「宇宙船の襲来」(1958年)
原題:I Married A Monster from Outer Space 
米パラマウント 白黒作品



 

監督
ジーン・ファウラー・ジュニア(41歳)
出演
トム・トライオン(32歳)
グロリア・タルボット(27歳)
ケン・リンチ(48歳)
ジョン・エルドリッジ
ピーター・ボールドウィン(27歳)
タイ・ハーティン(28歳)
ほか

(今の日本人にはあまりなじみがない人たちかと。タイ・ハーディン知っている人はもういない…?)

○1998年8月28日に見た映画のメモによります。メモ当時、★が3つ。標準的。今回もまた白黒映画。「宇宙船の襲来」という邦題ですが、原題は「私は外宇宙から来た怪物と結婚した」。
(●部分の文が1998年当時の文、……以下が現時点の文)
 

●字幕でノーカット版では初めて。意外と、いい。特に後半から。仲間の宇宙人が、酸素吸入で死ぬあたりからよろしく、グロリア・タルボットがかかりつけの産婦人科医に相談したら、実にいい人で、仲間たちを集めて山狩りまでやってしまい、結局、(宇宙人による)地球征服を断念させてしまう。
……なんのことやらという感じですが、宇宙人が地球の女性と結婚して生命を生きながらえるという趣向の内容なのです。つまり、東宝映画「地球防衛軍」(1957)と似たりよったりのテーマなのだが、1年前に公開された「地球防衛軍」は大スペクタクルカラー映画なのに対し、「宇宙船の襲来」はローカルな山の中の小さなエピソードでしょぼしょぼの宇宙人が出てくる白黒映画なんです。日本はこの点において圧倒していた? 「山狩り」っていうのは、山中に宇宙船が停まっているから、捜索に行ったということです。

●人を信用することがいかに大切か、よく分かる。犯罪を見てしまったり、化け物を見てしまっても、周囲の人から信用されなくて悩む主人公というのは(物語などの一種の)定型パターンだが、この映画では、(周囲の人たちがじつに)あっさりと信じてしまう。性善説(!)に基づいている。
……これは前文からの続きで、グロリア・タルボットの言葉(宇宙人に関すること)を信じて、山の人たちが山狩りに行くところで、みんなすごく素直に信じるところを私が激賞している。グロリア・タルボットの人格というか人柄というか信頼性によるものかと思うが、あくまでも物語です。




●強いのは(人間よりも)犬。犬のおかげで宇宙人(アンドロメダ人)のもくろみがついえさるのである。犬が宇宙人の管を噛み切ってしまうところなど、呆気にとられる。死ぬと(宇宙人は)ドロドロになるところや、管から血液(?)が出る。後年、ケムール人に活用されたのかも。
……犬って書いてあるが、実はこれ、ネタバレで。たぶんこの映画を見ようという人はいないと思うので、書いてしまいます。宇宙人の弱点は犬だったのです。わんわん。最近の宇宙人情報によると、肉体的腕力において、宇宙人たちは地球人よりも弱いということが判明しつつあるので、まんざらウソでもない。にしても、宇宙人といえば、すぐ地球侵略ととらえるハリウッド映画は、アメリカ人の宇宙人観を育ててしまったといえる。アンドロメダ人という設定は、実にテキトー。実際のアンドロメダ星雲のなかにはそういう宇宙人もいるかもしれないですけど、これは物語ですので。ケムール人は「ウルトラQ」の「2020年の挑戦」に出てくる有名宇宙人。
 

●グロリア・タルボット、不良男に付けまわされるシーンなど、ストーカーまがい。
……グロリア・タルボット、あまり日本ではファンができなかったのではないでしょうか。というか公開作も少ない。「俺たちは天使じゃない」ぐらいでしょうかね。「宇宙船の襲来」にはトム・トライオンが主役ですが、監督や作家もやっている方でした。


 

●エイリアンの造形、ファンもいるのでは?
……この造形はインパクトがあって、幼稚園か小学校ぐらいのときに宇宙人映画のグラフか何をみて、すごく印象に残っていたものです。それを吹き替えでテレビで見たのが1980年代ぐらいにあったと思います。ハリウッドのB級SF映画には、いろいろなヒューマノイドが出てきて、強烈なアクがあり、そういうのをたくさん幼少期から見てしまって、たっぷり吸い込んでしまったのが私です。