2012年のGWは、昨年行けなかった北鎌尾根にリベンジしました。



昨年は,4月後半の寒波で大雪が降って、雪崩の不安で涸沢に逃げてしまいましたが,今年は奇跡的な天気の良さ!行かない訳にはいけません。



4/27日(金)午後十時半。ヨメさんと合流し、いざ大阪を出発。高速を飛ばしていっても5時間はかかります。前日に用意をしていて,二人ともほとんど寝ていない所に,この運転はこたえます。平湯温泉のバスターミナルで1時間の仮眠をとって、あかんだな駐車場に移動。二人とも疲れていて始発のバスを逃す。



すると,Oさんパーティーと遭遇し,彼らは,北穂東尾根に行くそう。



北鎌チャレンジを応援して下さって元気をもらう。



4/28日(土)1日目



7時半上高地着。天気は上々,ちょっと暑すぎる位。寝不足の二人は,ザックの重みに辟易としながら、長いアプローチを進みます。長袖シャツ一枚でも暑いくらいの陽気にかえって雪崩も気になる。



今日は,水俣乗越を越えて、北鎌沢出合まで行きたい所だが,この体調とドピーカンの直射でフラフラ。横尾で10時半。ここで涸沢組ともお別れ。そういえば,いまだに槍ヶ岳には行ったことがない二人。ルート経験のない二人が,いったいどうなるのやら?



 槍沢ロッジに1時に着き、小屋の兄さんに少し話を聞く。2日前に水俣乗越を越えて千丈沢の下りで,滑落事故があったそう。個人の判断ですから,まあ気を付けて!と、小屋の兄さんに素っ気なく応援をいただき小屋を後にする。



槍沢の状況は恐ろしい程のデブリである。最近にない大きさだそうだ。大曲辺りでは,雪崩によって削り取られた雪壁が,7,8mはあるだろうか?



 巨大デブリ!



 もう,3時近くなって,水俣乗越を正面に見るが,デブリもあって今から越えるには,気温も高すぎるし寝不足の体力では,気合いさえ入らない。

大曲付近



テン場は,槍沢ロッジテン場があったが,今からそこまで戻る気にもなれないので大曲の樹林帯の中に設置。正面に見える顕著なコルが水俣乗越。明日はこれを乗越して,北鎌沢出合まで行き、さらに沢を詰めて,北鎌尾根に出なければならない。行程は,今日中に北鎌沢出合泊だっただけに明日明後日の行程が厳しくなる。



本当に,天気が良い。風は無風。周りには,人の陰もなくなって槍沢のS字に曲がりくねった先に隠れた槍ヶ岳を想像しながら1日目終了。



 



4/29(日)2日目



3時半に起床。昨日、雪で作った水は、なんだかダケカンバのニオイがした。



二人とも,寝不足がたたって,まともの歩けなかった昨日に比べ,元気には成ったが,行程の遅れは緊張を増し、今日の辛い上下行を思うとまだ,どこかでホンマに行くんかいな?と自身に問いかけたりしている。



昨日確認したルートは,正面の大きなコル。それに真直ぐに向うが,我々より少し先に右の方に向うパーティーがいた。あれっと思いつつ自分たちの決めたルートを登る。5時半行動開始。デブリの中を詰めていくのは気持ちが悪いが,朝の雪はいい感じに締まっている。2時間ちょっとで東尾根の稜線につく。右を見ると,槍ヶ岳が,真直に見える。ここに辿り着くなら,東尾根を行けばいいのに、、、と弱気になっている私。ヨメは,下りにかかろうとするが,どうも,傾斜がきつい!写真で何度も,確認しているので,この風景は既知のはずだがどうも写真の印象とも違う。でも仕方がないので,少し右の尾根状の樹林帯を下り始める。心配なので一旦ロープを出すが、ヨメときたら,後ろ向きに下りれば大丈夫とさっさと下りていく。一旦アンザイレンしておきながらこっちの行動も関係ない!かえってロープが邪魔でめんどうくさい。
北鎌尾根が見えた



細くなっていく沢は,氷化した所もあって,確実にアイゼンを効かせて下りていく。ところが,傾斜が緩くなった所で,ヨメは,シリセードで降り始める。



ロープはもう要らんなあ。と話しはしていたが,解いたかどうかの合図もなかったのでビビって大声で叫んでしまった!さーっと降りていった後で,そんなんもう外してるに決まってるやんかぁ!?でもひと声掛けてくれって!



