1日の終わりは2人。部屋で寛ぐ。
いつもの風景。もう何年？
今日誰かの端末から流れた曲が耳に残っている。
『あの曲…なんて曲かな』
つい、口に出してしまっていた。
『何が？』
『今日ね、流れてきた曲が良くてさ…歌詞が…』
歌詞検索をかけてみる。
まるで2人みたいに。出会った頃の。
会いたくて触れたくて
毎日毎秒毎時間一緒にいたくて。
いつの間にか 少し
言いたい事が言えなくなった。
キラキラした日々を懐かしく思う歌詞だった。
今と重なる
こちら側の虹はあるのに
あなたの虹は消えかけて見える
あの頃2人に掛かる虹は鮮やかで
同じ気持ちで、2人同じ様に笑って。
なのに今はどうなのかな。
かと言って聞くのも怖い。
『あ、あった』
ベッドに座って聴きながら
少しだけ涙が溢れた。
『それ音楽何？貸して片方』
イヤホンを取って耳につけた。
『良い曲でしょ？』
『………』
あなたは何も言わなかった。
別の日、今度はあなたがイヤホンをして
『俺たちみたいな曲なんだ』
『え？どんな？イヤホン貸してよ』
『いやだね』
『なんで！私も聴きたい』
私を無視して音楽に乗って体を揺らす。
不貞腐れて携帯をイジる。
『いじけた？ごめんごめん』
目の前の人は悪いと思ってもない様子で笑いながら耳からイヤホンを外した
『ほら…耳』
手を伸ばして私の耳に付けた
『え？』
驚く私を引き寄せてキスをした。
『音楽聴いてない！！』
『騙されたお前が悪い』
悪戯っ子のようにまた笑った。
あの日の虹は消えていなかった
昨日掛かった虹を見て出来た短編です。
久々オリジナル〜