弱者虐待ともいえる最後の命綱=生活保護の申請拒否、辞退届けの強要が起因した死亡事件に新たな死亡事件が発生していたことが分かった。取材を進めると周辺住民は異口同音に「どうしてこれが報道されないのか」「主権在民ではないと言う。 今年7月に小倉北区52歳の男性が発見された丁度一ヶ月前の6月10日早朝、区内で大内健さん(仮名)61歳がベランダにロープをかけた首吊り状態で発見された。自殺だった。大内さんは、20年前まで小倉の目抜き通りに土地も持つ企業家だった。だがバブルが弾け、家族や財産を失い知人宅を転々とする生活が始まった。昨年3月、慢性肝硬変に肺炎を併発して二ヶ月入院。入院中に生活保護を申請し、入院中に生活保護を申請し、受給が開始された。退院直後から毎日のようにCW=ケースワーカAが就労指導に来訪し暴言を吐き続けた。 この事実を確かめるために本紙は小倉北福祉事務所のAに取材を申し込んだが同事務所は事実上拒否。 知人らの話によると、地元金属会社関連の日雇い仕事で生計を立てるので、保護を辞退した、という。 昨年秋、別の病院に入院し今年二月頃、死亡時居住していたアパートへ引越した。大家は「家賃もきちんと納める人だった」。同じアパートの住民らは「口数は少ないが博学でよく碁を打った。Aに暴言吐かれたと言っていた。」 5月14日、心筋梗塞で倒れた大内さんを住民らが救急車を呼び一万円を握らせて「診察してもらって」と、病院に搬送してもらった大内さん自身が「お金がない」と言って検査や入院を拒否し、帰宅。 6月5日、市会議員と共に小倉北福祉事務所を訪問し面接主査と話し合っている。その時、大内さんは疾病を「階段で転んだ」と説明したので主査は「会談で転んだ程度なら就労可能」と判断し、、「二週間努力して仕事を探して」と就労指導。同時に「病院代にお金がかかるし、仕事が決まっても給料が出るまで一ヶ月かかる」と不安を述べ生活保護申請書を預かるよう依頼したが主査は「この状態では却下になるだけ。受け取った日が申請日になる」と答え「仕事が決まったら前借りしたら」と助言している。大内さんはその時「死んだほうがましだ」と話したという。 面接主査に当時の言動を確かめると、「死んだ人のことだから話せない」と言い、「銀行通帳にもお金が入っていたが、困る金額ではなかった。議員が同席していたので言葉を選んで話した。百パーセントの応対をした」と言う。以前に生活保護を受給していたことは知っていたが「目の前の人に対応するのだから一々ファイル(受給記録)は見ない」と本紙取材に答えた。
◇ 自殺前夜の9日夜、友人Bさん宅で遅い夕食を食べた。Bさんは取材に「あまり食べなかったねえ・・・」。この時大内さんはすでに担当でもなかったA・CWの暴言を再現した、という。 それは「働かん者は死ねばいいんだ」だった。
◇ 元・CWは「この事例には判例違反もある。辞退届けを書く時に『困ったらまた来て』と言っているはずだし面接主査は受給記録をみるべきで、入口(申請)と出口(廃止)の問題が一緒になり悪質だ。職場でおとなしい人でも受給者宅を訪問したり、密室の面接相談室で豹変することはよくある」と話す。 正に故・谷伍平元市長が作った生活保護政策で「伍平死して、生ける職員を呪縛する」だ。
9月1日付小倉タイムス
◇「書かねば翌月の金は渡せぬ」
「辞退しろと言われて仕方なく書いた」--。申請窓口の門前払いと並ぶ恣意(しい)的な運用が批判されてきた生活保護の辞退届について、北九州市の北橋健治市長は11日、見直しを表明した。これまで「就労可能」と判断された人から辞退届が出ると、就職先や自立のめどを確認せずに保護を打ち切るケースが多かった。「保護打ち切りの安易な手段」と指摘された運用は、厚生労働省の指導を受けてようやく見直されることになった。【古川修司】
「自立するので、保護を辞退します」
北九州市西部で一人暮らしの50代後半の男性は保護開始から約2カ月後の今年初め、福祉事務所で紙にペンを走らせた。傍らのケースワーカーが口にする言葉の通りだった。「『書かないと次の月の保護費は渡せない』と何度も言われ、仕方なかった」と悔しそうに振り返った。
肺の持病で医師の診断は「肉体労働は無理」。職安に通っても仕事は見つからなかったが、ケースワーカーは「仕事を探してください」「働く気はあるでしょう」と繰り返すばかりだった。保護打ち切り後に清掃関係の仕事を見つけたが体が持たずに辞め収入は途絶えた。
「強要による辞退届提出は無効」「自立のめどを聞く」など厚労省が見解を示した発端は、辞退届提出後に収入のなくなった同市小倉北区の男性(当時52歳)の孤独死だった。4月に届けを出し、7月に自宅で亡くなっているのが見つかった。市側の自立確認も不十分だった。
残された日記には「がんばろうと思った矢先に切りやがって」「書かされ印まで押させ自立指導したんか」との記述があった。また、ケースワーカーが主治医から聞いて「普通就労可」と記入した病状調査票について、主治医自身が異議を唱えている。
辞退届は制度上の規定がなく、厚労省も活用実態を把握していない。九州・山口で辞退届提出による06年度の打ち切り件数を把握していた県と政令市、中核市は佐賀県、北九州市、熊本市、大分市、宮崎市など。死亡や失そう、転居によるものを除くと、辞退届による打ち切りは北九州市40%、熊本市23%、佐賀県8%、大分市5%と差があり、宮崎市ではほとんどのケースで辞退届が提出されていた。
北九州市のケースワーカーは「保護打ち切りがふさわしい事例でも他の方法は手間がかかりすぎ最も手続きが簡単な辞退届を出してもらうことはある。無理強いはしていないが」と打ち明ける。
小林正己・市地域福祉部長は「自立指導に熱心なあまり、過去に行き過ぎた対応があったかもしれない。厚労省の考え方はただちに現場に伝えた」と話している。
毎日新聞 2007年9月12日 西部朝刊
「心の病」職員73人長欠 北九州市議会一般質問 生活保護対応で市長陳謝
生活保護を受給できなかった男性の孤独死が相次いだ問題で、北橋健治市長は「市の対応は厚生労働省が指導しているきめ細やかな配慮に欠けていた」と陳謝した。
小倉北区の男性が生活保護の辞退届を提出後に孤独死した問題について、同省は6日、都道府県や政令市などの担当者会議を開き「保護の廃止決定は、自立のめどを確認するなど直ちに急迫した状況に陥ることのないよう十分な留意が必要」などと指導していた。
市長は「不正受給排除は当然だが、守り抜くべき市民は守り抜く」と述べた。
【市職員の長期病欠】
山口彰総務市民局長は、病気で年間21日以上休んだ職員が今年3月末時点で244人に上り、このうち73人が何らかの精神疾患であることを明らかにした。「心の病」で長期欠勤する職員数が増加傾向にあることから、市は保健師による相談窓口を開設しているが、今後、個人的な精神ケアの方法や病気を患った同僚への声掛けなどの対応を学ぶなどの「研修を進めたい」(山口局長)とした。
情けないことだ!!
恥ずかしい限りだ!!