大学に入学したジョシュは、ラディソン教授が教鞭をとる哲学の授業を受講することになるが、無神論者のラディソンは初日の授業で「God is dead.(神は死んだ)」という、神の存在を否定する宣言書を提出するよう生徒に強要 単位を落としたくない生徒たちは言われた通りに提出するが、ジョシュはそれを拒否する そんなジョシュに、ラディソンは「神の存在を全生徒の前で証明してみせろ」と迫り、ジョシュは信仰心と自分の将来のどちらをとるかで思い悩むが……。
こちらは2014年制作の アメリカ映画 です(114分)
YouTube でトレイラーを見て、「お、これはなかなか面白そうだぞ!」 と、早速お
取り寄せをしてみた次第でございます
私が見たトレイラーでは、無神
論者の教師が、クリスチャンの学生に 授業中 神の存在を証明するように求める場面で
ありました 日本人の私としては (皆さんもそうかも知れませんが) 特別に 何教 の
信者という事もなく初詣に出向いたり クリスマスでケーキを食べたりと
ほぼ
オールアラウンド派。洋画を観ると、根幹にあって共有している 「宗教」 っていう価
値観とはどのようなものか 共通言語のようになっている 彼等の神 というものを
少しは理解出来るのではないかという興味と、やや 無神論者 へのかすかな期待をもっ
て (この時点でやや偏ってる私) 鑑賞。
軸となるお話は、上の大まかなストーリーをご覧いただくとして、実はこの教授
と生徒だけでなく群像作品という側面も持っているのでありまして、同じ授業を受け
ている中国人の生徒、校内の学食で働く 熱心なイスラム教徒の父親をもつ女性、TV
の突撃取材で人気の女性リポーター、教授の妻、そしてラフで現代的な町の神父 と
いう人達を配し、一応バランスを保ちつつの 多視点 で描かれています 「が」 ここ
でいう 神 とはキリスト教徒のみという驚くべき世界でありました ユダヤ教も
仏教もイスラム教にも一切触れられず、主人公のジョシュが信じるキリスト教の、聖
書が唱える内容のみが 神 の定義という扱いであります
ジョシュは教授に言
われ、3回のプレゼンテーションをする事になります。
最初の方は、教授にホーキング博士の言葉等を引用されたりと言い負かされますが
後半では教授の言葉を逆手に取って、神の存在を力説 その上、「あなたは神を憎ん
でいますね」と問いかけ 「ああ、憎んでいる」 と教授が答えると、ジョシュは「あな
たは、存在しない神を憎んでいる」 という言葉で討論を終えます 神が本当に存在し
ていないのなら、憎む必要がありません つまり、「憎んでいること自体が、神の存
在を認めている」ことに他なりません (哲学的とも、一休さんとも言える、これが
見たかったんじゃない感) 哲学者でもある教授が、ちょっと勉強した新入生に論破さ
れてしまうという情けなさたるや、、、
映画として、建前的に公平な視点を保つ為、登場人物が多く、主人公であるジョシュ
の描き方が足りない部分が大きく、彼に新たな発見であったり、無神論者の視点から
見たりという事をさせず、盲目的にクリスチャンの信じる神に疑問を持たせなかった
事で、非常に狭い視点での論争に留まってしまっていて、ジョシュの苦悩の元凶は 教
授と彼女 という目の前の事で、本人の内面の苦悩は描かなかったのは残念でありまし
た
群像劇でありながら、これも個々の行動動機が不明慮です TVリポーターの女性は癌
になり、婚約者にもふられて神に頼る事になります イスラム教徒の女性は外の自由
な世界を見た影響からか、何故かキリスト教に惹かれ家を追い出されます 教授の妻
も彼との関係に疑問を持ち、いきなり離婚を言い渡します ジョシュと教授の授業を
陪審員のように見ていた同じ生徒達は、3回目のプレゼンが終わり、ドヤ顔で教授を
論破したジョシュに賛同するように 「神は死んでいない!」 と、中国人を含む生徒達
が、一人ずつ立ち上がるという、顔が真っ赤っ赤になるような場面が登場します (ア
イム、スパルタカス か!)
ただそれだけでは終わりません その町にライブで訪れている News boys というロ
ックに乗せたクリスチャン・バンドのライブ会場に ジョシュと中国人同級生、それ
までの登場人物達がそれぞれ集まって来ます 教授も自宅の電話の近くに置いてあっ
た新聞でその記事を見て、何故か会場へと向かいます (多分、妻を追ってでしょうが
どういう推理でそう思考したのかが謎です)
ライブ会場で盛り上がっている
一方で、無神論者と公言していた教授に 神 の天罰?が下ります その上、神は
まだ試練を与えます。
散々な目にあった教授に、最後には脅迫とでもいえるような選択をさせ、ハレルヤ~
となります ライブ会場では不可思議なチェーンメールをさせ大円団を向かえます
画面が暗くなり、背筋が寒くなる 本作の正体 が明るみにされる一文が表示されます
「ムーブメントに参加し メールを送りましょう」
どんなサスペンス映画よりも、驚きのエンディングを見てしまいました この
映画は最初から 「神」 を考察させるつもりはなかったのでありました それはそ
うです 神などいない!等という結論に行き着くはずは無いのでありまして、それで
も少し 何か を期待してしまった私が悪かったのです、、、 キリスト教徒の方は
悪くありません この映画の偏った誘導に驚いてしまったのです
怖いホラー映画や、サスペンス映画に迷った方に、かなりの変化球でありますが、こ
のような作品も良いかも知れません お時間があれば、チャレンジして下さいませで
す。私は、個人的なバイブルの 「2001年宇宙の旅」 で、神 といわれるものを探
索しますです。
では、また次回ですよ~!
ラストで登場するクリスチャン・バンドです 詞が分からないとただのロックバンドですな