中国ドラマ春花秋月その後番外 春花秋月何時了 | **arcano**・・・秘密ブログ

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韓流、華流ドラマその後二次小説、日本人が書く韓流ドラマ風小説など。オリジナルも少々。
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『炎輝…ちょっと頼まれてくれぬか』


『父上、どうしました?改めて頼み事など…いつもなら容赦なく用事を言いつけて終わるのに…あ、まさか』


『なんだ?』


『父上…桃も連れて行けと言うんでは?』


『どちらでも良いが何故だ?』


『いやぁ、また母上といちゃいちゃしたいのかと思って…大体そんな時邪魔者の私や桃は使いに走らされる気が…しない事もないというよりそんな気しかしません』


かつて江湖武林の人々を震撼させその名を轟かせた秋月に明け透けと物申す炎輝はやはり母親の春花そっくりである。

悪戯な目をこちらに向けくるくるとよく変化する表情に秋月は自然と笑みが溢れた。


『いちゃいちゃ…とは何だ?陰陽の交わりの話か?』


『い、陰陽のま、交わり!?ちょ、父上…っ声が大きいっ』


秋月の次の言葉を制止する


『お前と私以外に誰がおるのだ。

はぁ…炎輝、お前ももう大人だ。父母の事もかように察する事ができるようになった。千月や鳳鳴で葉顔、冷凝に色々と学んでおるようだがしかし不思議な事にこの父には一向に教えを乞いには来ぬ…何故だ?』


『??なんの事です?』


『手に入れたい女子くらいはおらぬのか?』


『んなっっ…なななっなんと!』


狼狽する息子を秋月は笑った


『ほう、図星か?ならば手解きを…』


『て、て手解き??や、、ややや…そそそれは良いです!まだまだ私は未熟なのでその様な…まだまだ』


『ははは…何を焦っておるのだ。だがその様子では遠くない未来に私の出番がやって来そうだな』


『何という事を!私はまだ修行の身です。で、何ですか?父上…頼み事とは!』


『ああ、人を集めてもらいたい…』


『人を?誰です?』


『………』


『誰です?』


急に口籠る秋月に炎輝は訳が分からなかった。


『……お前の…世話になった者達だ』


『??わ…たしが世話になった者?』


釈然としない秋月の言い回しに炎輝は困惑した。


『例えば…葉顔先生や冷凝先生ですか?』


『ふむ…そうだな』


『あ、あと姉上と清流。蕭白前盟主…とか…。そうだ最近は蝶瑶さんも手合わせしてくれるし…それに先日は八仙で風彩彩先生に沢山ご馳走になりましたし…となると李漁先生もですよね?』


『………誰かが聞いたら泣いてしまいそうだな…』


『誰か?』


『冷凝、風彩彩に李漁。蕭白まで出て名が出て来ぬとは』


『あ、秦流風のおじさんだ!いや、いっつも冷凝先生に叱られてる姿しか見てないから世話になった感覚ではありませんでした』


『ははは面白い。そのまま流風めに伝えよう』


『やめて下さい!父上はそういうの好きですね。で?何があるのです?』


『うむ……傅楼游絲の花畑で月見でもと…』


『ああ!成る程…中秋節ですね…』


『毎年家族で月餅を分け合って中秋を団欒で過ごしておったが今年は雪蘭がいない。春花が寂しがると思ってな…だが雪蘭を呼べば清流は付いてくる。あやつも家族だろう。そうなれば流風や冷凝も息子のいない中秋節になる。秦流風の家と合同ですれば蕭白は鳳鳴で1人になる。それは小気味良いが後味は悪いし…清流は養子なのだから義父にあたる。呼ばぬわけにも行かぬだろう…』


