50年前の今日
遠く離れた 北の国の街に
小さな火が灯った
きびしい風や雨にさらされながら
その火は 燃えつづけた
音楽と 友の笑顔を糧に
自分を燃やしつづけた
その火は
己の光を 人々に分け与えつづけた

やがて 傷だらけになって
その火は この地から消えた
きびしい風や雨にさらされて
己を残りなく燃やし尽くした


半世紀前と同じように
今日も きびしい風と雨が
この胸のなかの火に たたきつける
友よ
きみの中の火は まだ灯っているか
あるいはもう 消えてしまうのか
吹きっさらしの大地のうえで
分け与えられた 小さな光は
まだ 風にゆれているか





死ぬ日まで天を仰ぎ
一点の恥じ入ることもないことを、
葉あいにおきる風にさえ
私は思い煩った。
星を歌う心で
すべての絶え入るものをいとおしまねば
そして私に与えられた道を
歩いていかねば。

今夜も星が、風にかすれて泣いている。
        (一九四一・一一・二〇)

(尹東柱「序詩」 金時鐘編訳『尹東柱詩集 空と風と星と詩』岩波文庫 2012年)




私をして危難から守られんことを祈らしめるな、ただ恐れなくそれらに直面せしめよ。
私をしてわが悩みを鎮めんことを乞わしめるな、ただかれにうち克つ心を乞わしめよ。
生の戦場における盟友を求めしむるな、ただおのれ自身の力を求めしめよ。
救われんことを性急に渇望せしめるな、ただおのが自由を得るための忍苦を望ましめよ。
私をして成功のうちにのみ御身の慈愛を感じるごとき怯者たらしめず、わが
 失敗のうちに御身の手の把握を感ぜしめよ。

(タゴール「「収穫祭」から」 山室静訳『タゴール詩集』角川文庫 昭和46年)