続きです
清は年季の入った革製のリュックを背負い現れました。苔むした河原石のような印象を受けました。
家に招き入れると、ひょこひょこ歩きオドオドした様子で椅子に座り自己紹介をしました。
フリーアーティストだというので親近感が湧き、今描いているという水彩画を見せてもらいました。一瞬ですごい才能だとわかりました。まるでコロボックルが住む世界がそのまま繊細なタッチと独創的な構図で描かれていました。こんな素敵な絵を描く人は信頼できるに違いないと思ってしまいました...
話によると、長年あちこちのユースホステルで長期滞在するうちに、サンモリッツ付近の自然に魅了されこの地域に定住しようと思ったそう。週末のみ難民センターで夜勤の仕事をしているらしく、職場がここから列車で4時間もかかるので少し気になりましたが、GAというスイス国内の電車乗り放題パスを持っているので問題ないそう。
さらに驚いたのは、50歳間近のスイス人男性の所持品がリュック一つということでした。私はスイス人は物質的だと確信しているので笑 こんなにも物を所持していないスイス人を見るのは初めてのことでした。珍獣に向けるような興味が湧き、すでに占星術を始めていた私は生年月日を聞き出し、彼がソファで次の電車を待っている間にホロスコープをこっそり出してみました。
またまた驚きです。彼の惑星の属性は火と風ばかりで水は太陽一つのみ、物質性を表す土はなんと一個もありません。ここから彼が非常に精神性や知性を大事にし、地域に根ざさず漂流する人だとわかります。この人はまるでスナフキンのようだと思いました。
「友達も自分の家族もいないけど、僕には芸術がある」と言い切りました。かっけ〜と正直思いました、言葉が。
衝撃と未知は私の大好物です🤤
そんなわけで私はこの風貌も生活スタイルも山下清にそっくりなおっさんに部屋を貸すことになり、ヤモリと清の奇妙な共同生活が始まったのでした..
続きます