『父上…何だかんだでみんなを…』


『言うな!それ以上は黙っておるのが賢明だぞ…お前の貧弱な想像とは大幅に違うからな』


『はぁ、、分かりました。あれ、しかし母上は何処に行ったのです?桃も見当たらないし』


『ああ、午前中に月餅に入れる木の実をとりにいき疲れて眠ってしまった様だ…』


『そうですか…どうりで静かすぎると思いました…では、皆に声掛けをして参ります』


炎輝は鳳鳴山荘の蕭白に話を通した。丁度今後の事を相談しに部屋を訪れていた清流は義父秋月の召集に緊張し返事を渋ったが反対に蕭白は二つ返事であった。


『なんと、月見の会と?午後から翼星主蝶瑶が千月の薬を持ってくる事になっておったので葉顔殿に伝えよう』


『え…蕭白様…体調は大丈夫ですか?ご無理はしない方が…』


『何を申すか清流。今日この日は1年に1度だぞ?私もこの日に父蕭原と過ごした思い出はなかった…あまり楽しい記憶ではないが皆が集まるなら行ってみよう』


『因みに姉上は行くつもりだってよ…清流は来なくても姉上が来れば良いって父上が言ってたぞ』


『なっ!なんと!雪蘭が行く所夫の私が行かぬ訳にいかんではないか』


『はは!父上の言う通りだ…雪蘭が行くと言えば清流は来ると。流石父上だ』


炎輝は筋書き通りの清流に腹を抱えた。

そうしながら月が伝奇谷を照らす頃皆が花畑の大岩に集結した。風彩彩は娘の婿は炎輝とばかりに娘を美しく着飾らせ炎輝の隣に座る様に指示した。


『炎輝は八仙になかなかこないでしょ?こんな機会があってよかったわ。ね?あなた』


『え、いやまだ縁談は気が早いだろう。あ、秋月殿私は…ちょっと薬草の事で聞きたいことがあるんですが…後からよろしいですか?』


彩彩の睨みも気付かぬ生真面目な李漁は薬草の袋を取り出した。


『李漁は相変わらず不粋だな…』


『ん?アレは何です??』


李漁は大岩に置かれた台に様々な月餅が並んでいるのを見つけた。


『まぁ!これ…月餅ね?春花さんが作ったの?』


彩彩は驚きの声を上げた。


『ええ、兄上と…』


『え!?秋月と?まさか…何やら混入してはおるまいな』


『凝!そう言うな…色も美しいし美味そうではないか』


流風は1つ手に取り眺めた。


『ふん、美しい花には毒があるぞ?良いのか?』


『な、なんだ?どう言う意味だ秋月殿』


『分からぬか?美味しそうに見せておるのだ毒入りだがな』


『!!』


『ははは』


『父上…大人気ない…義父上様申し訳ありません…あの…それ私が鳳鳴で作ったものです』


『や!雪蘭が作ったのか?美味い!美味いぞ!凝。お前もどうだ?』


流風は月餅を冷凝の口元に近づけた。


『……自分で食べるから余計な事をするな!』


『ならば白!其方なら口を開けてくれるだろう?』


『いや、私は春花殿の月餅を頂こう』


手を伸ばした蕭白の手に秋月が氷の粒をぶつけた


『ん?』


『お前は春花の月餅より私が作った氷酒の月餅がよいぞ…お前の陽の気も忽ち不安定になる』


『兄上!ふざけてないの!ごめんね白…ん?どうしたの?』


