駄菓子屋クロスロード -2ページ目

駄菓子屋の一日

僕アルダクンは時々疑問に思う。たいして儲からないお店をご主人の南城さんが9年間も続けている

のはなぜ?毎日来る子供達は超常連客である。なぜ子供達は毎日くるのか。もしかしたら南城さんは

小さい超常連客の心理を研究しているのだろうか。物の本にはよく物を売るな、自分を売れ、お客さん

が欲しがっている情報を売れと書かれているそうだが本当だろうか。南城さんはスーパーにいたことが

あるからある程度お客さんの購買心理を勉強しているはずだ。でも子供の心理は駄菓子屋をはじめて

から判ったことが多いようだ。

駄菓子屋の1日

男言葉を使う清美ちゃんは時々母親と一緒に来ることがある。清美ちゃんは可愛い女の子に変身する。

優しい言葉で母親に「ママこれ買っていいでしょう」とおねだり。清美ちゃんは1個50円の激辛するめを

4個持ってきて「これもね」と言う。母親はそんなに買ってたべれるのと言う。機転の利く清美ちゃんは

「これはおいしいからママと夕子ねーちゃんにも食べてもらおうと思うの」という。母親は苦笑しながら

清美ちゃんやさしいのねと言って買わされてしまう。南城さんはあとで清美ちゃんは頭の回転がいい。

清美ちゃん様様だといっていた。

駄菓子屋の1日

清美ちゃんの家は高台の閑静な住宅地にある。父親は一流企業の重役さんだ。忙し過ぎるのか清美ちゃんは一緒に遊んでもらったことが殆どないそうだ。母親は趣味の世界に没頭しているため清美ちゃんを

