どしゃ降りの雨の中、テキサスのハイウェイで拾ったヒッチハイカー。その男は、自分が殺人鬼である事を告げるとナイフを取り出す、、。

 

 

 

 

 

 

     -  THE HITCHER  - 監督 ロバート・ハーモン 脚本 エリック・レッド

 

 出演 C・トーマス・ハウエル、ルトガー・ハウアー、

                                                          ジェニファー・ジェイソン・リー  他

 

こちらは1986年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(97分)

 

 

 

 

  雨の降る夜、砂漠地帯のフリーウェイ。 アルバイトで車の長距離陸送をしている青年ジム・ハルジーは、一人のヒッチハイカーを拾う。その男はジョン・ライダーと名乗り、目的地を訊ねても答えず、不遜な態度でジムを脅かす。やがて、自分は先ほどヒッチハイクをした車の持ち主を惨殺し、ジムにも同じことをするつもりだと語ってナイフを突き付ける。何が目的なのかと訊ねるジムに、ライダーは「俺を止めてみろ」と答える。

 

 

 

 

隙を見てライダーを車から叩き出すことに成功したジムだったが、翌朝、ライダーを乗せた家族連れのワゴン車が自分を追い越して行くのを見る。停車したワゴンに追いついて中をのぞくと、家族連れは残らず惨殺されていた。神出鬼没のライダーは、執拗にジムにつきまとい、彼を沿道での連続殺人の犯人に仕立て上げる。その一方で、ジムをとらえた保安官たちを皆殺しにし、逃走を続けさせようとする。

 

 

 

 

地元警察の責任者、エストリッジ警部と連絡を取り自首を決意するジムだったが、ライダーの妨害により、ますます追い詰められていく。ただ一人の協力者となった、ドライブインのウエイトレス・ナッシュとともに激しい警察の追跡を振り切ったジムはモーテルに逃げ込む。 だが、今度はナッシュがライダーの手に落ち、トレーラーのトラック部とコンテナの間に縛り付けられてしまう。運転席ではライダーがエンジンを吹かしながら駆けつけた警官隊を威嚇し続けている。

 

 

 

 

ライダーの足がブレーキから離れたら、ナッシュは真っ二つだ。 エストリッジの要請でトラックに乗り込んだジムに、ライダーは拳銃を渡して自分を撃つように言う。ナッシュの身を案じて彼を撃てないジムに失望をあらわにしたライダーは、トラックを発進させナッシュを引き裂いた。 ライダーはその場で逮捕され、ジムも警察に保護されるのだったが、、。

 

 

 

 

昔、テレビの洋画劇場で観た古い作品ではありますが、今回ニューマスター版がDVDでもレンタルとなりましたので、数十年ぶりに鑑賞してみましたよ。広大なアメリカの荒野をどこまでも伸びるハイウェイ。 深夜のドライブで睡魔に襲われる主人公の青年ジム。 眠気覚ましのお喋り相手にと、一人のヒッチハイカーを乗せてあげたら、なんとそれが恐怖のシリアルキラーだった!というお話。

 

 

 

 

徐々に相手のサイコ感が露呈していくのではなく、乗車して早々に相手からの地獄のカミングアウトを食らうというサクサクな展開がエンタメ作品として好感が持てまする。しかし、このジョンと名乗る謎の男はジムにナイフをちらつかせたり、言葉責めをしたり、第三者を殺したりはするものの、彼をすぐに殺そうとはしないという生殺し状態のプレイを延々と続けてくるのです。 

 

 

 

 

たまったものではないジムは男から逃げるために様々な行動を起こすのですが、全部裏目裏目へと展開して、警察に追われるは、同情してくれたウェイトレスも巻き込むはと、ジムに関わった人達が次々に男の犠牲になっていきます。

 

 

 

 

ある場面では警察に犯人と間違われたジムがヘリやパトカーに追跡され、あわやという瞬間、どこからともなくあの男が現われ、警察を銃器で一掃して風のように去って行くというまるでヒーローと見紛うシーンもあります。 

 

 

 

 

この追う男と追い込まれるジムの関係が後半になると、まるで歪んだシンパシーで繋がった関係性を持っているように見えてきます。 何故男はジムに執着するのか、執拗に追ってくるのか、男のバックグラウンドも意図も一切説明されないまま物語は進んでいきますが、劇中の男の行動を見ていると、暴走する自己を誰かに止めて欲しかったように思えて仕方ありません。 

 

 

 

 

その相手に選ばれたのがたまたま通りがかったジムあり、純粋な殺意をもって自分を殺し、全てを終わりにする為に、彼を極限まで執拗に追い込んだように感じてしまいました。

 

 

 

 

そんな勝手な視点で観たものですから、何故かこの男がとても悲しい存在にも見えてきて、これを演じているのがルトガー・ハウアーという事もあり、ちょっと哀愁を帯びたヒーローにさえ思えてしまって、映画とは真逆の感情になった自分が恐ろしくなるのでした。

 

 

 

 

と、主人公も忘れてはいけません。 ほぼ出ずっぱりのジムを演じるのが 「アウトサイダー」 世代にはたまらないC・トーマス・ハウエルで、追い込まれていく事で覚醒していく青年の爆発する感情を見事に演じきっています。 そして、あの「初体験/リッジモント・ハイ」 ジェニファー・ジェイソン・リーもヒロイン役で登場していますが、、、。

 

 

 

 

まぁ正直、脚本がかなり力技な部分もあって、ジムが何故?というような行動をとったりヒロインと急接近して行動を共にしたり、無駄にヘリや車がクラッシュしたり「ブルース・ブラザース」 か!とツッコミ入れたくなる場面も多々ありますが、こちとら80s映画じゃい~!と、それ込みで楽しむには最高の作品でありまする。

 

 

 

 

とにかくかっこ良いルトガー・ハウアーの鬼気迫る殺人鬼と、パ二くるC・トーマス・ハウエルとの BL を思わせる追いつ追われつのアクションスリラー映画。 エンディングは何故か哀愁すら感じる作品となっておりますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です

 

では、また次回ですよ~! パー