ベートーベン
交響曲「第九」
シラーの詩の新解釈で
100倍楽しめる!!
歌好きの人で、いつかはベートーベンの交響曲「第九」(合唱の部分)を歌ってみたいと思っている方は多いのではないだろうか。
私もその一人であった、若い頃からただ漠然と思っていただけで、積極的にコンサートに行ったり、レコードやCDで聴いたりどこかの合唱団を探したりしたわけではなかった。
10数年前行政の協賛を得て地元の合唱連盟が「第九」のコンサートを開催することになり、私も参加を決めた。
しかし、恥ずかしながらその時点では第1楽章から通して聴いたことも無かったし、合唱の部分でさえも全て知っているわけでは無かった。勿論、詩の内容も作者のことも全然わからなかった。だが「歓喜」!と言うからには大きな喜びであり、めでたきこと、祝うべき時であろうことはわかるし、さらに、その題名以上にベートーベンのその旋律が物語っているので、素晴らしき体験の喜びを感覚的には認識していたつもりでいた。
そこで、書店で購入した教本に書かれたシラーの詩の翻訳を見たとき、正直よくわからなかった。その後もいくつかの翻訳に触れたが似たり寄ったりでまるで意味不明という感じがした。それらの訳では。
皆さん、その訳で理解出来るのですか?
勿論音楽というものはそれで良いのかも知れない。 旋律だけで訴えるものがあるからこそ演奏され続けて来たにちがいないし、多くの楽曲がそうしたものであることは否定できない。たとえ演奏者に詩の意味が分からなくとも、ベートーベンの思いの力と、詩そのものに内在するエネルギーで、多くの人々を感動の渦の中に巻き込んできたに違いない。
しかし、よく見て深く考えていくうちにこの詩の意味が判るようになり、理解できるようになった。・・・と言ったらそれこそ信じる人がいるであろうか?
あるいは中にはこのまま(今までの訳)で判るという人もいるかも知れない、そう人類は皆兄弟だと分かった喜びを歌っているのだと。
そうそれも一つ、ではどの様にしてそれが分かったのか?
直訳では確かにそのように訳せるが、その意味するところはなんであるか。
新たに私が訳そうと思った。
ドイツ語は学生時代に第2外国語として学んだが、得意な訳ではなかった。文法の教科書と辞書を頼りに、今迄の訳と対比させながら主にその中の意味の解釈を試みた。
勿論詩の日本語訳も判りにくいが、ドイツ語であってもそのもの自体が判りにくく作られている。詩であるが故に。
では何故にわかりにくいのか、それは体験だからである。
しかも普通の方なら目をしかめ、首をかしげるところのいわゆる「霊的体験」
だからである。
その体験をストレートに表現しても信じ難く、理解できないものになってしまうであろう。
であるからそれらを詩的にあちらこちらにちりばめて、解って欲しいということなのである。
ベートーベンの第九にはシラーの詩の一部が使用されている。 私自身全文の訳には至っていないが、この第九に使用されている部分だけでも理解出来るはずである。 とりもなおさずベートーベンもまたその部分を抜粋したわけであるから。 そして彼自身もまた体験したであろうことは想像に難くない。 私にはわかる、それに似た体験をした者として。
またこうしたある種の霊的体験をした人は数多く居ると思われるし、そうした方は理解できるであろう。
数種類の訳の中で、ほとんど同じ変えようもない最後の四行、(私の訳にしてもほぼ同じ)に関して、結局これがすべての結論であることには間違いない。
「創造主はいるに違いない」
シラーの時代にしても今の時代にしても、勿論詩歌の中で声高に叫んだとしてもおかしなことではないであろう。歓喜! これは単なる喜びではない、確信の喜びなのである。
では、以下私の訳と、その解説をしていきます。これはあくまで私個人の見解であります。多くの意見をお聞かせ願えれば幸いです。
"An die Freude" フリードリッヒ フォン シラー詩
ベートーベン 第九 行田市 齋藤直人訳
Freude, schöner Götterfunken, 歓喜、神が使わせし美なるもの
Tochter aus Elysium! 楽園からの娘(天使)
Wir betreten feuertrunken, 我ら 火による陶酔(瞑想)にて
Himmlische, dein Heiligtum! 天使よ、汝の聖地に足を踏み入れる
Deine Zauber binden wieder, あなたの魔力(霊力)は
was die Mode streg geteilt, 時の流れが厳格に分けられたもの(人と神)を再び結びつける
alle Menschen warden Brüder, すべての人は兄弟になる
wo dein sanfter Flügel weilt あなたの柔らかい翼(天使の羽根)の有るとこ ろ(天国)では
Wem der große Wurf gelungen, 偉大な投げ掛け(天使との接触)に成功し た者は
eines Freundes Freund zu sein、 友は存在の友であり
Wer ein holdes Weib errungenn, 誰が 妖精のごとき婦人を得られようか
Mische seinen Jubel ein! 歓喜の叫びの内在を併せた存在(こんなにも嬉しいと思 えるほどの)
Ja, wer auch mur eine Seele そうだ、地上と呼ばれるところに存在する
sein nennt auf dem Erdenrund! 単に一つの魂でさえも
Unt wer’s nie gekonnt, der stehle この結びつきにより、 *感涙 を盗む(得る)ことを
weinend sich aus diesem Bund, そう、誰が出来ないであろうか(出来ない者がいようか)
Freude trinken alle Wesen 歓喜 自然が誇るすべての存在を
an den Brüsten der Natir. 享受する。
alle Guten,, alle Bösen すべての善も悪も
folgen ihrer Rosenspur, 彼らの いばらの跡(イエスキリスト)に服従する
Küsse gab sie uns und Reben, 天使との接触(Küsse)は 我らに**ぶどうを 与え
einen Freund, geprüft im Tod, 死の試練を経た一人の友(イエスキリスト)を与 え た
Wollust ward dem Wurm gegeben **歓喜が起こること(仏性)は虫けらに も与えられた
und der Cherub stht vor Gott. そして天使ケルビムは神の御前に立つ
Froh, wie seine Sommen fliegen めでたき、それは太陽が飛翔するがごとくに
durch des Himmels prächt’gen Plan, 大空を横切り 地平に向かう壮観さ
laufet(原詩ではwandelt),Brüder, eure Bahn, 走れ、兄弟よ、君たちの路を
freudig, wie ein Held zum Siegen! うれしき、勝利に向かう英雄がごとく
Seid umschlungen, Millionen! 胸の内に存在する、百万の人々よ!
Diesen Kuß der ganzen Welt! この Kuß(接触)を全世界に!
Brüder! über’m Sternenzelt 兄弟よ!天空はるか
muß ein lieber Vater wohnen. 愛すべき父がおられるに違いない
Ihr stürzt nieder, Millionen? 君たちはひれ伏すか、百万の人々よ?
Ahnest du den Sechöpfer, Welt? 君は創造主を予感しないのか、宇宙の?
Such’ ihn über’m Sternenzelt! 天空かなたに創造主を求めよう!
Ü ber Sternen muß er wohnen 星空のかなたにおわすに違いない
今後解説を投稿していくつもりです。