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雑誌「終末から」(筑摩書房)創刊号、及び第3号より。
井上ひさし作「吉里吉里人」挿絵(佐々木マキ画)
……………
現在、我々が読める『吉里吉里人』は新潮文庫のものだが、当初は筑摩書房から出ていたこの雑誌に連載されていた。
御存知のように、現行の版は文庫3冊(上中下)に及ぶ長編で、当然ながらこの「終末から」連載では完結していない。どころか物語序盤で雑誌自体が廃刊してしまった。加えて遅筆で有名な作者、隔月連載なのに原稿落ちてる号もあり(笑)、結局完成型の刊行は1980年代に入ってから。版元まで変わってしまった有り様。

佐々木マキのイラストは、多分この「終末から」にしか載っていない。親切に登場人物の紹介までしてくれている。「人別帖」最上段右端、加え煙草の眠たげな男が(一応、主人公?の)作家・古橋健二。作者の井上氏同様、筆が遅いらしい。
彼の右斜め下の強面なのが、取材に同行していた編集者。取り立てが厳しそう。

そして、恐らく他の媒体ではお目にかかれない「吉里吉里国」の全体図まで。吉里吉里駅は北上川沿いにあるのですね。吉里吉里座なる劇場が「入国者収容所」となっていて、古橋他、「十和田3号」の乗客はここに連行されるわけだ。
「銀行」の隣に「インサツ」とあるのは多分「造幣局」か(すいません。『吉里吉里人』自体を私が読んだの、中学生の頃なんで…内容殆ど覚えてない…)。警察機構と独自通貨がまずは国家成立の基本でしょうか。

この物語をイラスト込みで読むのは、現在の文字のみのバージョンで読む場合とは受ける印象が相当に異なるような気がする。雑誌掲載版は、より「戯作」的というか、悪ふざけの度合いがより強く感じられそうなのだ。
この媒体だからこそ可能だった、真剣な悪ふざけだったのかも知れない。