今日は平野啓一郎さんの本心について書きたいと思う。


平野啓一郎さんは私も何作か読んだことがある。最初は確かマチネの終わりにだった気がする。二人の理解しあっているが、なかなか交わることのない運命を描いた作品。ラストもかなり好きだった。これほど結ばれない二人の葛藤を美しく描けるとは。映画も小説の雰囲気をそのままに、いやさらに耽美に表現できていたように思う。次に読んだのはある男。ドーン。そして本心へと続く。



先にも書いたが、私は平野啓一郎さんの描く爽快なラストがとても好きだ。


それは本心にも当てはまる。本心は平野啓一郎さんの書くSF×純文学である。死んだものをVRとして蘇らせる技術が発達した世界を描いている。私はこの作品はどこか実験的な小説であるように感じた。主人公の母は突然、自由死、寿命を迎える前に死ぬことを選びたいと言う。だが、その後、事故死してしまう。主人公はVRして母を蘇生させ、新たな生活をスタートさせるが…。というストーリーなのだが、これは自殺という純文学的行為のその先を描いているように思う。それはとても前衛的で魅力的である。そして私はこの小説は一つの成功を収めていると感じている。気になった方はぜひ読んでみて欲しい。


さて、10月17日に最新短編集、富士山が発売予定であり、さらに11月8日に本心の映画が公開される。


今後も平野啓一郎の活躍から目を離せない。