秋月が言葉で愛を伝える事はかなり後半でないと出てきません。それくらいその言葉は重い訳です。
本心や本音にこだわる春花。
秋月はそんなものは態度に表すものだと言う。
言霊とはよく言ったもので、言葉を軽率に扱う事は危険です。そこに念を吹き込む事で言葉を贈った相手のみならず、発した自らをも縛る事もあります。
それは余りに自分に素直に生きた【あの女】上官恵がそうであったが故に地獄の苦しみを味わったから。
しかし、秋月は実際に態度で示してます。
例えば
のっけから氷蚕珠。
対になっている珠を春花に贈るとか。
湯当りした春花の熱を冷ましてあげたり。
傷を癒したり寒がる春花を温めたり。
それは他の誰にもした事はありません。あの腹心葉顔の傷ですら『その程度の傷など気にするな』と言う始末。
葉顔を愛している顧晩は『どうしたんだ?その傷は!』と動揺していました。
寒がっていれば温め、痛がっていれば癒し、呼ばれれば(呼ばれなくても)敵陣でも何処でも現れ…伝奇谷に連れて行けと言われれば連れて行く。
ついでに唇奪いますけどね
たまには役得なくてはね。許してあげてください。男の子だから…
で、極め付けがこれですね。
まだ序盤。かつて花小蕾が使っていた春芳斎という部屋を春花に使うようにした蕭白。女性らしいアメニティ一揃えしてくれていました。
髪飾りや簪を手にして鏡を覗く春花
現れた秋月は言います
もっと美しい簪をやる。と
簪を渡すのはあちらではほぼプロポーズ。『お前は俺のもの』だというマーキングの印みたいなものです。
そしてこの簪は春花と秋月を繋ぐ簪でした。
目覚めた最初に見たあの簪。あの後ろ姿…
2人を結ぶ証のような簪です。
こうやって秋月は態度でいつも示している。でも春花は本気で迷惑がったりします。
春花と小蕾は別だと言い張る
消えてもらいたいし。
私の幸せの邪魔をしないでほしい。
花小蕾とは恋人関係だったかもしれないけど…でも春花と秋月には縁はない。
しまいにゃハッキリと言う始末。
あなたが嫌い、結婚したいのは白だ!と。
結婚式春歌強奪の時はそりゃあ春花は怒り狂いました。
秋月の死を願っても良いかと春花は言ってしまう。
その秋月の傷付いた表情はせつないです。
タイトルの春花不知秋月心は秋月の心春花知らず。です。
いちいち春花の言葉に傷付く彼の心。
いつだって秋月が笑顔を見せるのは
他の誰でもなく春花
春花にだけ見せる笑顔
春花は気付いていません
そこに春花が一番欲しがっているものがある事に
それこそが運命の悪戯でしょうか。
愛という言葉の重さ5につづく