かまっている時間がない。さすがに気が引けるのかおこずかいを潤沢にあたえているようだ。

だから清美ちゃんは駄菓子屋で毎日300円ぐらいつかっても、どうってことはない。

子供の世界でもお金を持っている子は上位に君臨できる。その上清美ちゃんは容姿が群を抜きリーダー

の資格が充分だ。男ことばを使うのは彼女の心理状態の一端を示している。僕アルダクンは同情しつつも

清美ちゃんことが好きだ。そこでテレパシーで彼女にエールを送っている。「がんばれ」と。



駄菓子屋の1日朝から夕まで

南城さんのお店は駄菓子と雑貨のミックス店だ。来店客の層的変化は駄菓子オンリーのお店とは

異なる。朝10時の開店にあわせて来店する客は急に洗剤や洗濯ネットが入用になったシニアである。

お昼ごろは小さい子供を連れたファミリーだ。午後3時ごろになると下校してきた小学生が主力になる。

1年生は外から店内を窺うだけ。2年生は見るだけと言って店内に入ってくる。3年生以上になるとカバン

を外に隠して入ってくるだけ知恵がある。先生に見られたときの言い訳もちゃんと考えている。

3時から5時は子供の天国で、御菓子を選ぶ子、おしゃべりに夢中の女の子のグループ、これいくらと

大声で南城さんに聞く子、店内は騒然とした雰囲気だ。僕アルダクンはこの雰囲気が大好きで、興奮

することもしばしばだ。5時になると買い物がえりの母親に連れられた幼稚園の子がおねだりにやって

来る。6時になるとクラブ帰りの中学生がお腹をすかせてどやどやと店に入ってくる。

毎日がこのパターンの繰り返しだ。清美ちゃんが店に来るのは4時ごろでいつも4人組だ。清美ちゃん

は4年生で常連客の中でも上得意だそうだ。だから南城さんは清美ちゃんが来ると機嫌がいい。

時々オマケを付けている。清美ちゃんは頭がいいし、目がくりっとしていて可愛いしすらっとしてリーダー

的風格がある。只、清美ちゃんは少々口が悪い。「おれ、これにするから、お前はこれを買え」なんて

言葉が可愛い口から飛び出すとそのアンバランスさにびっくりする。

駄菓子屋の1日朝から夕まで

清美ちゃんは小学4年の女の子。クリットした目で僕の方をみるとき僕の胸はキュンとときめく。でも

僕を見ているのではなさそうだ。彼女は僕の隣にいるデイズニーのプーサンの大フアンだ。

お店に来たときはプーサンのぬいぐるみを必ずといっていいほど抱いている。僕も抱いてほしいんだ。

これって人間の世界でいうところの焼餅だろうか。南城さんがゴリラのぬいぐるみも可愛いだろうといって

くれれば清美ちゃんは抱いてくれるんじゃないかとうらみ節のひとつも言いたくなる。絶対にあきらめないぞ。清美ちゃんノエピソードは多い。代表的なものを5件ほど披露しよう。

駄菓子屋の1日

清美ちゃんがこの店にきたのは小学校1年生のときだ。下校の帰り道にランドセルを背負ったまま

店の外から中の様子を窺っている。南城さんが店の外に出て声をかけた。「学校の帰りだから買い物は

出来ないけど見ることは出来るよ」というと「じゃあいい」といってバタバタと走っていってしまった。

小学1年生の下校時刻は午後1時半位で、次の日も同じ時刻に店の前に立っていた。南城さん

が入っていいよ」と言うと清美ちゃんはそっと入ってきた。しばらくめずらしそうに陳列した商品を見て

いたが、「また、来るね」と言って帰っていった。この日から清美ちゃんは殆ど毎日来てくれる超常連客

になったのである。ただ清美ちゃんは僕アルダクンを見てくれなかったのでちょっぴり残念に思った。

駄菓子屋

子供はクジ引きが好きだ。だからクジ付き菓子を頻繁にかう。明くんはクジ運が強いから必ずといって

いいほど金券をゲットする。元手100円のお菓子で最高400円の金券をゲットしたことがある。

金券でお菓子を買うと西瓜の大玉くらいの大きさになる。食べきれない時は、家に持って帰ることになる

が、この御菓子が溜まりに溜まってダンボール箱いっぱいになり母親に見つかって、大目玉を食らった

ことがあったそうである。南城さんが困るのは明くんが夕方の一番忙しい時間帯に来て御菓子を交換す

ることである。

駄菓子屋

明くんの話の続きです。南城さんによると、明くんは常連さん の一人で 南城さんとうまが合うとか

南城さんも子供のころからだが弱かったらしい。明くんに対し同情的心理が働いたかも知れない。

駄菓子屋の1日は午前10時開店、南城さんのお店は雑貨併設店だから、午前中はシニア族が

多い。明くんはそんな大人に混じって店の中をうろうろしているから目立つ。時々大人から「僕は

今日学校休んだの?」と聞かれてちょっと嫌な顔をすることがある。そんなときでも南城さんと目が

会うと、舌をペロット出す茶目っ気さがある。      

駄菓子屋

明くんはあまり身体が強いほうではない。学校を休んだときは朝、昼、夕と1日に3度店に顔を出す。

1度に使う金額は50円位でクジ付きの菓子を買う。彼の取り柄のひとつはクジ運がよいこと。

50円の元手で200円分の金券が当たることはザラである。南城さんは時々「おじさんの代わりに

宝くじを買ってくれないかなあ」と半分冗談、半分本気で明くんに話かけていた。

でもこれは無理だよねとアルダクンは呟いていた。

駄菓子屋の1日朝から夕まで

明くんのおこずかいは月千円だそうだ。小学4年生としては多い部類に入る。今の子供たちは親から

もらうおこずかいの他に、じーちゃん、ばーちゃんからもらうスポットおこずかいをちゃっかり溜め込ん

でいる。買い物行動パターンは団体行動組、一匹狼組、2人組に分かれる。男子は低学年は一匹狼

組が多いが、学年があがるにつれ団体行動組に移行する場合が多い。

明くんは1匹狼組だ。少し理屈っぽいところがあるので友達からは敬遠されているみたいだ。

でも根はいい子だ。