グルーポンの問題点について
株とは全く関係ないが、
最近問題になっているグルーポンビジネス(他のクーポン発行サイトも含め)の問題点について思うことがあるので書いてみようと思う。
感じたことを率直に言うと、
グルーポン側も店側も、マーケティングに関してあまりに無知すぎるのではないか?
と首をひねざるを得ない。
色々騒がれているグルーポンだが、現状主な問題点は3つあると思う。
1.店のキャパシティを越えたクーポンの発行
2.商品、サービスの信用性
3.集客してもリピーター客に繋がらない
問題1:店のキャパシティを越えたクーポンの発行
店のキャパシティが限られているとき、グルーポンと顧客である広告主との間には重大な利益相反が存在する。
クーポンを売りたいグルーポンと店側の利益は合致するのは、あくまで販売枚数が店のキャパを下回っている間だけの話である。
要は集客力がありすぎるのである。
普通は中小の店は、そこまでマス向けの広告は資金の関係上打てないわけである。
拡大計画も無いのに、中小の店がテレビのゴールデンタイムに大金をかけてCMなど打てないし、打ってもいけないのである。
ただグルーポンはそれが出来てしまう。
なぜなら、広告費の一部を店側の労働として支払うからである。
グルーポンも店側も、「ビジネスの規模に応じた広告」
があることを理解していないからこういうことが起こるのである。
そしてグルーポンもそこを理解せず大金をかけてTVCMや、消費者の不快感をあおる品の無いPPC広告を打ちまくる。
当然といえば当然である。グルーポン経営陣も、投資した大量の広告資金を短期間でペイアウトしようとするからだ。(ビジネス初期の投資だと考えて、長期的に回収しようとすればいいのに)
その為、クーポンを売れるものは徹底的に売る必要が出てくる。
その反面、グルーポンビジネスの存在価値である中小店への「マス広告を出す機会の提供」は
現実的に中小店にはやってはいけないことであったりするのである。
正に消費者以外はグルーポンも含め、板ばさみ状態である。
それが次の問題に繋がっていく
2.商品、サービスの信用性
さんざん言われているが、広告主のサービスの信用性を低下させているのは間違いなく店のキャパシティを越えたクーポンの発行にある。
サービスの質を犠牲に拡大を優先する戦略は、昔からどんな大手企業も失敗して反省していることである。
店側からすると、万一クーポンが売れすぎると
ただ働きをして自らの悪評をばら撒くという悪夢のようなことになるわけである。
3.集客してもリピーター客に繋がらない
これは非常に難しいことである。
そもそも広告の効果をきちんと計測できている企業などあるのだろうか?
TVCMを打って初回購入させても、その内どれだけがリピーターになっているのか計測しているのだろうか?
ダイレクトレスポンスマーケティングでは基本となっているが、
世間一般の言う広告で、そういった効果を計測できているのか大いに疑問である。
常識的に考えてみる必要がある。
そもそも広告なんて通常3%のレスポンスがあれば上出来とされる世界である。
しかもグルーポンは実質マス向けの広告である。
その反応した3%の人の内どれだけが常連になるというのか?
常連なんか高確率で出来るわけがない。
店側からすると、本質的にグルーポンは広告の共同購入を意味する。
店にとって本当に必要なのはマス広告ではなく、店に合ったニッチ層にのみ向けたピンポイント広告なのである。
常連が出来る確立が他の一般的な広告媒体と比べ、それほど劣っているとも思えないが、
それでも劇的に高くなるわけが無いのである。
以上問題点を整理してみたわけだが
問題点だけ列挙しても面白くないので解決策を考えてみた。
顧客をセグメンテーションし、それに合ったグルーポンサイトを作る
自分が思うに結局のところ店と広告の規模と、引き寄せる顧客層がミスマッチなわけである。
だから、集客単位をもっと細かくするために、店の規模に合うようにしなくてはならない。
顧客の趣向に合わせたコンテンツやコミュニティを作る必要がある。
そしてそこにそれに見合ったクーポンを提供していく。
そうすればリピーター率も高まるし、なにより市場がニッチになっていくのでキャパオーバーということも少なくなっていくのではないだろうか。
今のようなただの漠然としたクーポンサイトではなく、例えば飲食専用クーポンサイト、服専用クーポンサイトといったようにきちんとセグメントしていく。
それが定着したら、30代男性限定クーポンサイト、20代女性限定クーポンサイトという風により細かく、切り口も変えてセグメントしてく。
グルーポンサービスがなくならないのであれば、多分ほっといてもそうなると思うんだけど。
そういうニッチ市場を作りだし、そこにクーポンを流した方が、広告精度も上がるし、消費者、広告主、クーポン運営会社にとっても良いはず。
車が出来た頃のときはただの車しかなかった。
その後大衆車ができて、はじめて高級車と大衆車が出来た。
今じゃ中級車もあればスポーツカーもある。
靴もそう。
ただの靴が、発祥してから、歴史を重ねるごとにビジネス用、テニス用、サッカー用・・・・ときちんとセグメンテーションされてきたわけである。
最後に一応投資家なので、その立場から言うと
少なくともグルーポン株は買えません。