『注文の多い料理店』
宮澤賢治 作
和田誠 絵
岩崎書店

すっかり、肌寒くなってしまって、忙しくてしまってなかった夏物を今日はしまいます。


横浜の木々は9月の台風の影響からか塩害で、ほとんど紅葉もせず枯葉になっている印象。


もうすっかり秋ですね。

そして、冬の気配を感じて、物寂しくなります。


でも、食べ物がおいしく感じられる季節でもあります。昨日は妻と長女が鎌倉に行ったので、わたしと次女はラーメンを食べに行きました。トンコツ醤油のうまいやつ。スーパーでブリを買って、夜に食べました。


秋に読みたい童話というと『注文の多い料理店』です。児童書の話に宮澤賢治を出すのはちょっと反則な感じがしますけれども。


夏は『銀河鉄道の夜』ですよね。夏というか晩夏ですか。初夏は『ポラーノの広場』という感じ。


とにかく何度も読んでる蔵書絵本で『注文の多い料理店』を読みました。

和田誠さんの絵本で。


和田誠さんは村上春樹さんなど、いろんな作家との仕事や書籍の仕事で本と絵の関係ということの繊細な感覚を深く知っているのだろうなと思います。


この絵本、挿し絵つき宮澤賢治童話はすばらしいです。


二人の紳士の格好がまずいいね。イギリスの近衛兵みたいな赤い軍服のような服。


白い熊みたいに大きい犬をつれている。この犬の絵もいい。


二人は気がつくと道に迷ってしまっている。


その寒そうな枯れた草原で途方にくれている二人のシーンは、すごいリアリズムで怖いくらいです。アンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」という芸術的な映画を思いだしました。


風がどうとふいてきて、草はざわざわ、木の葉はかさかさ、木はごとんごとんと鳴りました。


それで二人は山猫軒に着くわけですね。


このお話の形のよさが、信じられません。


世界の名作の一つだと思います。


山猫軒かなんとなく素敵な感じです。

青い扉や、金文字の説明書き。

これはロシア式だ、なんて言ったりします。


山猫に化かされているわけですが、そこはよくよく考えると、日本の伝統的な怪談を踏まえているようにも思えてきました。

料理店が消えると、服や持ち物があっちの枝にぶらさがったり。こっちの根もとにぶらさがったり、というところが、雨月物語を思い出しました。


なんとなく語り口が落語っぽい感じもあるような。

大正時代は日本の伝統と西洋の文化がけっこううまく融合されていたのではと思ったり。


それが和田誠によって、

おしゃれで、ユーモアがあって、かわいくて、装丁が行き届いていて、本好きにはたまらない、大切な一冊になる本です。


どんよりとした秋の終わりの天気の日に、家のなかにいても、コーヒーでも飲みながら、ゆっくりこれを読んだら、ちょっと気分も明るくなります。


それではさようなら。

オリーブの実がこんなになりました。