苦手な被写体

 前回はフォトグラメトリ用の素材写真の撮り方の基本的なルールを解説しました。

 

 今回はフォトグラメトリが苦手な被写体について解説します。

 

 といっても、オークさんのHPに載っているので、基本的にそちらを見ていただければ大丈夫だと思います。

 株式会社オーク よくある質問

 

 そこの上から2番目にこんな質問と回答があるのでそちらを参考にしてください。

図1 フォトグラメトリの苦手なモノ 

 

 要するに、

 ・テカってるモノ

 ・フワフワなもの

 ・動いてるモノ

 ・のっぺりしすぎなモノ

 ・暗すぎる/明るすぎるモノ

 は苦手だということです。

 

 例えば、釉薬のかかった陶磁器なんてテカってモデリングなんかできないんです。

 ふつうは

 

テカりを克服しよう

 …うそやん、僕、中世の貿易陶磁器好きなのに、モデリングできんの?悲しい。

 と思っていたところこんなものを見つけました。

 

 

 マジか!スミソニアンすげぇ!どれどれ見てみよう…

 ・スミソニアンオープンアクセス

 ・スミソニアン 3Dデジタル化

 

 図2 テカりのない陶磁器モデル

 

 え、テカりないやん。陶磁器なのにテカりないやん。なんで!?

 僕はこのモデルを使って断面図を作りながら戸惑っていました。(この図の作り方もそのうち!)

 

 すると、そこに天の声が

 

 

 マジか!でも、偏光って聞いたことあるけど何!?

 恥ずかしながら偏光を知らずに生きてきたのでこちらの動画を見ました。

 

 

 もう少し詳しい説明ならこちら

 偏光板とは 偏光・円偏光の仕組み

 

 そして、東芝さんの解説にたどり着きました。

 マシンビジョンにおける光の反射と偏光について(PDFダウンロード)

 

 

 つまり、偏光板というフィルターを使って光を整列させるイメージです。

 偏光板を光源とレンズ両方につけることで余分な光(テカり)がカットされるわけです。

 すごい!ありがとう!これでお茶碗の写真を撮れる!

 

撮影事例

 するとまた天の声が

 偏光板を利用した撮影機材のセット例ですね。

 いや、カッコいい!

 こういうアドバイスをくれる方が多いのでTwitter大好きです。

 

 さて、天の声さんはこんなことをしているようです。

 

 リンゴのテカりもきれいにとれていますね!

 

 ほら、天の声さんもこう言っていますし、みんなやるしかないっすよ!

 

 ということで、僕もやってみました。

 

 

 

 カメラレンズ用にはC-PLフィルターを買いました。

 当たり前ですが、レンズのサイズに合わせたものを買いましょうね。

 また、使うのは「円偏光」ではなく「直線偏光です。ご注意を!

 

 さて、使ってみると面白いことが分かってきました。

 

 

 なんと、お茶碗以外にもテカるものには有効なのです!

 しかも土器の胎土自体の色味も全然違う!

 

 さらに、こんな天の声も

 

 どうもPhotoshopの引き算機能を使えばテカリの部分だけを抽出できるということらしいです。

 使いみちはまだこれからですが、例えば金象嵌を浮かび上がらせたり、胎土に含まれる石英や雲母を浮かび上がらせたりできるのかな?

 

まとめ

 今回も長くなってしまいましたが、フォトグラメトリには苦手な対象があります。

 しかし、工夫すれば乗り越えられることもあります。

 いろいろ試してみていい方法がぜひみんなで共有しましょう。