く皆さん、こんにちは。
仕組み経営コーチ・たまごの柘植恵文(つげめぐみ)です。
先週は何故、私が「仕組み化」に取り組んだのかについてお話をしました.
最初はどうやって仕組み化をしていくか、全く想像もつかず社員に任せていこうと心にきめたのにも関わらず、うまくいかずに現場が気になって仕方がありませんでした。
そんなときに、本なんてほどんど読まない私だったのですが、本屋さんである一冊の本が目に飛び込んできたのです。
井上眞先生の「I Eという名を魔法の虫めがね」という私の業界【自動車整備】に特化した本でした。
仕事を科学する「自分たちの仕事を分析し、仮説を立て、検証する」という内容の本です。
その本の中に”振り向けば工具”という節があり、工具を入れるキャディーの写真がいくつか載っていて、その写真を見たときに衝撃を受けました。とても少ない工具が整然とそしてきれいに置かれている様子です。
このとき、それまでの私は車を売って売り上げを上げることばかり考えていて、完全に大事なことを忘れていることに気が付いたのでした。
それは、我が社の工具箱は、ぐちゃぐちゃでてんこ盛り状態になっている・・・本を読んでみて、
それは、何を意味するかと考えてみると、最大の悪は、”効率が悪い”ということですが、大事なことは自分たちが使っている道具さえも大切にできないということは、本当にお客様を大切にしているのか、という仕事に対する姿勢がそこに現れるということだったのです。
すなわち、工具箱には経営者の心が表れていると云うことを、たった一冊の本、たった一枚の写真から気づかされ、まるで雷に打たれたかのような思いしたことを今でも覚えています。
そして、私は「うちに足りないのはコレだ!この先生だ!この人に教えてほしい!よし!来てもらおう!」結構簡単に思いましたが、どうやって連絡したらよいのか、わからなかったのでとにかくこの本を読んで色んな事に気づき、感動して、そして井上先生にご指導をいただきたい!と云う思いの丈を手紙にして本に書いてある住所に送ったのでした。
すると数日すると、井上先生から私に直接お電話をいただいたのです!
先生は私がしたためた手紙の内容をとても理解してくださり気持ちも汲んでくださったのですがその時は「柘植さん、私はディーラーとか商業施設とか大型店舗のコンサルティングはしていますが、小さな会社のお手伝いはしていないのです・・・よかったら地域の同業者組合の皆さんと合同で講演会に呼んでいただくか、セミナーに来ていただいたらいかかでしょうか。」とおしゃったのでした。
それでも私はうちの会社が生まれ変わり、仕組み化でできていくには井上先生に教えていただくことが一番の近道だと諦めきれず、何度も何度もお願いをし続けました。
そうしたら、井上先生が私の情熱にほだされて「小さな会社のカイゼン・私の勉強のためにお手伝いさせていただきましょう」と本を読んでから半年越しで願いが叶ったのでした!!!
そして、井上先生が初めてお越しになって・・・何も言わずに、うちの会社を一周見て回って
「こんなに何もしていない会社は見たことがないです・・・よくここまで持ちこたえましたね、
柘植さん、伸びしろいっぱいの会社で楽しみです」と穏やかな声でおっしゃったのでした。
そこには、とても深い意味があることが私はまだ気が付いていませんでした。
そして井上先生は毎月1泊2日でお越しになって下さり、「早く帰ろう!」を合言葉にカイゼン活動がスタート。最初に取り組んだのは『稼働分析』でした。でもその前にわが社に必要だったのは、整理、整頓、清掃の3Sです。
井上先生は現場の工具や道具に黄色い付箋とピンクの付箋をペタペタ貼り始めます。黄色の付箋は必要のないモノ、黄色の付箋は置き場所を工夫するというもの。
でも、その「カイゼン活動」よりも厄介で大変だったのは、社員たちが、なかなか井上先生を受け入れようしないことだったのです。
今考えると・・・それはとても理解もできるし、当たり前のことだと思います。
何故ならそれは、社員のみんなに相談もなく井上先生を連れてきたり、突然カイゼンカイゼンと言い出した経営者の私にすべて責任があったのです。
その当時に私は自分が病気になったことで、車の販売ができなくなり会社の売り上げがどんどん下がっていく中で、目に入ったのが工場の汚さ、社員たちのやる気のない働き方など、責任がまるで社員たちにあるかのように思っていたんですね。
だから、改革が必要だ!と思い込み社員のみんなに簡単な説明だけで、いきなり先生を呼んできて『稼働分析』だとか言い出したりして、その上、ちょっと本を読んで気づいたことを大げさに伝えていたんです。「自分たちが使っている道具さえも大切にできないということは、本当にお客様を大切にしているのか、という仕事に対する姿勢がそこに現れるということよ!!」と言いながら(勿論それも本心ですが・・・)でも根底にあるものは『もっと効率を上げて短い時間で仕事をして欲しい、そして売り上げを上げて会社の借金を返済したい』というのが私の心の声だったのです。
そんな、心の矢印→が自分向きの経営者の声が社員たちに届くわけがありません。
でもまだその時の私にはその境地には到達していなかったのでした。。。
今回はここまでにします。
貴重な時間をさき、最後までお読みくださいましてありがとうございました。
