二〇十三年二月九日

先日、大阪市市長、大阪維新の会党首、日本維新の会党首、橋下を見てきた。
「維新の会、大阪府・大阪市政報告会」だから、東成区の支持者を集めた政治集会ということになろう。政治集会は、二十年以上も前の「革共同政治集会」以来の体験だ。
会場は、昨年新築された東成区民センターの二階のホールだが、そこへの通路は規制されていて、建物の表口から入ろうとすると裏口へ誘導された。二階の受付で名前、住所を書かされた。どちらも偽りの住所と名前を記入した。ガラス越しに見えた二階のロビーの様子から受付で名前を書かされるのがわかっていたからどんな名前にしようか考えながら二階に行ったのだった。係員に記入した用紙を渡すと、ポケットとカバンの中身をあらためさせられ、金属探知機を通過させられホールに入る。既に報告会は始まっている。出入り口の左に立っていた男に「空いた席に座ってください」と促される。壁際の椅子に座れるかと尋ねると、「座れません」と素っ気なく応じる。この男は大阪府警のSPだった。
「革共同政治集会」ではあちこちで決意表明やらアジ演説が行われていて、中身は空っぽだったけれど緊迫感だけはあったものだが、もちろんここではそんなことは行われてないし、緊迫感もない。テレビ芸で鍛えたであろうユーモアを交えた橋下の巧みな話術に、参加者のほとんどが笑い、拍手している。支持者だから当然といえば当然ではあるが。
私は、橋下の顔をみてカメラにおさめたかっただけだ。だから、写真を撮った後は早々に退場した野次馬でしかない。それでも警護の厳重さは前府知事、現市長という社会的立場からは過剰ではないかと思えるほどだった。壇上に三人、客席の両側にそれぞれ二人、最後部に一人。合計八人のSPが警護していた。彼らは、維新の会のスタッフとはあきらかに違う緊迫したムードを漂わせていた。立ち方から既に違っていた。橋下のSPの数は野田より多いということだったが、確かにそうだろうと思えるものだった。
結局、テレビで見るとおりの橋下の顔と扇動家としての話術の巧みさをあらためて確かめ、監視するSPの仕事ぶりをのぞき見しただけだった。

付記:この見聞記は二〇十二年十一月八日に書かれたものである。