったことに後悔すると思う。