1560年末、インディオたちが語る伝説の国、黄金郷エル・ドラド発見のためスペインの征服者たちがアマゾンの奥地めざしてアンデス山脈最後の峠を越えていた。隊長ゴンザロ・ピサロは、周囲の状況、地理を調査するため40人ほどの分遣隊を組織し、ペドロ・デ・ウルスアを分遣隊長に任命。副官にはドン・ロペ・デ・アギーレが任命されたのだが、、。
こちらは1972年制作の 西ドイツ映画 です。 (93分)
依然こちらでもご紹介した 「フィツカラルド」 「カスパー・ハウザーの謎」 の ヴェ
ルナー・ヘルツォーク 監督の代表作の一本で、「フィツカラルド」 同様 クラウス・
キンスキー が主人公のアギーレを演じております。
映画は濃い霧の中、険しいアンデスの山のすそを連なって進む人々の映像から始
まります。 画面手前に映る甲冑を着たスペイン兵と荷物持ち持ちのインディオ達
その中に紛れ、場違い感満載に、これまたインディオ達に担がれた貴族の女性が乗る
カゴ。 圧倒的なこの自然の中を進むスペインの隊を、延々と固定カメラで4分にわ
たって映すひきの映像に監督の気迫を感じます。
舞台は1560年末。 スペインの隊が目指すのは伝説とされている 黄金郷 エル・ド
ラドを発見するのが目的です。 それを見つける為、アマゾンの奥地めざしてアンデ
ス山脈最後の峠を越えていました。 しかし無情にも自然は行く手を阻みます。指揮
官はこのまま全隊で進むのは危険と判断。 その為40人ほどの分遣隊を組織し先発
隊として派遣する事に、、
その隊には兵士、小間使いのインディオ、布教師、そして副隊長にアギーレがいまし
た。イカダ3艘で出発しますが、川は真茶色の濁流 (カメラはそこに同乗して撮影し
ている模様) そんな中を進んで行きますが、渦に巻き込まれたり、先住民に襲撃され
たり、首狩り族に遭遇したり、遂には食料も底を尽きます。次々に死者は増え続け、
最後には熱病にかかる兵士達。
そんな中でさえ一人気を吐くアギーレ。 自分の娘が先住民の弓矢で亡くなろうとも
エルドラドを見つけ 自分の王国を築こうとする権力の狂気に憑りつかれた男。
ラストで登場する猿の群れは アギーレが民衆を我が手にしようとする戯画でし
ょうか、そんなアギーレと死者を乗せたイカダは淀んだ川を進んで行くのでした。
「フィツカラルド」 同様、極限の自然の中でのロケーションに圧倒される作品で、ヴ
ェルナー・ヘルツォーク監督の狂気さえ感じます。 それを役者として表現している
クラウス・キンスキー。 もう 顔力 というかここまで来ると顔面凶器であります。
1500年後期には映画で描かれているような事が実際に行われていたようで、大航
海時代に噂話が基でスペインに伝わったアンデスの奥地に存在するとされた伝説上の
土地 エル・ドラド に憑りつかれた人間達の様々な 「欲と業」。それを拒絶する自然
の驚異。それを神の試練、行いとして描き。人間の愚かさ傲慢さを表現しています。
とにかく例を見ない撮影の凄さ、ある意味無謀さとも言えるものですが、ドキュメン
トのような側面をもった映画です。 印象深いのが、アギーレ以下兵士達は薄汚れて
いるのですが、同行している女性二人の衣服は綺麗なままであり、身分の違う女性に
対してのケアだけはちゃんとしているという、
このジャングルの中ですら階級制度を貫徹している所は逆に恐怖すら感じる私であり
ました。凝縮された93分の旅そんな訳で、ある種 映画史に残る作品である事は間違
いない圧倒的な映像のリアリズムと狂気の映画でありますので、興味が湧きましたら
ご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!