『いや、、今の氷礫…以前も同じ事が…はて、いつだったか…』


『ほう。氷礫とは物騒だな…鳳鳴山の白盟主は未だ恨まれておるのでは?』


『……アレは…確か結婚式の準備中に…』


秋月の嫌味も耳に入らず記憶を辿る蕭白


『秋月様、春花様…遅れて申し訳ありません…出掛けに洞内でちょっと』


葉顔の登場で蕭白は記憶を呼び戻す事をやめた。


『葉顔洞主…久方ぶりだ…』


『蕭白殿。先だっては失礼した』


『いや、間違いは誰にでもある』


『どうしたのだ?何があった?』


秋月の問いに反射的に葉顔は腰を落とした


『はい。蕭白殿に煎じた薬を何者かが別の薬と取り違えまして…』


『何の薬を渡したのだ』


『その…三日酔です…』


『あはは!少しは陽気になったか?』


『兄上!笑いすぎよ』


『しかし、葉顔。もう少し薬の管理を厳しくせねばならんぞ誰ぞのように洞主しか使えぬ毒を簡単に持ち出し春花は百花刧を飲まされたからな』


『は…申し訳…』


『今はおまえが洞主だ謝る必要はない』


『はっ…』


葉顔は大岩の後ろの茂みを気にした


『なんだ?何かあるのか?』


『いえ別に…』


『あ、兄上…それは良いじゃない別に』


春花は秋月の背を押し追いやろうとする。


『雇晩の墓石代わりの木でも生えておるのか?』


『え?どうしてそれを?』


春花は目を丸くする。葉顔は秋月の誘導尋問だとすぐに気付いたが春花はあっさりとひっかかる。


秋月は笑顔を見せた


『勘だ…元部下の思考などわざわざ読まぬとも想定内だ。春花の頭の中など手にとる様にわかるぞ?』


『…あ、まさか私…』


『小春花。お前は本当に嘘がつけぬな』


頭を撫でた。


『なによ、、子供扱いしないでよ』


『春花殿…あの…』


『ん?冷凝さんどうしたの?これは?』


冷凝は谷には見かけぬ珍しい花々を手にしていた。


『あぁ、ここは傅楼が奥方の為に作った花畑だから花は沢山あると思ったが…その…なぁ彩彩』


『ええ、この大岩が傅楼夫妻の眠る場所だと以前貴女から聞いていつか機会があれば私達や私達の父達の愚かな行いで命を落としてしまった2人に…せめて花でもお供えしたいと思って…伝奇谷に無さそうな珍しい花にしてみたんだけど…』


『まぁ、、貴方達…覚えていてくれたの…』


『忘れる訳ない。私達が未熟だったせいで…命を奪ってしまったのだから…』


『あの2人なら分かってくれてるわ。きっと…この前もね夢に出てきたのよ…しかも兄上なんか傅楼谷主に救いを求めちゃって…その話聞く?』


『秋月が?面白そうな話だな……その…葉顔もこっちへ来れば良いではないか…とっくに世代交代しておるのにいまだに洞主面する輩など放っておけ。』


『あら、冷凝…どうしたの?』


『何だ?彩彩。葉顔は流風の従姉妹だぞ。ならば家族ではないか』


『………』


葉顔は暫し足を止め考えていた。

秋月はその背に語る


『魔教、正道の隔たりなき今、洞主のお前が尻込みしてどうする?信用することが難しければ何も考えずただ春花のふざけた話を聞くだけでも良かろう。いつもの様に中身はないがな』


『はっ…』


葉顔は秋月に小さく一礼すると勝手に始まった井戸端会議と言う名の愚痴発散大会に足を踏み入れた。


その夜は谷中に笑い声が響いた。

何処かでつがいの胡蝶が月夜を喜ぶように舞っている。


『すっかり桃雨は眠ってしまったわ…』


『はしゃぎ疲れたのであろう…今日は姉や兄もいた…他にも…』


『ええ本当に』


『お茶を淹れるわね…』


『酒でも良いぞ…三日酔を飲んだ蕭白…さぞ見ものだったろう見たかった』


『………』


春花は茶器を温めながらチラと秋月を見遣るばかりで何も咎めはしなかった


『どうした?いつもなら怒る所だぞ?』


『……』

春花は首を振る。


『兄上…今日はありがとう…』


『??』


『私…なんて言ったら良いか分からない…』


春花の様子に驚く秋月の目の前で茶を注ぐと

傍に腰を下ろした。


『ただ…今日は胸が一杯で…言葉にならないけど。私の家族は貴方で…雪蘭に炎輝。桃雨でしょ?でもそれだけじゃなくて…みんな家族だった…』


『春花?』


『実は私聞いていたの…寝てなくて…貴方と炎輝の話…貴方一生懸命考えてた…雪蘭を呼べば清流。とすれば流風と冷凝…白もって…それで…』


『どうした?春花…何故泣いている』


『貴方にとって…大切な…宝が増えてるって気付いて…』


止めどなく溢れる涙に秋月はただおろおろと狼狽するだけだった。


思わず手を伸ばし抱き寄せる。

春花は秋月の胸で安堵すると余計に涙は止まる素振りもみせなかった。

それどころかただただ月明かりに光る涙の粒が頬を濡らすばかりだった




『……それで……いつの間にかみんなが…あの頃は敵対してたのにずっと昔からの家族みたいで…それで…傅楼谷主や游絲さんの…そして雇晩も眠る場所で…貴方は思いやりがあって優しい人だって…』


『春花以外には優しくせぬ』


『…じゃあもしあの場所が水攻めにあって皆んなが溺れたら?みんな見殺しにする?』


『誰と思っておるのだこの兄にはあやつらぐらい一度に簡単に救える。』


『ふふ…』


『なんだ泣きながら笑うとは…』


『結局みんな救うんじゃない…だってみんな家族なんでしょ?』


『家族は春花と子供達だけだ』


『じゃあ何で家族団欒の日の今日みんなを呼んだの?』


『うるさいうるさい!あやつらめが弱々しいなら救ってやるくらい雑作もないと言う事だ!今日呼んだのは…お前が…寂しくないようにだ』


『いいわ。そう言う事にしといてあげる。とにかく今日は嬉しかった…』


『春花……ならば私も礼を言う。いつか私に月餅を教えてくれたな。お前は愚かにも私を兄と思い【ただ1人の家族として傍にいる】と言ってくれた…』


『今も約束を守り兄上の傍にいるでしょ?私は兄上みたいに嘘は言わないの』


『誰も信じられなかった。それまで心の底は氷に閉ざされておったのに、家族だという言葉に胸の奥が熱くなった…繋いだ手の温もりか何がそう熱を持つのか訳が分からなかったが…ただこれだけははっきりしていた。』


『何?』


『お前を蕭白の元に帰したくなかった』


『家族だから?』


『…… 春花秋月何時了』


『え?何?急に』


『わからぬか?夏の夜空に無数の星を眺め、やがて秋の夜海に月の舟が浮かぶ。極寒の冬が終わりを告げ花々の蕾が綻び暖かな春が訪れるものだ…それは時代も人の生も流れていくが春花と秋月には終わりがない……だからだ』


『つまり?』


腕の合間から顔を覗かせた春花は酷くあどけなく見えた。鳳鳴山の裏山で罠に掛かったあの日の春花の様だった。

張り巡らせた蜘蛛の巣にまんまと引っ掛かった白い胡蝶かと憐れに感じた事は口には出さなかった。

ただ春花の輝く瞳に映る己に希望の火が灯った事に気付く事はなかった。




『つまり、これからも小さな花が沢山生まれるという事だ』


『え?!きゃ……ええ?』


秋月は春花を抱き抱えた。


『小さな花って!?』


『桃の妹でも弟でも良いな』


『はぁ?!何言ってんの!兄上急に…』


『ん?』


『ん?じゃないわよ!何その笑顔は!』


『さっき春花が言うたのだぞ?嘘はつかぬと氷谷で約束したではないか。小さな花が沢山生まれると。約束は違えぬであろう?』


『えーっっ』


月は夜空に輝きその光はいつまでも伝奇谷を照らした。



さて、結局だらだらしすぎて…今頃投稿すんまへん。とは言え、思いつきの割に今日中に上げられたし良きでしょ。今回書き始めから中間で書く気力が家出しまして…気分転換にラストを先に書いて後半を埋めた感じなんですが…如何でしたか?私的にはもう思いつきはやめようと思いました。🤣


最近は自家製サングリアにハマっていて。いやただ赤ワインに果物ぶち込むだけだが。これが美味しゅーて溜まりまへんので。。そのせいでこんなだらだら。えへ。


では皆様良い中秋節をお過ごし下さい^_^