現代の荒波を生き抜くための確率 [水曜日担当:池村] | 教育研究所ARCS - 独断的教育論 -

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教育現場のプロ3人衆による本音トーク


夏も残すところわずかになり、私自身はすでに夏期講習後半という日常の仕事モードになっております。

で、数学に触れていると、なぜか確率のことを考えているんです(笑)。
特に確率という分野が好きというわけではないのですが、ギャンブラー気質なのでしょうか。

と、自問自答して自分なりに出した結論は、「爽快な形で直感を裏切ってくれる」という部分が‘確率’という分野にはあるから、だと思いました。
というわけで、今回は具体的な確率のお話にお付き合い下さいませ。

例えば、皆さんは「サイコロを振って‘1の目’が出る確率」はいくつなのか、よくご存じでしょう。もちろん6分の1です。ですから、たった1回サイコロを振っただけでは、自分が出したい‘1の目’が出る可能性は低いでしょう。
では、どれだけサイコロを振ったら少なくとも1回は‘1の目’が出ると思いますか?
直感で答えてみて下さい。

この問いかけをすると、ほとんどの人は「まあ6回も振れば…」と答えます。
そう、6分の1の確率というのは、長い目で見れば6回に1回の割合で出るという期待が出来るものですから、そう考えるのは自然である気がします。
もちろん、「6回振ったからといって、確実に‘1の目’が出るわけではない」ことは承知の上で皆さん答えています。しかし同時に、「100%ではないが、6回も振ればほぼ確実に特定の目を出すことが出来る」とも思っているわけです。

ところが実際はこの直感とはまるで違った結論となります。
6回のチャレンジで、‘1の目’が最低でも1回は出るという確率を計算してみましょう。
もちろん、1回だけでなく、2回~6回出た場合もOKなので、けっこう計算がややこしくなりそうです。
なので、こういう場合は逆に「ダメなパターン」に注目して計算することが有効です。この場合のダメなパターンは「1回も‘1の目’が出ない」という場合なので、それ以外は「少なくとも一度は‘1の目’が出る」という場合になります。
ですから計算式は、

01 となります。

この式の意味は、「6回連続で‘1の目’を外し続ける確率を全体から引く」ということなので、それすなわち「少なくとも一度は‘1の目’が出る確率」を計算していることになります。
この結果は約「0.67」です。つまり、6回もサイコロを振ったにもかかわらず、特定の目が出る確率というのは、67%程度しかないのです。
(※なぜ上記の式で計算できるのか分からない場合は、数学が得意な人に質問してみましょう)

これは意外な結論ではないでしょうか?
ちなみに、このサイコロの場合で計算すると、13回振ったときにようやく90%を超える確率で‘1の目’にお目にかかることが出来るのです。

で、面白いのがここからで、サイコロではなく他の確率で当たるものについて同様のことを考えても、ほぼ同じ結果が出るのです。

具体例を出しましょう。
例えば10分の1で当たるおみくじを10回引きます
このとき少なくとも1回は当たる確率を同じ考え方で計算してみます。

02という計算を実際にやってみると、約0.65、つまり65%です。


もう一例見てみましょうか。
今度は100分の1で当たるおみくじを100回引くということにしましょう。
この場合の計算も同様にして、

03となり、この結果は約0.63、つまり63%です。

どうですか。サイコロの場合とほとんど変わらないということなのです。

ちなみに、どのサイコロやおみくじの場合も「2回以上当てる」という条件にして計算し直してみると、もう一気に26%程度まで確率が落ちてしまうのです。


まあそんなわけで、もし悪い奴がいて巧妙に自分に有利な確率の取り引きを持ちかけてきたとしたら怖いですよね。
直感的には五分五分のように感じる取り引きでも、実はかなり不利なものを強いられ騙されるようなことも世の中あるかもしれません。

ということで、この世知辛い世の中(笑)を生き抜くために、私が考えた確率の問題を次回までの宿題とします!
ちなみに、これは実際に中3のあるクラスで出題したものです。


問題
コイントスで表(オモテ)が出たら1ポイントもらえ、裏が出たらポイントなし、というゲームを何回かやります。やった回数の半分以上のポイントを獲得できたら、賞金100万円をゲットできます。ちなみにゲーム回数はあなたが自由に決めてよいものとします。
例えば、10ゲーム行うと決めたら、コイントス10回中5回以上オモテを出したらチャレンジ成功で100万円ゲット。15ゲーム行うと決めた場合は、コイントス15回中8回以上オモテを出したらやはりチャレンジ成功で賞金はあなたのものです。
では、ゲーム回数を何回に設定したときが、もっとも賞金をゲット出来る可能性が高くなるでしょうか?(コインの表裏は、ともに2分の1の確率で出るものとします)


では解説はまた来週。
出来れば答えだけでなく、分析もして欲しいです。
特に、ゲーム回数を偶数回に設定するか奇数回に設定するかに分けて考えることで、面白い事実に気付くはずです。


■□■□■□■□■□ イベント情報 ■□■□■□■□■□

『夫婦のための子育て法』

…母親のための教育講演、父親のための教育講演に続く教育講演会第3弾!

今回の講演では「夫婦のあり方が子どもの成長に大きく響く」という理論をもとに史上初めて「夫婦のタイプ別教育法」を公開し皆様の子育てに貢献したいと考えています。
是非ご夫婦でご参加下さい。シングルマザーの方にも参考になりますのでふるってご参加下さい。

日時:2014年9月21日(日)
   午後2時~4時(1時30分開場)

場所:ザ・クレストホテル柏 クレストルーム
講演者:管野 淳一 他

☆ 詳細はこちら ☆
http://arcs-edu.com/event.html





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