苦手な被写体
前回はフォトグラメトリ用の素材写真の撮り方の基本的なルールを解説しました。
今回はフォトグラメトリが苦手な被写体について解説します。
といっても、オークさんのHPに載っているので、基本的にそちらを見ていただければ大丈夫だと思います。
そこの上から2番目にこんな質問と回答があるのでそちらを参考にしてください。
図1 フォトグラメトリの苦手なモノ
要するに、
・テカってるモノ
・フワフワなもの
・動いてるモノ
・のっぺりしすぎなモノ
・暗すぎる/明るすぎるモノ
は苦手だということです。
例えば、釉薬のかかった陶磁器なんてテカってモデリングなんかできないんです。
ふつうは。
テカりを克服しよう
…うそやん、僕、中世の貿易陶磁器好きなのに、モデリングできんの?悲しい。
と思っていたところこんなものを見つけました。
スミソニアン博物館、所蔵品280万点を2D-3Dモデルでオンライン公開。自由に再利用可能 #エンガジェット #archives https://t.co/hWjdLN6Nvv
— Engadget 日本版 (@engadgetjp) February 26, 2020
マジか!スミソニアンすげぇ!どれどれ見てみよう…
図2 テカりのない陶磁器モデル
え、テカりないやん。陶磁器なのにテカりないやん。なんで!?
僕はこのモデルを使って断面図を作りながら戸惑っていました。(この図の作り方もそのうち!)
スミソニアンがデータを公開していると聞いたのでこの前の復習がてら染付を割ってみた。にしても釉薬がかかった陶磁器ってどうやってモデリングしてるの…?テカテカやん https://t.co/5ljxzkeUOD pic.twitter.com/MkTvPvbcnr
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) February 29, 2020
すると、そこに天の声が
釉薬の反射自体はCross polarizationである程度に抑えられますよ。 https://t.co/61mmMKXSmo
— https://yuma.jp (@YYouzhen) February 29, 2020
スピードライト側の光を偏光させつつ、レンズにも偏光させて、余分な振動成分を持った光を除去するセットですね。
— https://yuma.jp (@YYouzhen) February 29, 2020
マジか!でも、偏光って聞いたことあるけど何!?
恥ずかしながら偏光を知らずに生きてきたのでこちらの動画を見ました。
もう少し詳しい説明ならこちら
そして、東芝さんの解説にたどり着きました。
マシンビジョンにおける光の反射と偏光について(PDFダウンロード)
以前、陶磁器のテカリを抑えて撮影するために偏光板を使うことを教えていただきましたが、東芝から解説資料が出ていました。
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) April 5, 2020
今日、カメラレンズ用の偏光フィルタが届いたので、偏光板付ライト下で使ってみると、ほんとに反射が消えて驚きました。これは使える。https://t.co/ZrvvTC6gB4
つまり、偏光板というフィルターを使って光を整列させるイメージです。
偏光板を光源とレンズ両方につけることで余分な光(テカり)がカットされるわけです。
すごい!ありがとう!これでお茶碗の写真を撮れる!
撮影事例
するとまた天の声が
入門: Cross Polarisation Explained by Grzegorz Baran https://t.co/X59E8D1kMk
— Polarization(ゆ) (@icpregistration) April 5, 2020
入門 + セットアップ例:Cross Polarization Tutorial: Removing Specular Highlights and Reflections https://t.co/PoxWGm2uVL
セットアップ例:Understanding Polarization https://t.co/42tPqqSesq
偏光板を利用した撮影機材のセット例ですね。
いや、カッコいい!
こういうアドバイスをくれる方が多いのでTwitter大好きです。
さて、天の声さんはこんなことをしているようです。
こういうことしかしてない pic.twitter.com/YjiniRQEQD
— https://yuma.jp (@YYouzhen) April 26, 2020
偏光フィルムです。磨いてないリンゴでもこのくらいは違うので。 pic.twitter.com/Rv5VDhX2lh
— https://yuma.jp (@YYouzhen) April 26, 2020
リンゴのテカりもきれいにとれていますね!
簡単な環境で、厳密にスペックと分離しているわけではないので、ほどよくテクスチャが撮れ、反射が除去できればいいと思います。
— https://yuma.jp (@YYouzhen) April 26, 2020
あとCPLフィルター合わせても3000円くらいで最低限構築できるので、みんなやった方がいいと思いますね
ほら、天の声さんもこう言っていますし、みんなやるしかないっすよ!
ということで、僕もやってみました。
あとはこのライトに合わせて偏光板をカットせないかんのですが、不器用なので明日誰かにやってもらお pic.twitter.com/FKnFT6WBFS
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) April 27, 2020
使ったのはこれ
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) April 29, 2020
【メール便 送料無料】【C-PL 49mm】CPLフィルター 49mm 偏光レン…
[楽天] https://t.co/rcJDyqu39W #Rakutenichiba
光源にはこれ。使うときは向きに気をつけて。
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) April 29, 2020
偏光板250 厚さ約0.2mm
[楽天] https://t.co/eD51zhm0HN #Rakutenichiba
カメラレンズ用にはC-PLフィルターを買いました。
当たり前ですが、レンズのサイズに合わせたものを買いましょうね。
また、使うのは「円偏光」ではなく「直線偏光」です。ご注意を!
さて、使ってみると面白いことが分かってきました。
1枚目 偏光バージョン
— 龍泉Ⅲ (@nagasaiki) April 29, 2020
2枚目 通常バージョン
休みなので、お茶碗の写真撮るついでに縄文土器も撮ってみたけど、偏光板は土器に含まれるキラキラ鉱石ににも有効みたいです。こんな違うんか。 pic.twitter.com/0ygsDq6h7J
あーそうか、石英結晶がデカいクォーツサイトの石器にも有効じゃないですか!! こんど試してみますね! pic.twitter.com/aDHR3abX6c
— atsushi_noguchi⛅ (@fujimicho) April 29, 2020
なんと、お茶碗以外にもテカるものには有効なのです!
しかも土器の胎土自体の色味も全然違う!
さらに、こんな天の声も
次のヒントです、その2枚の画像で引き算すると https://t.co/Bz8NZKV0MD
— Polarization(ゆ) (@icpregistration) April 29, 2020
どうもPhotoshopの引き算機能を使えばテカリの部分だけを抽出できるということらしいです。
使いみちはまだこれからですが、例えば金象嵌を浮かび上がらせたり、胎土に含まれる石英や雲母を浮かび上がらせたりできるのかな?
まとめ
今回も長くなってしまいましたが、フォトグラメトリには苦手な対象があります。
しかし、工夫すれば乗り越えられることもあります。
いろいろ試してみていい方法がぜひみんなで共有しましょう。