『一番寒い場所』を再読したら


山口二矢を久々に思い出した。で、早速本棚捜索して見つけ出した大江健三郎の『性的人間』・新潮文庫¥140。1972年1月12日読了(ページの最初に読み始めの日と最後のページに読了日を記入するのが流儀なので何歳の時に読んだものかが直ぐ判る) この中に『セヴンティーン』は収められていた。

この本の主人公が17才の山口二矢だ。 『セヴンティーン』は第一部で二矢が政治思想を持つに到る経過が書かれて、第二部の『政治少年死す』には、浅沼稲次郎 暗殺と二矢の自殺 が書かれているはずだがこの第二部は政治的理由で出版されていない。 発表後、大江健三郎は右翼の脅迫で生命を脅かされ、出版社は謝罪文を出したとの事、右翼は山口二矢を三島由起夫と共に神格化して烈士と呼び、一部右翼団体は現在も命日(11月2日)には山口二矢墓前祭を行っているそうな。

第二部の『政治少年死す』では二矢の性癖と劣等感の固まりとしての存在を描いているので烈士と崇めている右翼にとっては許すことが出来ないのであろう。しかし、ノーベル賞作家のきわめて重要な作品と言われているものが今日に至るも読めないとは誠に残念至極である。 

沢木耕太郎の『テロルの決算』(大宅壮一ノンフィクション賞を受賞)では山口と浅沼をノンフィクションで書いているとの事なので是非読まなければと思っている。が、その前にもう一度『セヴンティーン』を読まなければ次に進めない、どんどんと本の泥沼にはまり込んで行きそうだ。 

山口二矢が活動していた大日本愛国党、赤尾敏総裁の演説を数寄屋橋で聞いたこともあるので、こちら関連も研究せねばならず、当分あの何とも旨そうな食べ物が出てくる池波正太郎の『食卓の情景』は先になりそうだ。


  

1960年10月12日に浅沼委員長を刺殺して、11月2日には東京少年鑑別所で自殺した。自殺直前、壁に歯磨き粉で書いた「七生報国 天皇陛下万歳」