一見してごく普通の中年男が、世の中の理不尽に怒りを爆発させて大暴れし、やがて武装集団やマフィアを相手に激しい戦いを繰り広げる姿を描いた痛快ハードボイルドアクション。

 

 

 

 

 

 

       - NOBODY   - 監督 イリヤ・ナイシュラー 脚本 デレク・コルスタッド

 

 出演 ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、クリストファー・ロイド、他

 

こちらは2021年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(92分)

 

 

 

 

  主人公のハッチ・マンセルは、仕事では過小評価され、家庭ではリスペクトできない父親として扱われるなど、人生の苦難をぐっと受け止めながら生きる、地味で平凡な“何者でもないただの男(NOBODY)だった。

 

 

 

 

ある夜、男女2人組の強盗がハッチの家に侵入した。 彼はチャンスがあったにも関わらず暴力を恐れ、父親らしく、そして男らしく、反撃することが出来ず2人を取り逃がしてしまう。 そのため息子のブレイクと妻のベッカはハッチに失望し、彼から心が離れ始める

 

 

 

 

同じ職場の義弟にもいちゃもんをつけられ、胸の中で煮詰まっていた怒りがふつふつと湧き上がっていくハッチ。 そんな中、娘のネコのブレスレットがなくなったことに気づく。

 

 

 

 

憤慨したハッチは強盗犯の自宅を探り出し、夫婦であった2人組を痛めつけて奪還を試みるが、そこで酸素マスクを装着した乳児の姿を見た彼は怒りの矛先を見失い、自らの腕時計だけを取り返して彼らを見逃してしまう。

 

 

 

 

悶々としたままバスで帰途に就いたハッチだったが、その最中、バスに乗り込んできたチンピラグループの傍若無人な振る舞いに遂に怒りが爆発し、チンピラたちを徹底的に叩きのめす。 しかしこの事件はその後、ロシアンマフィアへと繋がり、街頭での銃撃戦からカーチェイスへ、派手にエスカレートしていく、、。

 

 

 

 

ナメてた相手がメチャ強かった!というジャンルがあるのかは分かりませんが、最近では「ジョン・ウィック」や「イコライザー」、あの「ランボー」なんかもその部類の作品で、今作の主人公はその中でもかなり地味でうだつの上がらないタイプの中年男性。

 

 

 

 

そんな家族からも冷遇されていた主人公のハッチが、過去に封印していた能力を覚醒させて老人ホームに入っているお爺ちゃんと異母兄弟の兄を巻き込んでロシアンマフィアとバトルを繰り広げるという痛快なお話。

 

 

 

 

この作品を手掛けているのが「ジョン・ウィック」の脚本家と製作者のタッグなのですが、「ジョン・ウィック」では飼い犬を殺された事がきっかけで復讐を決意する事になりますが今作ではネコがキーポイントになっていて、脚本家の遊び心が感じられます。

 

 

 

 

取調室でネコに猫缶を与える傷だらけのハッチの姿、名前を聞かれてノーバディと答えてのタイトルスタート。 それまでのイケてない退屈な日常の繰り返しをサクサクと見せる小気味良い出だし。 家に強盗が入ったものの、子供の手前という事もあって反撃を躊躇してしまった情けなさと家庭での立ち位置が前半でコンパクトに紹介されます。

 

 

 

 

娘のお気に入りだったネコのブレスレットを強盗が盗んだと思ったハッチはすぐさま捜査を開始し強盗に復讐、その帰りのバスでチンピラに遭遇した事で怒りが爆発、封印していた能力が覚醒し、チンピラを半殺しにしてしまいます。 しかし、その中にマフィアの武闘派ボスの弟が居た為に、彼らに狙われる事になるというお話。

 

 

 

 

ストーリー自体に新鮮さはなく、アクションも「ジョン・ウィック」のような華麗さや斬新さはないのですが、そのちょっと泥臭い感じの動きやセリフが違った味になって、笑いを誘うような場面も多々あります。 工場の無事故〇日という字を戦闘中に消したり、新居に地下室はあるか?を奥さんが聞く場面等はクスッと来ちゃいましたよ

 

 

 

 

老人ホームに居るハッチの父親も元FBI捜査官で、ホームに来た殺し屋を返り討ちにしたり、後半では拳銃を持ってバトルに参加したりとかなりアクティブ。 これをクリストファー・ロイドが楽しそうに演じているから観てるこちらもワクワクものです。

 

 

 

 

そしてシーンごとにチョイスされている音楽もオールディーズから80sまでという選曲がまた秀逸で、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」や後半のカーチェイスで流れるパット・ベネターの「ハートブレイカー」は見事にシーンとマッチして気分がアゲアゲになる爽快感が溢れるアクションシーンになっています。

 

 

 

 

お爺さんを演じるクリストファー・ロイド以外、主人公ハッチを演じるボブ・オデンカークも含めて、誰も知らない俳優さんばかりが出演しているという所も力関係が分からない分新鮮さがあり、観ているこちらとしては作品的にプラスに感じました。

 

 

 

 

アクションのみならず、父親の悲哀や威厳、夫婦の愛情、子供との関係といった家族の中での父親の存在意義等も描かれた、中年オヤジ映画の側面も持ち合わせています そうそう、エンドロール中盤にも愉快な場面が挿入されていますのでご注意を。

 

 

 

 

自宅にこもりがちなストレス生活をガツン!と吹き飛ばしてくれるような爽快感と、オジサンパワーの底力を再確認させてくれる痛快な映画になっておりますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

カーアクション場面で流れるパット・ベネターのこの曲、テンションが上がります。音譜