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北海道5日目(7月21日)。
トムラウシ山を日帰り登山した翌日だけにゆっくりしようと思っていたのですが、それほど疲労が残っておらず、また思いのほかいい天気だったので、雌阿寒岳に登ることにしました。
帯広を10時頃に出て、12時頃に雌阿寒温泉の登山口に到着。
12時20分頃登山開始です。

出だしは針葉樹林帯。
前日のトムラウシ山と違ってなんと穏やかな天気でしょう。
足元も乾いています。

幼木の群生?

このあたり、花はほぼ見られませんでしたが、ギンリョウソウが見られました。
わかりにくいですが、ハチがぶら下がっています。
きのこのような何とも不思議な植物ですが、やっぱり花だということをハチが証明してくれています。

三合目まで来ると針葉樹林帯が終わり、ハイマツ帯に変わります。

そしてここから火口縁から1km圏内に入るとのこと。
気を引き締めて登ります。

視界も開けてきました。
右手に見えるのは雄阿寒岳?とこの時点では思っていたのですが、違うことに後で気づきます。

四合目。
前日のトムラウシ山と違って、目指す山の形がよくわかります。
これでこそ山登りですよね。

このあたりのハイマツはまだ背が高く、かき分けながら進んでいきます。
この日は半袖だったので腕がチクチク、痛いやら痒いやら。

高山植物も出てきました。
またまたタルマイソウ(イワブクロ)。

そしてこの山の名前を冠したメアカンフスマ。
この山固有というわけではないようですが、雌阿寒岳や知床半島でしか見られないそうです。
花弁や萼片がピシッとシャープな印象できれいな花です。

オンネトーも見えてきました。

これはコケモモの実ですよね?
富良野岳やトムラウシ山では花でしたが、このくらいの標高ならもう実なんですね。

雌阿寒岳のメアカンキンバイ。
葉の形と花弁の間の萼片が他のキンバイと見分けるポイントですね。
ばっちりマスターしたつもり。

七合目。
背景の青空が気持ちいいです。

マルバシモツケ。

八合目。
ハイマツ帯も終わり、山頂まであとわずか。
天気も良く、とても穏やかに見えますが、実はこの日はものすごい強風。
15m~20mくらいの風が吹きつけており、途中まではハイマツにある程度守られていたのですが、このあたりからはもろに風にさらされ、歩いていると時折よろけるほどでした。

メアカンフスマには強風にもかかわらずコヒオドシというチョウがたくさん蜜を吸いに来ていました。
風をうまくいなして、かわして、時には風裏で羽を休めて、賢いものです。

九合目。
いよいよ火口縁に出ます。

覗き見ると、ポンマチネシリ火口と呼ばれる火口が見えます。
火口底には赤沼があります。
でかいです。深いです。

火口縁に沿って登って行くと雌阿寒岳山頂(1499m)に到着です。
登山口から2時間10分ほどでした。

改めてポンマチネシリ火口を覗き込みます。

風のせいもあるのかもしれませんが、噴気・蒸気はあまり上がっておらず、火山活動は落ち着いているような感じでしたが、絶壁にある噴気孔からはジェットエンジンの様な轟音をたてながら噴気が噴き出しており、活火山の勢いを示していました。

一段上がったところには旧火口があり、青沼があります。
奥に見える山は阿寒富士です。

こちらからも少し蒸気が上がっていました。

ポンマチネシリ火口の反対側の景色。
手前に見える火口はナカマチネシリ火口というそうです。
この山頂の周囲だけを見ていると、ここはどこの星なんだというような荒々しさです。
ナカマチネシリ火口の向こうには、阿寒湖、さらにその奥に雄阿寒岳が見えます。
雌阿寒岳、阿寒湖、雄阿寒岳は、こういう位置関係なんですね。

下山は1時間ちょっと。15時55分に登山口に到着しました。
下山後、オンネトーから見た雌阿寒岳と阿寒富士。
この日は終始天気が良く山の形をしっかりと目に焼き付けることができました。

ここまで来たのですから、ついでに天然記念物のオンネトー湯の滝も見に行きます。
湯の滝入口の駐車場から1.4km、約20分ほどの道程です。

ただ、実際に観てみると、それほど素晴らしい景観の滝というわけではありません。

この滝のすごいところは、微生物の作用によるマンガン酸化物の生成現象が見られるということなのだそうです。
学術的に貴重であるということなのですね。勉強になりました。
オンネトー湯の滝を見た後は、雌阿寒温泉登山口にある野中温泉に入り、バッジを購入して帰りました。
というわけで、急遽登った雌阿寒岳でしたが、この旅で一番の天気に恵まれた山行になりました。
旅行におけるフットワークの軽さを好機に発揮できてとてもよかったです。