耐震対策、みなさんが思いつくことって何ですか?

 

建物の耐震性の良し悪し、よく聞くのは筋交いが少ない、柱が少ない、重い屋根、とか。

 

その通りなんです、けどね、色んな業者がいますが、みなさんに業者がこういう風に言うことがあります。

 

屋根の中の金物が少ないので、耐震性が悪い、だから補強をした方がいいって。

 

これは、住宅建築の屋根裏の一例です。

 

下に見えるのが、2階の天井裏面、上が屋根の下地面ね、そこの間に横にある木材があります。

 

これは専門用語では、小屋筋交いといいます、屋根って小屋束という縦材で維持されています。

 

一般の階で言えば柱と一緒、ちなみに1階床下にも同じような役割の床束というのがあります。

 

でね、この横材、小屋筋交い、余は小屋下地が地震や風で横転しないように支えているもの。

 

壁の筋交いも同じような役割ですよね、でもね、耐震性って実は屋根裏に関しては細かい検討ってないんです。

 

実務をやられている方はご存知だと思いますが、風による風圧検討は、もちろん建物の外郭全体面が対象になります、屋根の外面もね、でも検討するところはあくまで壁による補強廻りがメイン。

 

小屋裏の筋交いがない、でもそれは数値としては表現されない、ただ指摘事項としてのもの。

 

これがないから、その代わりに金物を小屋束に設置して耐震補強だという業者、何でもつければお客さんは納得するという現状、無意味なものは不要。

 

F邸の現地写真からお借りますね、お施主さん。

 

これは外壁側に設置した耐震金物、どこかのリフォーム業者が数十万かけて設置したそうです。

 

この金物、実は法検討でもあるN値検討による場合の金物、だそうです。

 

でもね、この金物は土台と柱、土台と基礎などに設置するんですけどね、これが付いている柱は実は耐震性の壁が接していない柱に付けてあります。

 

こんなのがいくつも他にも付いてる、明らかに理解してない業者の例です。

 

耐震壁の設置されている柱に設けるのは意味があるが、そうでない柱に設置しても意味がない。

 

耐震壁がある柱は、そこに力が集中するわけです、そうでない柱にはあくまで建物の自重に耐えうるための力しかないわけ。

 

だから柱が引き抜かれる力が存在しない柱に、こんな金物を設置してもお金の無駄。

 

そしてこの建物、基礎に鉄筋が入ってません、そこにこの金物を基礎に定着しても、基礎が耐えられないということ、なんで通常は無筋の基礎にはこういう金物は設置しないんです。

 

こういうことが他の地域でも、耐震補強だの言ってそこらのうさん臭い業者が金儲けをしているんです、今でもありますよ。

 

こういうものは、必ず専門の設計者さんなどに相談をして下さいね。

 

ちなみに、このお客さんはこの耐震補強に100万円近く負担をしたそうです、この後数十年後、私が耐震補強をしましたが、その費用はその半分以下です。

 

最初にやっていれば、100万円はリフォームの費用に充てられたんですよね。