急傾斜が終わり,沢を下っていく。どうも,写真で見ていた印象と違うので,振り返りながら確認すると,沢を一筋間違えたようだ。先に右側へ行ったパーティーは,おそらく正確なルートだったのだろう。地図でも確認していたつもりが,わざわざ厳しいルートを選んでしまった。



太陽も上がってきて,今日も日差しがきつい。
昨日より,高度の低い1800m地点まで下るのは辛い。天上沢の水の流れが始まり,ここに泊まれば水の心配もなかった。昨日、水を作った分、燃料は少なくなっている。



9時すぎに,デブリで張り出している北鎌沢右俣に到着。ああ、これは写真でも見覚えがある。先に,二人パーティーが登ってるのが見える。大休憩を取って,今日のSSに挑む準備。水俣乗越の左側の沢?で結構足にきているし、目の前の急登は,高度差670m、がんばらんと!10時にGO!



デブリは,歩きづらいが,先行パーティーの後を追ってトレースを借りる。これだけでも充分体力の消耗は抑えられる。



ほんと、トレース泥棒だ。



左にも沢があるはずだが,それ程顕著にはわからない。真直ぐに伸びた先で右にカーブし傾斜がきつくなる.



雪の状況は,まだ,ズブズブとまではいかないが,めり込んでいく感じは登る程に多くなる。ずっと雪崩の削った後を登り返しているだけに気が気でない。上部にコルが見える所で,二股に分かれていて先行パーティーは,左を登っていく。私より元気なヨメは,そのままトレースしていくが,ころころと雪玉が転がって来るので,尾根筋に寄って行こうと声をかけても、大丈夫!早よ抜ける方が良い!と進んでいく。私は,左右の沢筋の真ん中の尾根状に向って別ルートをいくと,ヨメの方は,少しかたまって雪が落ちてきた。



二人とも気が気でないが,とにかく抜けるのに必死!私たちの後に来たパーティーは,ガイドさんの2人パーティーだったが,沢の右を詰めていって、30分程後から来たのに上に着いたのはほぼ同時だった。ようやく,北鎌尾根の稜線に着いた!やっとの事。3時間のアルバイトが終了。



しかし,既に1時。ここに泊まっていては,到底明日中に抜ける事は覚束ないので,少しでも距離を縮めたい所だ。



稜線は,先行パーティーのお陰で,踏み跡もありそれをたどっていくが,雪の状態は悪くなって、たびたび、膝までハマる。



急傾斜のトラバースや,ナイフリッジは落ちたら終わりだ。この雪の状態では,一歩一歩が不安で相当な緊張である。



2時間半程稼いで,2749m地点のピ—クまできて,もうこれ以上進むのが怖くなって行動を終了。10時間行動。



目の前に,独標がどーんと構え,槍ヶ岳の本峰は隠れて見えない。



周囲を見渡す余裕もできて,北アルプスのど真ん中にいるのがよく解った。



鋭角で,男性的な表銀座,緩やかで奥の深い裏銀座の稜線がきれいに見える。



また、その手前に長く伸びた硫黄尾根。大きなアップダウンを繰り返す稜線だ。遠くには,劔が,両翼を広げて,美しい。



風は,全くの無風。薄く雲がかかってきたが,気温も下がる気配がない。



おそらくまだ,10℃近くある。



テント場の整備をし、雪を掘って水を作る。切り出した雪は、一時に降ったであろう40㎝程の層できれいな雪だ。作った水が何とも旨かった。



先行パーティーは,途中で,引き返してしまったので,今稜線にいるのは,我々だけかも知れない。何と豊かなパノラマを独り占めにしていることか!



食事は,軽量化のためにα米のリゾットと,ポタージュスープにちょっとだけの豚肉、ネギ,乾燥のごぼうや,人参を入れたスープ。疲れてはいるが,二人とも気力は,充実してきている。本来の行程では,独標を越えて北鎌平までだから,その分の5時間程の遅れを明日に持ち越しているだけに緊張もひとしおである。



ほんとに,風もなく,暖かい。神様!明日も何とか天気だけは頼みます。

独標手前のピーク



2/2に続く。