加賀乙彦は、こんなふうに思うのです


「一人を殺した人間を殺すというのでは、結局二人の人間を殺すだけだからね。そこには二重の殺人があるばかりだ」・・・・主人公の精神科医


「それは死刑によってしか救われない憐れな人間のことだから。もし、おれが死刑という判決をうけなかったら、おれは大切なことを知ることができなかった。今のおれはその判決の結果としてある」・・・・死刑囚


「死刑は殺人だものねえ、誰かが、たとえ操作桿を引くだけにしろさあ、人を殺す、殺人を犯すってのは、可哀相だなあ。しかもこっちは殺されることを何とも思ってないのだから、それは全く無駄な殺人だものねえ」・・・・死刑囚


 拘置所長が腰を浮かしながらK刑務所長に頭をさげた。
「お疲れさまです」
「やあ、きょうはスムースにいきましたな」赤ら顔の刑務所長は快活に言った。
「先週は、手子摺りましたからね」
「きょうのは、すっかり諦めてた様子でしたな。ああいう風にもってくのは大変でしょぅ」
「信仰があったんで、こっちは助かりました」
「握手をもとめられた時はちょっとあわてておられた」
「ええ・死人に触られるようなもんですからな、いい気持じゃあありませんや」
「しかし、今度の法務大臣は、まあジャンジャン判子を押すもんですな」
「実は」拘置所長は左右を気にしながら声をひそめた。「今週、もうひとりあるんですよ。けさ、執行指揮が来ましてね」




いろいろと論議 グッド!はあろうが、ワタクシは「宣告」を読み返すのだ。


・・・・黙祷・合掌・黙祷・・・・