『納棺夫日記』を読む


「死を忌むべき悪としてとらえ、生に絶対の価値を置く今日の不幸は、誰もが必ず死ぬという事実の前で、絶望的な矛盾に直面することである。…仕事柄、火葬場の人や葬儀屋や僧侶たちと会っているうちに、彼らに致命的な問題があることに気づいた。死というものと常に向かい合っていながら、死から目をそらして仕事をしているのである。」


昨日帰宅途中に買い求め、先程読了しました。

あとがき・解説も含めわずか220頁程の文庫本であったが、なんとも死についての重要な事が書かれておりました。

少し時間を置いて精読したい。

宗教や科学や哲学書を同時に読まなくてはならなくなりました。




ある日、納棺夫は一人暮らしの老人の遺体を納棺したのであった。


お棺を置き、布団をはぐった瞬間、一瞬ぞっとした。後にいた警察官は顔をそむけ後退りし、箒を届けに来た男などは、家の外までとび出していった。

無数の蛆が肋骨の中で波打つように蠢いていたのである。

蛆を掃き集めているうちに、一匹一匹の蛆が鮮明に見えてきた。そして、蛆たちが捕まるまいと必死に逃げているのに気づいた。柱をよじ登って逃げようとしているのまでいる。

蛆も生命なのだ。そう思うと蛆たちが光って見えた。



お魚


海の魚はかはいさう。


お米は人に作られる、

牛は牧場(まきば)で飼われてる、

鯉もお池で麩を貰ふ。


けれども海のお魚は

なんにも世話にならないし

いたづら一つしないのに

かうして私に食べられる。


ほんとに魚はかはいさう。

     

                ・・・・・・金子みすず・・・・・



纏まらぬままに今宵は深く深く、死について考えるのです。