近未来 太陽系を遥かに超えて宇宙へと突き進む宇宙船 「7」 には、モンテや幼なじみの少女ボイジーら9人の元死刑囚がクルーとして乗り込んでいた。 彼らは極刑の免除と引き換えに、同乗する女性科学者ディブスが指揮する実験に参加することになったのだった。 やがて、目標地であるブラックホールが少しずつ迫り、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の ドイツ ドイツ フランス フランス イギリス イギリス ポーランド  

 

                              アメリカ アメリカ の合作映画です(113分)

 

 

 

 

フランスの女性監督 クレール・ドニ(71歳) が撮ったSF作品という事に興味を持

 

ちレンタルしてみました。出演は ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシ

 

ュ、ミア・ゴス、という国際色豊かで個性的な面々が顔を揃えております。

 

 

 

 

  映画は主人公モンテが宇宙空間で船外活動をしている場面から始まります。船内

 

にはウィローと名づけられた女の赤ん坊がいて、どうやらモンテの子供のようです。

 

作業を終えたモンテは船内に戻りウィローをあやします。 広い宇宙船に居るのはこの

 

2人だけ、ここまでに至った物語がそこから語られる事になります。モンテを含む9

 

人は死刑囚でした、しかし極刑の免除と引き換えにミッションを与えられます。 

 

 

 

 

宇宙船に乗りブラックホールから人類に有効なエネルギーを取り出す事、もう一つは

 

放射線のある宇宙空間での生殖実験でした。 同じ死刑囚のディブス医師の管理下の

 

元でモルモットのような実験生活が続いていましたが徐々に秩序が乱れだします。

 

生殖実験が成功しないディブス医師は禁欲生活を送るモンテを眠むらせ、自らの身体

 

を使ってモンテの精子を手に入れます。 

 

 

 

 

それを別の女性囚人の体内に受精させ、初の子供が誕生します。 しかし、囚人達は

 

実験や争い事で次々と命を落とし、自身の実験を成功させたディブス医師も宇宙空間

 

へ身を投げます。 こうして残されたモンテとウィローは、何年もの間2人だけで宇

 

宙空間を漂う事になりました。 

 

 

 

 

数年後、少女となったウィローとモンテは新たなブラックホールを発見します。 既に

 

人類にとって有効なものかも分からないものでしたが、「行ってみよう、良い予感が

 

する。」 というウィローの言葉に後押しされるように、2人でポッドに乗り込み巨大

 

なブラックホールへと入っていくのでありました、、。 大まかなお話はこういった

 

所になります。  本

 

 

 

 

SF映画定番のエイリアンやモンスターは一切登場せず、静かで淡々としたストーリ

 

ーが進んでいきます。 同時に細かな説明が少ない分、表面的な物語だけを追っていく

 

と退屈に感じたり、迷子になってしまうかも知れません。 ただ映像はセットや衣装

 

を含めややレトロチックで、実用性度外視な懐かしさを感じるものがあって楽しめま

 

す。

 

 

 

 

宇宙船という密閉された空間は宇宙に浮かぶ地球そのままで、劇中何度か語られる

 

様々なタブーがそのミニマムな地球で繰り返されています。 人間の本能的から切り

 

離された新たな生命の誕生と、その生命の未来とは?   キラキラ

 

 

 

 

ラストの父モンテと娘ウィローの男女が乗ったポッドは体内に漂う遺伝子のようで、

 

ブラックホールはまるで子宮のようにも思え、最後は人間としての大きなタブーと、

 

新しい人類の進化を未来を予見して幕を閉じる事になります。 映画はSFという設

 

定を借りて、人間の性と欲求、罪、道徳、そしてタブーというものを観念的に描いて

 

います。 

 

 

 

 

その為かなり説明を省いていますし、余白が多くある事もあり好みが分かれるかもし

 

れません。ただ、SF的なガシェットの描写が少ない為、繊細な人間の目の動きや細

 

かな仕草という演技の部分に魅せられる所が多くあります。 主人公を演じる ロバー

 

ト・パティンソンと赤ちゃんだけのアドリブ演技や、ジュリエット・ビノシュの機械

 

を使ったパワフルな自慰行為等、女性監督らしい演出が随所に見られるのも本作の醍

 

醐味です。 ハイヒール

 

 

 

 

若干 タルコフスキーやキューブリックのイメージが顔を覗かせる、ややアートフィル

 

ム的な映画ですが、定型とは違った作品が観たい方や、ちょっと斜めから人間て奴を

 

観察してやろうとお考えの方には興味深い作品だと思いますので、機会があればご覧

 

になってみてはいかがでしょうか、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー