九州に行く途中、山陽道(広島岩国道路)の大竹ICを下りてすぐのところにある下瀬美術館に立ち寄ってみました。
板茂さんの設計で、2024年、ユネスコのベルサイユ賞において「世界で最も美しい美術館」として最優秀賞を受賞した美術館です。
ガラス張りの建物は中から見ると外が見えますが、外から見るとミラーになっており、ミラーに周りの景色が映り込むことによって建物が景色に溶け込むようでもあり、景色が拡張しているようでもあります。
広々としたエントランス棟の内部には、2本の柱があり、それぞれの柱から弧を描いて放射状に伸びる梁が交錯する様がとても美しいです。
この意匠を見て、以前訪れた静岡県富士山世界遺産センターが思い浮かびましたが、あの建物も坂茂さんの設計だそうです。
そして、最大の特徴である可動展示室。
台船に乗せた10m x 10mのカラフルなキューブ8基を水盤に配置してブリッジでつないだ展示室で、普段は固定されていますが、水位を上げて台船を浮かせることで移動・配置換えすることができるというとてもユニークな構造になっています。
ただ、展示室の中に入ってしまえば、真っ白、真四角な静かな空間で、今、どのキューブの中にいるのか、どっちを向いているのかなど気にならないほど、作品鑑賞に集中できました。
展示棟の奥に抜けると「エミール・ガレの庭」があります。
こちらにはエミール・ガレの作品のモチーフになっているケマンソウ(タイツリソウ)のほか、
ネモフィラや
藤など、様々な春の花々が咲いていました。
美術館で庭も楽しめるのはいいですね。
下瀬美術館は海に面した公園の中にあるため、お庭だけでなく、海の景色も楽しめます。
展示棟を出て、丘のように仕立てられた盛土を登って行くと、
望洋テラスがあり、可動展示室越しに瀬戸内海と宮島が一望できます。
下瀬美術館は宮島観光とセットで訪れるにもいいところだと思います。
今日はGW前半の日曜日でしたが、思ったほどは混雑しておらず、ゆったりとアートとアートな建物を楽しむことができました。
今回は、「周辺・開発・状況」という現代美術展が開催されていたため、エミール・ガレなどの作品を見ることができなかったのは残念ですが、また、宮島観光がてら訪れてみたいと思います。