誰も来ない廃園より-CA3G168600010001.jpg


漫画専門の古書店で、未入手の坂口尚作品を発見。店側が値札に記載している状態は「カバー・スレ」「ヤケ・シミ・スレ」で評価が「状態評価」「稀少価値」ともに五段階評価で真ん中レベル。こう書くとずいぶんと汚い本と思われるかも知れないが、これ以上に汚い古本など散々見てきた者からすれば、とりたてて文句言うほどのものでもない。

以下、お店の人と自分との会話:

自分:「カバースレ」って、そんなにひどく擦れてる感じないですけど…
店: まあ、問題にするほどじゃないですけど、やはり細かい部分気にする人もいらっしゃるんで、ついつい(状態評価は)厳しめになっちゃって、こうやって書くとおおげさに聞こえちゃうんですよ。
自分: この人(坂口尚)の本、相変わらずあんまり見ないですよね。
店: これ、ついこないだ久しぶりに入ったんですよ。
自分: 『石の花』はどこでもありますけどね。あれだけ何度も再版されてるし。
店: やっぱり代表作ですから……それ以外のやつはなかなか出てこないですよ。持ってる人は手放さないし。
自分: それだけ大切にされてるってことですよね…


まあ、おおむねこんな感じの会話があったわけで。やはりブックオフや大型書店ではこういう話はできないわけで。

この『魚の少年』(奇想天外社、1979年)の巻末広告には大友克洋『ショート・ピース』が載っていて、その煽り文句が「マンガ界最大のホープ!!今話題の大友克洋・待望の自選短篇集 第1弾!!」、さらにはいしいひさいち『おじゃまんが』は「話題騒然!!人気抜群のいしいひさいち4コマ集大成。全部単行本未収録!!」と謳われている。まだまだ新進だった大友やいしいがやがてブレイクする、来るべき80年代への序奏のひとコマとも言える一ページ。