ポピュラー音楽にとどまらず映画音楽、実験音楽で現代の音楽シーンのなかで日本を

 

代表するミュージシャン、坂本龍一の芸術とその素顔に迫るドキュメンタリー映画

 

 

 

 

 

 

         -  TOKYO MELODY  -   監督 エリザベート・レナール

 

こちらは1985年制作の フランス フランス 日本 日本 の合作映画です。(62分)

 

 

1983年YMOが散開した後の1984年に、当時自身のソロアルバム「音楽図鑑」

 

をレコーディングしていた坂本龍一と80年代日本の風景を映したドキュメンタリー

 

映画で、当初はフランスのテレビ映画用に製作された作品ですが1996年には劇場

 

公開されています。

 

 

 

 

 

 

新宿アルタに映るYMOのMV体操♪細野さんバックにキメル教授の姿。多分この頃が

 

ソロになって音楽的にも人間的にも一番尖っていた時期ですね。

 

 

 

 

 

 

アルタのモニターに映される映画「propaganda」のライブシーン。細野さんと幸宏

 

の勇姿が懐かしく感じてしまう頃でした。

 

 

 

 

 

 

 

謎のメイクが施されてからのインタビュー。大好きな黒澤明のドキュメンタリー映画

 

「AK」もフランスの作品で、あちらは日本の芸術家に興味があるんでしょうか?逆に

 

いえば日本はそういった方への評価が低いとも言えますね。

 

 

 

 

 

 

「これまでの音楽は始まりから終わりまで一方向の時間で作られていたけど、今は

 

その時間の塊をバラバラに組み合わせてもいい作り方になっている」

 

 

 

 

 

 

合間合間に挟まれる外国から見た日本的雑多な情景がノスタルジックに映ります。

 

その中でレコーディングされ生み出される坂本龍一的現代音楽の不思議さ。

 

 

 

 

 

 

「元々音楽っていうのは非日常的な空間とか時間のために作られたものだと思うんだ

 

けども、今現在の日本のように至るところに音楽があるっていうことは裏を返せば、

 

非日常的な時間が日常的に続いてるって風に言えるんじゃないかな」

 

 

 

 

 

 

「街を歩けばどこからでも音楽が聞こえてくるって事は曲の初めから終わりまで聞い

 

ているんじゃなくて、移動する度に断片的な曲が聞こえている訳だから、どこを切り

 

取っても必要を満たしてるような音楽が作られているって事がとっても興味深い」

 

 

 

 

 

 

「5分とか10分、頭から終わりまで聞かなくちゃ意味が汲み取れない音楽っていう

 

のは、今の生活や実情には合わないと思ってます」

  

 

 

 

 

 

 

「サントラを作る時にセリアズとヨノイ、ロレンスとハラ、それぞれのの関係性に沿

 

ってオーケストレーションを変えています」 この作品に携わった事が教授にとって

 

かなり大きな転機になりましたね。

 

 

 

 

 

 

公開当時ラジオだったか試写を観た教授が自分の演技の酷さに、「これはなんとして

 

も音楽でカバーしなきゃと頑張った」みたいな照れ隠しを言ってました(笑)

 

 

 

 

 

 

「今のアルバムは83年の1月から始めて中断してまた再開して、30数曲トラック

 

を録ったんだけど今の気分に合わせた10曲を選んで1枚に仕上げます」高価な録音

 

機材の中でチャーハン食べる教授のミスマッチ感が良いです

 

 

 

 

 

 

当時の最先端機材の演奏に即興で音をかさねていく教授 ここで演奏レコーディング

 

されていた「M31 TOKYO MELODY」はアルバム音楽図鑑からは落選していました

 

 

 

 

 

 

「ドビュッシーはね音楽が好きなのと同じくらい絵が好きなんだって言ったんだ

 

よ。」自動車に搭載されている電話での会話 そんな時代もあったねと、、。

 

 

 

 

 

 

「初めて曲を作ったのは4歳の時」父親は本の編集者で三島由紀夫等を担当、母親は

 

帽子のデザイナー。「きっとビートルズを先に聞いていたらクラッシックを勉強する

 

ことはなかったと思います」

 

 

 

 

 

 

影響を受けた人物は?の問に「ジョン・ケージ、アンディ・ウォーホル、マルセル・

 

デュシャン、ラヴェル、ストラヴィンスキー、吉本隆明、、偶然すれ違った叔父さん

 

とか叔母さんとか付き合った彼女とかね(笑)」

 

 

 

 

 

 

「今流行のスクラッチは音楽的に発展性は無いと思います。でもいい所は自分が作っ

 

ていない音楽をその行為だけで成り立たせているのがポストモダンだと思います」

 

 

 

 

 

 

「最近コピーライターって職業がもてはやされているんだけど、実態より枕詞で理解

 

したつもりになっちゃうっていうね」

 

 

 

 

 

 

「沢山のカタログ雑誌ってのがあるんだけど音楽にも似たような現象があって、ジャ

 

ンルの種類は多いんだけど聞いてみるとそんなに音楽の多様性は少ない」

 

 

 

 

 

 

「むしろジャンルが主役で音楽はその素材でしかない、均一性というかジャンルから

 

外れていくものをどんどん減らそうという傾向が最近は多いと思います」

 

 

 

 

 

 

とっても貴重な矢野顕子とのピアノ一台でのTONGPOOの演奏。ファンとしては合間

 

に入るYMOのライブ映像が邪魔に感じる程でフルバージョンが見たくなる素晴らしさ

 

です。演奏後の二人のハニカミ具合にこちらも照れちゃいますです。

 

 

 

 

 

 

ラストには私が大好きな製作途中の楽曲「SELF PORTRAIT」のレコーディング風景

 

で幕を閉じます。まだミキシングされていない音源が聞けるのがこの映画の最大の魅

 

力でもあります。あの問題作?「子猫物語」のサントラにも入っていました。

 

 

 

 

 

 

基本的に坂本龍一という音楽家に興味がない人にはお薦め出来るような作品ではあり

 

ませんが、その特殊な音楽が折り重なり紡ぎだされていく誕生の過程を見るのは面白

 

いかも知れません。

 

 

 

 

 

 

レコーディング風景以外ドキュメンタリー感はさほど感じませんが、80年代の坂本

 

龍一とTOKYOをフランス人の目がどう切り取ったのかという視点で見ると、また違っ

 

た風景が見えてくるかと思いますので興味が湧きましたらご覧になってみて下さいま

 

せ、です。

 

 

では、また次回ですよ~! パー