『私から断られるとは思わないの?』
『思わないね』
毎回毎回この自信ありげな態度…
いつも何故か対抗してくる。なのにいざと言う時は助け舟をそれとは分からないように出してくる。
本当に調子が狂う変な男。
『…ずいぶん自惚が酷いけど…どういう根拠があるのかしら…』
『根拠?その目…目は口ほどに物を言うって知ってる?』
『目?ちょ…何…近付きすぎ』
『何で?確認しようと思って…その根拠が正解かどうか』
近付いてくる彼から目が逸らせなかった。
すぐ目の前に立ちはだかって少し屈むと私の顔を覗き込む。
春を告げる風がそれでもまだ僅かな冷たさを連れて足元をくすぐり去った
『どう?』
『どうって?近すぎる!』
『いや、目見て分かるだろ?』
『分かるわけないでしょ!口で分からせなさいよ!そんなの』
『あ、良いの?』
『え?』
腕を引き寄せて顔が益々近付く
『好きだ……』
どが付くストレートさ
『!!』
『だめ?』
声が出なくて…固まってしまった
『どうなの?』
頷くしかできなかった。
『ちゃんと言ってくれないと分からないけど?』
悪戯な笑顔を向ける
多分これが手なんだ。畳みかけてくるやり方。
悔しいけど…嘘はつきたくない。
『ダメ…じゃ…ない…』
『じゃあ口で分からせて?』
『??』
『!!!!』
今度は答えを待たずに彼は私の唇を塞いだ。
さて、気晴らし短編でしたー。