昨年の夏ごろだったか、お泊りいただいた老紳士から教えていただいた話。
その紳士は、若い頃に俳優をしていたらしい。
将来有望な新人として買われていたのだとか。
映画の主役をいただいたある日、料亭の2階に部屋を用意されたそうだ。
疲れていたので、遠慮なく布団に入った。
どの位時間が経っただろうか、部屋に女性が入って来た。
その女性は、あろう事か自分の布団に潜り込んで来た。
「余計な気を遣って…」と思いはした物の、そこは若い時分の事。
遠慮なく抱かせて貰う事にした。
相手の身体を触っていると、何となく違和感が。
なんだろうと思いながら触っていると…。
女性にはあり得ない物が付いていた。
女形の修行だそうだ。
ショックのあまり、その映画を最後に芸能界を引退した。
「自分の娘が芸能界に入りたがったらどうしようかと思っていたけれど、その心配はしなくてすんだよ」
老紳士は、にっこり笑って去って行った。