床に転がって 見上げる天井。
すぐそばに…先輩がいる。
私の存在も何も知らずに気付かずに呑気に眠っている。
部室の窓の隙間から先輩が眠ってるのを見つけて思わず侵入した私はかなり大胆だ。
そのうち先輩の目が覚めて声が出ないくらい驚いていて、余りの慌てぶりに笑ってしまった。
『今日、部活休みなのに、何でいたの?』
『明日から試験だから教科書取りに?って、お前こそ不法侵入!何してんだ』
『……窓から覗いたら…サスペンスみたいだったから』
『サスペンス?あ、俺が倒れて?』
『気持ちよさそうに寝てるだけだったから…様子見てたら眠くなって…今に…至ります。』
何だか向かい合えなくて、背中合わせて話してた。
『なぁ、お前なんか付けてる?匂いするやつ』
『香水?つけてないよ』
『ふぅん…』
『……』
『何?』
『いや別に……髪触ってい?』
『なんで?』
『……何となく』
振り向いた 私
先輩もこっち向いてた。
硬くて冷たい床
先輩は見た事ないくらい優しい顔で笑ってた。
だから私は恥ずかしくなって俯いて…ただ、先輩の少しはだけたシャツから覗く鎖骨ばかりをじっと見てた。
許可もしてないのに手を伸ばして髪にそっと触れる。
『柔らけー…何この髪…』
サラサラと掬ったり撫でたりしながら先輩の胸のあたりが近づいてくる。俯いたまま息ができなくなって思わず目を閉じる。
『なぁ…こっち向いて?』
『ヤだ』
『なんで?』
『何となく…恥ずかしいし…どうせいつもみたいに近くで見たら可愛くないなとか言うし』
『ははっ言うかっ』
『それに……なんかドキドキするし…』
いつの間にか先輩と私の隙間が1mmもないくらいに腕の中に入ってて…
『あぁ~顔見たかった』
とか言いながら髪をゆっくり梳かす。
『先輩?』
『何?』
『…息が…できない。近すぎて…息が…苦しい。だからもう少し離れて』
涙出そうになって
離れて欲しいって言ったのに
先輩は両手で私の顔を包んで
『最初からこうやって見せてくれたらよかったのに…』
って 額にかかる前髪を流してそのままキスをした。
驚いて見上げたら、今度は唇に…
甘くて、痺れて…胸が苦しくて…
嬉しくて 泣けた。
…あなたはいつも
私を甘く…苦しめる