建築で木造、鉄骨、鉄筋コンクリートと
3種の構造分類がある。建築は、
建てて造る、という意味では変わらないが
扱う部材でこんな分け方をする。
それぞれにやり方が少しづつ違うが、
いまわが社で多いのは木造である。
現場監督は建築を学んだ者が多いが、
木造は、建築材料学で木材の比重や
ヤング係数、広葉樹・針葉樹を知る程度で
ほとんど現場に出て構造でいう木造を
学ぶ。この事情は建築家も同じようだ。
誰から? 大工さんと材木屋さんからだ。
学校では木材も他の建築材料と同様に
無機質なあるいは物性化学的な
材料として通過させてしまう。これが困る。
木は生き物なのだ。年季の入った
大工の手は木に油を吸い取られカサカサ。
指先はなぜかだれも爪厚くて丸く太い。
この男たちがいう。ほれでもつんか、
間四(けんし)ぞぉ、梁行き、桁行きも
分からんのか、組み方わるいなぁ、
谷木計算してみ、天の水分かるか、
生(しょう)が悪い木やな、昨日まで
カラスが留っとったような木持って
きてからに…などなど。
したがって、最初のころは現場管理なんて
いえるのは基礎まで。あとは教えられながら
大工さんと材木屋さんについていくだけ。
だから、せめて施工図や木材加工図は
原寸1:1の縮尺で書くように後輩に
教えている。生き物木材の質感や
加工の良し悪しを早く覚えるために。
ところが最近ここでも困ったことがある。
CADがいけないのだ。せっかく書いた
原寸の加工図を縮小して打ち出して
しまい、それで打ち合わせてしまう。
見つけたら私は叱りまくる。
それでは覚えないのだ。年間何棟の
建物が自分の手にかかり、そのうち
何枚の加工図が書ける?
覚える機会は本当に少ない。
大工さんが一人前になるのに7、8年は
かかるといわれるのに、現場監督は
木造何年で覚えるん?
先の見通しの悪い現状である。